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恋はタイミング。シリーズ

パンクと銃声、そしてコーラな帰り道。

作者: 藍川 琳

 最後まで見ていただけると嬉しいです。

 みんな何かいつもやること、つまりは習慣なんかあるだろうか。寝る前に筋トレするだとか、勉強するだとかそんな崇高なものじゃなくてもいい。例えば一日1冊くらい漫画を読む、牛乳を飲む、スマホをついつい見てしまうだとか。

 僕の場合は、朝の情報番組で朝の占いを見てから出ることだ。これは母さんが毎日欠かさず見るため自動的に僕も登校前の暇つぶしに見ているだけなので、習慣と言えるかは怪しいが。


 そんな習慣で見た今日の占いの僕の順位は最下位だった。だが信じているわけではないので、朝から憂鬱な気分になるわけではない。ただ「今日の最下位の人へのアドバイスがラジオ体操をするとか、なんとも微妙なチョイスだな」と考えただけだった。そこから「今日の体育はラジオ体操のテストだ」と思い出して、少し憂鬱な気分になっただけだ。

 だいたいあんな大衆向けに作られた占いだなんて、誰にでも軽く当てはまるように書いて、それを見て当たったような気分になるように作られたものじゃないか。主に女子がキャピキャピと楽しむ為に。そんなもの信じる根拠がない。そう思っていた。


 そう思ってたんだけど、今日で考えを改めさせられた。占いは当たるものなのかもしれない。

 いや、占いが当たると言ったら語弊があるかもしれない。先に述べたように「誰にでも当てはまるように書いてある」のなら、僕にも当てはまることもあったんだと気付いた。


 やっとの事で部活が終わり、サッカーをしたせいでクタクタになった体を動かして自転車で走行したら、ボコんっと変な振動が後輪の方からやってきた。何かおかしい後輪を見ると、見事に凹んでいた。そう、自転車がパンクしていたんだ。


「ごめんなさい今日の最下位は、9月生まれのあなた。何をやってもうまくいかない日になりそうです。そのせいで焦ってしまい、重大なミスを犯すかもしれません。そこで、今日のアドバイス!ラジオ体操をして心と体をリフレッシュして、気持ちを入れ替えましょう。では、今日も行ってらっしゃい」


 その時に、朝にアナウンサーが態とらしく感情を込めて言った声が、一字一句丁寧に僕の頭の中にリフレインした。そして人生で初めて占いが当たってしまった、ということが理解できた。よりによって最下位の日に。なんという厄日なんだ、と頭を抱えそうになった。

 いや、だけど今日は体育でラジオ体操をやったのにこの結果なのだから、この占いは無効だ。やはり占いは当たらないらしい。無駄な現実逃避はやめた、ちゃんと現実を見よう。

 普通に考えて、朝は普通に乗れていたので急にパンクするのはおかしい。昨日タイヤの空気入れをしたばかりだしな。ということは、誰かがいたずらでパンクさせたと考えるのが妥当だろう。半年に一回くらいはこういうことがなんだかんだで起こってるし、今回はそれが僕だったんだろう。そう考えた僕は職員室に行って先生に報告し、ついでに公衆電話から母さんに「自転車がパンクしたから歩いて帰る」と報告してから学校を再出発した。



 中学生とは、なんとも微妙な時期だ。思春期を一番拗らせていると言ってもいいと僕は思っている。この前まで小学生として自由気ままに遊びまくっていた子が、中学に入り勉強や部活なんかに縛られるようになる。男女の違いも出てきて、変に性差を意識してしまうときだ。

 そのせいで男は変な意地をはったプライドを持ってしまったりする。そのプライドとやらのせいで、いつ誰がやってくるかわからない通学路で、パンクした自転車に無理やり乗って「ボコん、ボコんっ」とさせながら帰るのは、僕のちっぽけな男のプライドが許さなかった。

 「思春期の男女を一緒の部屋に入れて暮らしたら、好意が自然に芽生えてしまう」なんて聞いたことがある気がするけど、その通りだと僕も思う。実際に僕も、そんな感じの恋をしている真っ最中だからだ。その子にもし見つかったらと思うと、さらに自転車に乗れなくなった。

 こんなチンケなプライドを守って何になるんだと女の子は笑ったりするかもしれないけど、男にとっては大切なものなのだ。疲れた体に鞭を打って、自転車を引いて行く。


 疲れきった中で悲しいことがあったせいで少し感傷的になった僕の心は、今好意を寄せている女の子について考え出していた。最近二年生になったばかりで席が出席番号順になっているため、森川敦士の隣の席となった森あすかさんだ。彼女はテニス部に所属していて、スラリとした足が魅力的な女の子だ。性格も明るくて、男女問わず話しかけてくれるため人気者。悪意のない輝かしいとしか言えない笑顔に落とされた男子は、何人もいるであろう。かくいう僕もその一人。

