4 はだかの丞
いよいよVRです。
「仮想現実」この矛盾した言葉も一般的になりましたね。
初めて知った時、仮想なら現実じゃないと、つっこみました。
朝も食堂で社員さんに会わないように、丞は少し早く寝起きしている。
歯を磨いて、明日の時間割の教科書とノートを通学鞄に入れて、着替えを枕元に用意する。
制服の胸ポケットからケータイを出してメールをチェックするが、なにも来ていない。
中学の友達は丞とは別の高校に行ってしまった。
丞が引っ越した事もあって、幼馴染みの全と九海以外すっかり疎遠になっている。
ケータイを充電器につないでアラームをセット。
高校に入る時にスマホを買って貰う予定だったが、父親の転勤騒ぎですっかり忘れられていた。
忘れ物が無いか、アラームがきちんとセットされているか確認していくと、財布にお金を補充していないことに気がついた。
あんまり大金を持ち歩いて落とすとまずいので、丞は一日二千円財布に入れる事にしていた。
制服のポケットから財布をとりだし、丁度二千円にして戻すと、何かに引っ掛かって入らない。
何が引っ掛かっているのか。
丞がポケットに手を入れると、ジョンと名乗った外人さんに貰った板だった。
ああそういえばと思いながら板と財布を入れ替えてベッドに寝転がった。
板をじっくり見てみる。大きめのスマホぐらいの大きさで、縁は丸くなっている。金属かプラスチックかわからない材質で薄いピンク色、虹色の光沢がある。
重さはやっぱりスマホぐらい。
違うのは画面と充電用のコネクタがない事だ。
妹とか幼馴染みの九海が好きそうな色だと思いながら、丞は板を貰った時の事を思い出した。
「側で寝たらゲームできるって言ってたな」
丞は呟いて、目を閉じてみた。ゲーム画面が見えたりしない。
板をまぶたの上に載せたり、枕の下に入れたりしても、なにも起きない。
「ま、そうだよな」
丞は板を着替えの上にポスンと放り出して、リモコンで部屋の灯りを消して、布団をかぶって目を閉じた。
目を閉じた丞は気がつかなかったが、しばらくすると板がだんだんと透明になっていった。
真っ白い空間に丞は浮かんでいた。何だこれと焦って、じたばた手足を動かしてみたが何かに触る感触はない。
見下ろすと全裸の自分が見える。
思わず股間を手で隠してキョロキョロする。セーフ、誰もいない。
「ほんとに何だこれ~、何だこれ~」
丞が叫んでも何処かに届く気配がない。
ふと、丞はこれが明晰夢ではないかと思い当たった。
明晰夢は夢を見ている時に、これが夢だと気付く事で夢を操る事ができるらしい。
空を飛んだり、壁を通り抜けたり、透視出来たりするそうだ。
丞はウル○ラマンの飛ぶポーズをしてみた。
しばらくしてみたが、比較物が全くないので、飛んでいるかわからない。
壁はない。
女の人の服が透けたりするんだよなと、エッチな事を考えた丞はにやけた。さて誰を思い浮かべようか・・・
『飯堂寺丞様』
どこからともなく、いきなり名前呼ばれた。
「ひゃい、タスクでしゅ」
完全に裏返った声で答えて、丞は声の主を探した。
『ここです』
丞が立っていたら同じ地面にいる位置に、膝までしかないタキシードをきた羊のぬいぐるみがいた。
丞は、ウルト○マンのポーズのままである。完全にアウトだ。
丞は股間に手を当てて、全身を真っ赤にするが羊は気にしていないようだ。
『何時に起きますか?』
羊が聞いてくる。
「五時半。キミだれ?」
丞は何処かに隠す物がないか探しながら聞き返す。
『フぃふョにーニゃる・みョ・オンらインのナビゲーターです』
羊が丞の顔の高さまで浮かんで答えた。
「フィフヨなんだって?」
『フぃふョにーニゃる・みョ・オンらインです』
羊はどこからともなく黒板を出す。
『説明を始めますがよろしいですか?』
裸の丞を上から下まで確認して言ってきた。
「全然よく無い。なんで僕、全裸なの」
せめてパンツが欲しい。
『寝たときの状況が反映されます』
羊は何も気にしてない。
丞は裸族である。自分の部屋にいるときは、基本裸だ。
「いや、裸で説明聞きたく無いんだけど」
丞は手が離せない。なんのバツゲームだ。
「あと、ここ全然落ち着かない」
丞は必死で訴えた。
『わかりました』
羊が短い手を振ると、空間に波紋が広がっていく。
丞が瞬きすると、中学の制服を着て、家族で住んでいた社宅の自室にいた。
一回投稿するのに三時間。
フぃふョにーニゃる・みョ・オンらインの説明までしたかったのですが限界です。
次回はフぃふョにーニゃる・みョ・オンらインの説明回です。
説明ばかりだとつまらないかもしれないので短めにします。