 隣の席だからとよく話しかけてくれ、尚且つ話していて楽しいし、何よりかわいいので単純に恋に落ちた。モテた試しがない僕にはなんとも無謀な恋だと思うけれど、落ちてしまったからには仕方がない。


 そんな森さんには付き合っていると噂されている、これまた女子にモテるテニス部の磯部隆也という幼馴染がいる。実際によくしゃべっているのを見かけるし、見て素直に「お似合いだ」と思えるような二人なので悔しいとは感じないが、虚しい気持ちにはなる。二人でいるのを見かけると、女子が揃って「羨ましい〜」と言うくらいにはカッコ良く、モテる奴なんだ。磯部隆也という奴は。

 僕が万年補欠なサッカー部員じゃなければなー、だなんて考えてしまう。なんとも女々しい。自分のことながら、この女々しさを気持ち悪く感じため息が出てしまう。


「どうしたの? 森川くん」


 不意に右隣から先ほどから何度も脳内に思い返していた声がした。驚いて立ち止まって、そちらに頭を向けると、無邪気な笑顔を浮かべた森さんが立っていた。


「も、もりさん」


 言葉に詰まりながらも、まだ正常に機能していない脳をフル回転させてどうにか返事をすることはできた。まだ質問への対応ができるまでには、回復できていない。

 そんなふうに目に見えて慌てている僕を見て、森さんは楽しそうに笑った。そのいたずらっ子みたいな顔にまたどきりとさせられる。いたずらされたいと思ってしまった僕は、変態だ。


「いやー、信号待ちしてて暇だから周りを見渡してたら、森川くんが自転車に乗らずに歩いてる姿が見えてね? なんでだろうと思って、ここまで歩いてきた次第ですよ」


 そして彼女は先ほどまで待っていたのであろう信号機を指差した。そこからここまでは100メートルと行かないけれど、まあまあな距離があった。ただの興味心であったとしても、わざわざ僕に会いにきてくれたという事実に頬が緩みそうになるが、僕のチンケなプライドがそれを許さなかった。極めて平静を装って、言葉を紡いでいく。


「へー、わざわざご苦労様。あと僕が歩いてるのは、自転車がパンクしたからだよ。もしかしたらパンクさせられたかもしれないから先生にも報告してきたよ」


 言いながら歩き出したら、彼女もそのまま右隣を歩いてきた。そのことも嬉しくて思わずガッツポーズしたい気分になるが、そこはグッと堪える。また、失言しないように発する言葉に脳の全神経をかける。

 神経を集中させすぎて、逆に若干声が震えたが彼女は気がつかなかったようで、「え、パンク事件!!? 年に数回はあるけど、まさか知り合いの自転車がパンクさせられるとは思わなかったよー」なんて髪をふわふわ揺らしながらも呑気に笑っている。これ幸いなり、と僕も乗っかって「僕もまさか、自分の自転車がパンクさせられるなんて思いもしなかったよ」なんて言いながら、言葉のキャッチボールを続ける。


「私は徒歩だし、毎回関係ない話だと思ってたけど思わぬところで繋がるね」

「ほんと、こういうのは本当に無差別なんだって実感したよ」

「えー、本当かなー。誰かに恨まれるようなことはしてない?」


 そう彼女に問われて、僕はふとある人物を思い浮かべたがそれはないと思い否定する。


「…や、それはないと思う」

「何その間、怪しいなぁ」

「いやー、もしかしたら森さんのことが好きな人に恨まれたりして、こんなことになったのかなーと一瞬思っただけだよ」


 主に磯部とか。その言葉は口に出さずに、心の中に留めておいた。森さんとお似合いな磯部は森さんのことを気にしているし、好意を寄せている人物に牽制している場面を見たことがある。その様子からして、彼は僕と同じく森さんに好意を持っているのだと思う。彼は典型的な優等生だから恋敵だからってこんな悪質ないじめはしないだろう。

 けど、恋は人を狂わせるという。森さんに恋をしていると思われる彼なら、そんな暴挙に出るかもしれないと本当に一瞬だけ思った。もっともその考えは、即座に頭を振って外に出したけど。

 教室でも女子たちに「付き合ってるの?」と言われて否定をしてるところを見るに、磯部の一人試合になっているようだけど。


「そんなことないでしょ! 第一わたしはそんなにモテないし」

「モテないとか言っときながら、何回か告白されたことあるんでしょ」

「う、ないことはないけど。ほんの数回程度だし」


 赤い顔をして両手を左右に全力で振りながら全力で森さんは否定したが、何回か告白されているらしい。やはりモテるようだ。謙虚といえばいいのか、なんなのか。気まづそうに頬を赤らめる姿も、可愛かった。これはモテるよな。


 そして予想はしていたことだけど、告白されたことがあるという事実に少しショックを受けた。そして、その好意を素直に受け取っている彼女に魅力を感じるとともに、告白した男子どもに嫉妬してしまった。彼女の心をどうであれ、ああやって取り乱せた彼らに。こんな嫉妬は見せられないので、無理に笑って話を続ける。


「十分モテてるでしょ。普通の人なら告白なんて一回くらいしか経験してないよ」

「え、でも数回だけだし。それに森川くんだって告白されたことあるんでしょ?」

「森さんって時々人の傷口を容赦なく抉るよね。人生で一度も告白されたことなんてありません」「えーーーーー、うそだーー! 森川くん優しいし、運動できるし、理科も歴史も得意だからモテると思ったのに」

「運動できるって言っても運動部の中だったら普通だし、理科と歴史は暗記だからできてるだけだよ。てか、何でその3教科ができたらモテると思ったの」


 彼女にそう事実を述べても、「うそだ」と繰り返して否定される。実際に告白されたこともないし、好きな人にもこうして気づかれていない時点で僕は完全なる負け組だというのに。


「ある意味、自転車パンク事件よりこっちの方が衝撃的事実だよ。森川くん」

「僕もそんなに驚いてくれることに驚いているよ、森さん」


 案外ポンポンとリズムよくキャッチボールができていることに胸をなでおろしつつ、どこまで彼女はついて来るつもりなのだろうと疑問に思った。というか、彼女の通学路はどこまで同じなんだ? 今まであったとこはなかったと思うんだけど。


「そういえば、森さんって家はこの辺なの」

「うん、そうだよ。朝練がない時とか、森川くんが自転車を漕いでるの結構見てるよ。もしかして気づいてなかった?」


 心底不思議だといった様子で僕の瞳をまっすぐ見つめながら、森さんは問うてきた。その瞳には純粋な興味とどこか悲しい色が見える気がした。まるで捨てられた子犬のような目だ。そんな風に見つめられたら、ドキッとしない男はいないと思う。僕も胸を高鳴らせながら、なんとかキャッチボールを続けた。


「うん、そうだな。やっぱり自転車こいでるときは、人を避けるだけで精一杯だから顔なんていちいち見れてないから」

「あー、特にこの一本道はそこらへんの通学路がつながるとこだから混むもんねー」

「だからって一年以上通ってるんだから、気づかないのも不思議だな」

「う、うん。なんか不思議だね」


 僕の言葉を聞いた彼女は何を思ったのか、途中でハッと何かに気づいたような顔をしたと思ったらそっぽを向いてしまった。何か彼女の気に触るようなことを言ってしまったのかと、僕は不安になる。この話題はもう終わらせた方がいいな、と思った僕の口から朝の占いについて話し出していた。


「これも占いのせいなのかな」

「え、占い?」

「そう、占い。朝の情報番組でやってるじゃん、朝の占いって。あれで今日の俺の運勢がワーストだったんだよ。だからタイヤがパンクしたのは、そのせいじゃないかなーって森さんと会う前にずっと考えてたんだ」

「えーなんか真剣な顔して考え事してたと思ったら、そんなこと考えてたの。森川くんがそんなこと考えてたなんて意外」


 そう言っていたずらに失敗して叱られる子供を見るかのような、母性の溢れる顔でくすくすと笑う。その聖母のような顔が、心臓に悪影響を与えてきた。それに子供を見るかのような顔をされたのが恥ずかしくて、顔が熱くなる。それをごまかそうと冷たくもない掌を頬に当てて、顔を彼女から隠す。そしてぶっきらぼうな話し方で、彼女に言い訳をする。


「なんだよ、こんなことあったらちょっと占い信じちゃうじゃん」

「んふふ、そうだね。ちなみにその占いってどこの情報番組の?」


 彼女の態度が「まだまだ自分は子供だ」と、「自分は彼女に異性として意識されていない」と言われてるような気がして、腹が立った。思わず癇癪を起こしてしまいそうになったが、なんとかこらえて朝に見た情報番組の名前を言った。


「あー、あそこの占いって確か誕生月だったよね。私は7月生まれなんだけど、何位だったか覚えてる?」


 7月の順位はちょうど覚えていたからびっくりした、なんてったって9月と1位争いをした誕生月だったから。驚きで恥ずかしさなんかが全部飛んで行って、ようやく彼女の顔を見て会話をすることができるようになった。


「あ、7月なら一位だったよ」


 僕が驚きが抜けきらないまま言ったら彼女も驚いて、「そっか、わたしは一位だったんだ」と呟いてなんとも微妙そうな顔をした。どこの占いでも最後はワーストと一位の争いになるので、彼女は僕が覚えている理由と、一位を奪ってしまったことを悟ったようだ。


「森さんは、なんかいいことあった」


 微妙に気まづ位雰囲気になったので、それを払拭しようとなんとか話題を切り出す。すると彼女も気まづそうにしながらも、話を続けてくれた。


「うん、一応いいことあった、かな? ちなみに今日の私のラッキーアイテムとか覚えてる?」


 そう聞かれたので、頑張って朝に聞いたあの態とらしいアナウンサーの元気な声を思い出す。


「今日の一位は、7月生まれのあなた! 今日はいいことがありそうな予感です。気になっていた人と話せたり、仲良くなれそうです。積極的に話しかけて行きましょう。ラッキーアイテムは」



ーーーー、パァン!




 脳内でその声を再生していたら、不意に聞こえた大きな音に停止ボタンを押されてしまった。それと同時に思考も停止して、歩みを止めてしまった。フリーズした脳を動かして一番に考えたことはこれだ。


「さっきの音はなんだったんだ。」


 あの音を何度も思い返してたどり着く答えは、とても日常では聞かないような非現実的な音。よく刑事ドラマなんかで聞く、あの機械の発動音。その音のはずがない、と思うのだけれど一度それだと思った思考はなかなか覆らないもので、僕の脳内に浮かんだその機械の名前がぐるぐると回る。その言葉の重みで、口が歪み呼吸が浅くなっていく。


「銃、?」

 

 先ほどから考えていた言葉が音に出たので、僕の口から出た言葉かと思った。だけどその声は、僕には出せなくなったか細く高い声をしてたので、隣の森さんの口から出た言葉だと瞬きする間にわかった。同じことを思い浮かべたことに安心感を覚えて、僕はピンと張り詰められた糸が切れて体に自由が戻った。そしてそのままに、僕の口は勝手に動いていた。


「そんなわけ、ないよ」


 自分でも思っても見ない言葉が出たので驚きつつも、彼女の反応を見る。森さんは僕の言葉を噛みしめるかのように深く深呼吸をしたのちに、パッと僕にいつもの笑顔を見せた。

 そしてどこかふわふわとした声色で、自分に言い聞かせるように言う。


「そうだよね! 銃なんて事件現場でもない限り、見ることなんてないものだもん」


 その言葉に被せるように同意し、止まった足を再び動かし始めるが、どこか気まずい雰囲氣が僕らの周りにまとわりつく。そのせいか、無言で足を進める。


 そう、さっきの音は銃声なんかじゃない、違う音だ。だってそんな危険なもの、近くにあるわけがない。日常の中に入ってくるはずのないものなんだ。だから、さっきの音は銃声じゃない。

 僕らはお互いに嘘をついた、そう自分に言い聞かせるために。心にもないことをいって、「自分はこう思っているんだ」と思いこませようと。

 僕らは空手の名人なんかじゃないし、ましてや護身術を習っているどこぞの登場人物じゃない。平和と謳われる日本に生まれた、ごく普通の一般的な男女である。だから、銃なんかが目の前に現れても何もできない。下手したら一瞬にして死んでしまうのであろう。


 そんな未知の恐怖に怯えると同時に、未知に対する甘美な想像が膨らむ。


 ちょっと映画や漫画が好きな人なら、考えたことはあるんじゃないかな。歩いていて薄暗い道や入り組んだ路地を歩いていると「ここであの作品のような悪の組織と出会うのだろう」と考えたり「何かの陰謀に巻き込まれながらも成長していく主人公」になる自分を考えてしまうのではないだろうか。

 平和が続いているからこその、刺激への探究心。つまらない日常が、刺激的な毎日にならないかと無責任に思う。そんな心が僕にもある。そのせいで、馬鹿な想像が頭から離れない。



ーーさっきの音は本物に銃音で、僕と彼女はこれから何かの争いに巻き込まれてしまうのでは?その物語の主人公は僕で、ヒロインは森さん。その争いの中でなんか愛が育まれて、真実の愛とか見つけて結ばれるのではないだろうか。


 なんていう小学生でも考えつきそうな、チープな物語。自分でもわかっているので決して口に出すようなことはしないけれど、その妄想が出た瞬間から離れなくなってしまった。これは先日に読んだ小説がそんな内容だったから、パッと思いついたのだけれども本当に脳裏に焼き付いて離れない。


 そのためか無駄に周りと森さんを意識してしまい、チラチラと見てしまう。かなり頻繁に見てしまっていたようで、彼女と目があったときに苦笑いされてしまった。地味に心が傷ついた。


 さらに空気を重くさせてしまいどうしようかと考えていたら、道路に停車されている車が目に入った。大きいワゴン車のトランク部分が開いていて、中から本来はあるであろう三列目のシートがなく寝転がれるようなスペースが広がっていた。なんか改造がしてあるっぽい。赤いランプがチカチカとついて、車の後方には赤い三角形の蛍光板が光を反射していて目に痛い。

 そして車体の横に何やら機械を出してかちゃかちゃさせている男の人がいた。なんだかその光景が浮いて見えて目に止まる。いつの間にか、僕はその人に声をかけていた。


「あの、すみません」


 男の人は作業していた手を止めて、周りをキョロキョロ見渡して僕を見つけた。目があった瞬間に目を少し見開いて驚かれた。声を掛けてしまったものは仕方がないと開き直って、「すみません」と言いながら思い自転車を引っ張りながら駆け足で近づいていった。

 森さんも状況に困惑しながらも、僕の後ろについてきてくれた。日本人の協調性とやらが発揮されての行動だと思うけれど、そばに誰かがいてくれるだけで心強い。そして僕は勢いそのままに、同学年の父親にでもいそうな男の人に話しかけた。


「あの、忙しそうなとこにすみません。なにをされているんですか」


 その人は「あぁ」と言った後に、ほとんどの人が好印象を抱くような困った顔をした。男の人は娘の友達に優しく起こるときみたいな口調でこう説明してくれた。


「車のタイヤがパンクしたんだよ。これまで20年くらい運転してて初めてのことだったから少し驚いちゃったよ」

「パンク、したんですか」

「そうそう、あーっと早く作業終わらせなきゃいけないから手を動かしてもいいかな?」

「はい、どうぞ」


 そう言うと男の人は慣れた手つきでタイヤのボルトらしき部品を絞めていく。


「ありがとう。もしかして車のパンクする音を聞いてしまったのかな?あの音は初めて聞くと驚くもんだよね、銃のような音が聞こえるって知っていてもいざ本当にその音がしたってなったらすごく驚いてしまったよ」

「え、銃みたいな音が?」


 思わず、といった様子で森さんが会話に加わってくる。僕らが心の底から驚いている様子を見て、その人は自分の好きなものを語る子供のように瞳をキラキラと輝かせた。


「そうなんだよ。原理とか細かいことは覚えてないけど、パンクした音はまるで銃声のような音なんだよ。日常点検とかしてれば普通は起きないことなんだけど、高速に乗ったせいかタイヤが磨耗したのかな?」


 そう言いながら男の人はタイヤを絞め終えたのか、多分車体を浮かせていると思われる機械を今度は回していく。

 その間に僕は説明された言葉を必死に理解させていく。つまり、さっきの音はこの車のタイヤがパンクした音だったということか。その事実を理解した途端、急に胸の中からすこんっと先程の希望や期待が抜け落ちていくのを感じた。


「じゃあさっきのは、ただ車のタイヤがパンクしただけだったんだ」


 さっき理解したことを口に出しただけだけど、そのことでそれが現実であると知らしめられた気がした。そして馬鹿な妄想をしていた自分に対する羞恥心に今度は悩まされることになった。自分が恥ずかしすぎて、前を見ることができない。今日は特別な日でも、なんでも無かったんだ。

 そんな僕の胸の内なんか知らない男の人はささっとタイヤの交換の作業を終わらせたようで、パンクしたタイヤや器具、後ろにあった三角形の赤い蛍光板を回収して車のトランクに乗せていく。

 戻ってきた男の人の手の中には、見慣れた赤いラベルの黒い液体の入った、コカコーラが握られていた。飲みきりサイズの500mlの。それを僕の目の前にずいっと出して、こういった。


「やっぱりパンクした音聞いてたんだな、怖がらせてしまってごめんな。お詫びと言っちゃあれだが、買い置きのコーラをあげよう。買ったばかりだからまだ冷たいと思うよ」


 「一本だけでごめん」そう言って僕の自転車のカゴにペットボトルを無理やり突っ込んで、男の人は車に乗って行った。そうして僕らに残されたのは、ぬるくなりかけたコーラと沈黙だった。


 数秒か何分か、下手したら数時間にも感じそうな相対性理論を体験していた僕らだが「とりあえずコーラ、飲もっか」と森さんが言ったことで時間のねじれは一旦終わりを告げた。そして再び止めてしまった歩みを今度は近くの公園へと目的地を変えて、進めていく。





今度は順調に足を進めて、目的地への公園へと着いた。自転車は出入り口付近に適当に止めて、荷物を持ってベンチへと座る。距離感はお互いに掴めないので、カバンを挟んだ隣に座った。


「えっと、コーラを飲もうか」


 彼女はこくりと頷くと、また重い空気が広がる。さっきからお互いに付き合っている相手の浮気現場を見てしまった後にその本人に出会って「どうしよう」と悩んでいるかのような、非常に重苦しい空気。

 それを振り払おうと僕は一気にペットボトルのふたを開ける、と泡がしゅわしゅわと溢れ出てきた。これは炭酸飲料を未開封のまま振り、開けると溢れ出るあの現象だ。その泡が僕の手を汚し、ついには腕を伝い肘までやってきてズボンに沁みそうになる。危険を察知した僕は脊髄反射でパッとベンチから立ち上がる。


「うわっ、なんか溢れ出てきた!」


 そう言いながら慌てていると、くすくすと笑う声が聞こえてきた。今この公園には僕ら以外には幼児しかいないので、その声の主は容易に推測できた。消去法的に森さんだ。

 すぐにコーラの襲撃は収まったのでほっと一息ついたら、さらに森さんは笑い出す。こちらは本気であわわていたのにそんな風に笑われると、流石に好きな子だとしても不愉快になる。いや、好きな子だからこそ余計不愉快になる。怒った風に森さんを睨み付けると、さらに笑い出した。


「ごめんごめん。明らかに開けたらやばいってわかるのに、一気に開けて、絵に描いたように慌てるから。おかしくって」

「そんなの気づかなかった。教えてくれたらよかったのに」

「だって気づいてるもんだと思ったんだもん、ごめん」


 そしてしばらく大笑いしたのち、「ほら、あそこの水道で洗ってきなよ」と指をさして教えてくれたので無言でそちらに行きコーラを洗い流す。今日は腕をまくっておいて良かったと思いつつも、ついでにベタベタになったペットボトルも綺麗にしておく。

 戻ると森さんがタオルを持ってスタンバイしていたので、ペットボトルを渡して拭いてもらう。自分のカバンから汗拭き用のタオルを出して、腕や手を拭いていく。その横で自然に森さんはコーラを飲んでいた。そして「ん!」と右手を差し出してペットボトルの蓋の要求してきたので、渡す。

まるで子供みたいだな、なんて思いつつもやっとの事でベンチに座って一息つく。


「今日は、いろんなことがあったねー」


 いつもの森さんに戻った彼女はすっかり暗くなってきた空を見上げた。帰る頃は赤色だったはずの空は、もう暗い闇色に染まろうとしていた。


「そうだね、ある意味で刺激的な1日だったよ」

「ほんとにね、あの音がただの車のパンクした音でよかったよ」

「そうだね」


 違う、本当は銃の音でもよかったなんて思っている。そしてその「非日常」を君と共有したかったなんて言ったら気持ち悪がられるだろうか。普通に考えて、そうだろうな。縫い針で肌をチクリと刺されたかのような痛みを、胸に感じた。

 そんな心を悟られないように、無理矢理に笑顔を顔に貼り付けてその感情に蓋をする。


「あ、そうだ。私先に飲んじゃったけど、コーラどうぞ」


 コーラを差し出されたので、それを受け取り蓋を取って飲もうとしてあることに気がつく。


ーーあれ、このコーラってさっき森さんが口つけて飲んでたよな。


 そのこと気がつき、飲もうとした手が止まる。あまりにも不自然に留まったものだから「どうしたの?」と森さんが問いかけてくるが、今は問いに答えられる余裕も先ほどの感情を思い出す余裕すらない。だって僕は目の前のこのコーラを飲むことによって起こる事態を、思いつたんだから。


 そう、森さんが口をつけて飲んだコーラのペットボトルを僕が飲んだら?



ーーそれはいわゆる「間接キス」になるのではないか?



 その答えに改めて行き着いた時、隣から「あっ!!」となんとも可愛らしい声が聞こえてきた。多分彼女もこの事態に気付いてしまったのだろう。

 森さんとしては、気付いていなかったとしてもコーラを飲むことを進めてしまった。だから「飲まないで!」なんていうこともできないし、貰ったのもどちらかというと僕がおじさんにもらったようなものだから勝手にコーラを飲んで飲めないような状況を自分で作ってしまった。故意でないとしても。そんな状況に考えを巡らせて気づき、何もいうことも出来ないのだろう。

 かくいう僕も、好きな人から意図的ではないとしても「間接キス」できる機会ができてしまったわけで。けれど、お互いに気づいてこうなってしまった状態で飲むことなんて出来ない。けれど目の前のペットボトルからの甘い誘惑に、勝てきれない自分がいて手放すことができない。


 どうしよう、いっそのこと甘い誘惑に乗ってこのまま飲んでしまおうか。いや、一度踏み止まったのに飲むのはやはり気がひける。

 心臓が壊れたかのようにドキドキと体に響くように脈打つ。重く沈んでいた空気がいつの間にか甘いものに変わったような気もして、もしかしからいい雰囲気なのではないかと胸が膨らむ。


 二人して顔が見れないままにモジモジしていたら、後ろから聞き慣れた声がした。


「あれ、あすかじゃん、何してるの」

「え、隆也だ。そっちこそどうしたの」


 声をした方を見ると不機嫌そうに眉を寄せたイケメン、磯部隆也がいた。森さんは僕のことなど忘れてしまったかのように、体を隆也の方に向けた。嫉妬で、僕の顔がゆがんだ。


「俺はコンビニにジャンプ買いに。そしたらお前が敦士と一緒にいるのが見えたから、何してんのかと思って」


 僕の名前を言うときに、僕の方を向いて鋭い視線をよこしてきた視線には「邪魔だ」と言う思いが透けて見えていて思わずたじろぐ。その視線に気がつかなかったようで、森さんは普通に隆也に話しかける。

 二人は慣れ親しんだ独特の空気をまといつつ二人だけの世界を成形していた為、僕が入る余地は無かった。何か言おうと開いた口を、そのまま閉じた。悔しくなって僕は下を向いて、足ぞこを削るようにして地面を掘る。そしたら急に隆也は爆弾を落としてきた。


「二人は付き合い始めたのか?」


 その言葉は爆弾の中でも最大級の核爆弾並の威力を発揮し、場を静寂が包んだ。そして一呼吸おいた後、叫ぶようにこう言っていた。


「そんなことない!」

「そ、そんな! 付き合ってないよ!!」


 僕がそう言ったのと同時に隣からも否定の言葉が聞こえてきたことに驚き、二人して目を丸くして見合わせる。呼吸があったことに嬉しさを感じたが、内容が否定的なものだったのでチクリと胸が痛んだ。

 森さんの方から目をそらされてしまい、僕の顔が醜く歪んだのがわかった。


「たまたま、たまたま一緒に帰ってただけで。付き合うとか、そんなことまだ考えてなかったし!さっきも言ったじゃん、なんか流れで帰ってただけだって!」


 隆也に誤解されたくないのか、森さんは全力で僕との関係を否定してきた。

 僕もさっき照れ隠しで思わず否定してしまったが、ここまで全力で否定されると悲しいし森さんの気持ちにも気づいてしまう。


 彼女は好きな人に誤解されたくないから、こんな風に否定しているんだ。


 そう気づいた瞬間に、「パァン!」とどこかから音が聞こえた気がした。また車のタイヤでもパンクしたのだろうかと思い、どこかぼんやりとした思考で周りを見渡す。けれど周りに車の姿も見えないし、ましてやエンジン音すら聞こえない。ただ胸の辺りが妙にスースーする感じがするだけだ。必死に目を凝らしてみても、胸に手を当ててみても特に変化は感じられない。なぜなのだろうかと考えたら、一つの答えが導き出された。


 パンクしたのは僕の森さんに対する恋心なのだと。


 先ほどから期待なんかでしぼんだり膨らんだりしたこの心が、絶対に叶わないものなのだとわかり潰れてしまったのだと。もう期待しても、それは空気のように抜けていって膨らむことはないのだろう。


 僕は止まっていた体を動かし、カバンを前かごに入れて早くここからいなくなりたい一心で、自転車にまたがりペダルに足をかける。


「ごめん、これ以上遅くなると怒られそうだからもう帰らなきゃ」


 二人に向かって笑顔で捨て台詞にもならないただの挨拶をして、パンクした自転車をべコンボコン言わせて自転車を漕いで行った。顔は向けていたけれど二人の顔は見えなかった。けれどあいつは「ザマアミロ」とでも思っているんだろうな。負けた男がパンクした自転車を必死に漕いで逃亡する姿は、さぞ惨めだったことだろう。一刻前にあんな想像をしてしまた自分が恥ずかしくてしょうがない。羞恥で身が燃えてしまいそうだ。

 当て馬にすらならなかった僕は、さしずめ「いい人どまりの隣席の人」程度の登場人物だったんだ。そう気づいた時、顎から汗らしき液体がシャツへ落ちていった。


 僕がいなくなった後、あの二人でどんな話をしているんだろう。邪魔者がいなくなったから、さぞ話が弾んでいることだろう。そんなこと勝手に考えている自分が、嫌になって自転車をこぐスピードを上げる。漕いでも漕いでも、パンクした自転車じゃいつもより進まない。それに業を煮やした僕は更にスピードを上げるが、べコンと後ろが跳ねるたびにイライラが加速していく。


 何分間か立ち漕ぎで全力疾走した僕は流石に限界がきて、悪あがきはやめておとなしく自転車から降りることにした。急に足を止めると逆に辛くなるので、鉛のように重くなった足をなんとか動かして呼吸を整える。額からは汗が吹き出てきてついには顎に伝ってきて、地面に落ちた。

 カッターシャツの袖で汗をぐっと拭うが、すぐに袖が湿ってしまった。やっと呼吸が整ってきたので、自転車を脇に一旦止めてカバンから汗拭きタオル出して拭う。ふと見ると、カバンの隙間から中身から、突っ込んだコーラが顔を覗かせていた。


 思春期で傷つきやすい中での失恋は、僕の思考をおかしくさせたようだ。理性の一部が飛んでいて、普段ではできないようなことを思いついた。


 あいつはどうせ森さんとキスとかするんだろうから、間接キスくらい、僕がもらってもいいじゃないか。

 

 そう考えた僕は自転車を止めてからコーラをカバンから出して手に取り、蓋を開けた。プシュッと炭酸の抜ける音を聞いてから、一気に中身を煽った。コーラはもうぬるくなっていて、沢山振ったりしたせいかもうほとんど炭酸が抜けていた。そのせいであの独特の香りと、角砂糖を沢山とかした甘さをダイレクトに感じた。

 一気に煽ったせいでコーラが気管に入りかけて、思わずむせてしまい咳き込んだ。なんとか持ち直して涙目になりながらも残りのコーラを見ると、まだ半分近く残っていた。


「なにこれ、あっまい…」


 そう文句を言いながら再びコーラを煽る。ただ甘いだけの液体になったコーラは体の毒にしかならないようなものとしか感じなかった。けれど、僕はそれを無理やりにでも全部飲み干した。悪いとはわかっているけれど、飲み終わったペットボトルを道端に捨てて、重い足を無理矢理に動かした。


こうして僕は、すっかり暗くなってしまった道を歩いて帰っていった。









 次の日、思った通り最悪な夢を見て目覚めた。そのせいでこの日、僕は初めて占いを見ずに見ずに登校した。そして席について時間を潰していると、昨日までは心待ちにしていたこの声が廊下のざわめきから聞こえてきた。その声はとても嬉しそうだったが、僕はマイナスな気分になった。


 そして彼女が教室に朝練が終わって一緒に来たのであろうテニス部の部員の子たちと一緒に入って来て「おはよう」と挨拶をみんなにしていく。今日は彼女の方を見ずに、課題の確認をした。


「森川くん、おはよう」

「おはよう、森さん」


 この前まで心待ちにしていた朝の挨拶だったが、今日はこの時が来ないで欲しかった。なんなら無視したいくらいの気分だったけど、それでは変に周りに勘繰られてしまうのでいつも通りを心がけて挨拶する。

 すると彼女は明らかにホッとしたような表情をしたのち、恥ずかしそうにしながら内緒話をするように声を潜めて話し始める。


「あの、昨日はありがとうね? それでお話があるから、今日の放課後また一緒に帰ってくれないかな」


 その表情は今朝の夢も然り、何度か夢を見た時に彼女が僕に向けてくれた顔だった。夢の中の僕は、その表情にドキドキさせられ、胸を期待で膨らませていた。現実でやっと見れたと思ったら、こんな時なのだから神様とはつくづく意地悪だと思った。ただそんな感情は表には出せないので、表情筋を総動員して笑顔を形作る。


「うん、わかったよ」


 頑張ってそう返すと、彼女は嬉しそうな顔をして前を向きカバンの整理をし始めた。


 昨日までの僕なら、こんなことがあったら「告白かも」と期待しているのだろう。だけど今の僕はそんなことで、期待して胸が膨らまない。いや、そう思って期待はするものの心に空いた穴から期待が漏れ出てしまい膨らませ続けることが出来なくなってなってしまったのだ。穴から漏れ出た期待が不安へと変わり、全身へとじわじわと広がって行く。

 

 いつの間にか口呼吸をしていたようで、口の中がカラカラに乾いてしまっていた。水分を取らなければと思ったが、水筒を出すのも億劫になって唾を飲み込んだ。


「あっま」


 僕の口に、なぜか昨日飲んだ甘ったるいコーラの味が広がった。





 見ていただきありがとうございます。説明の通り、内容に沿った題名だと書かせていただきましたが納得していただけたでしょうか? 自分でもふざけたタイトルだと思いますが、それでも興味を持って最後まで読んでもらえて本当に嬉しいです。

 中学生の頃の微妙な閉塞感と、異性が無駄に気になりだす思春期まっしぐらな感じが書けないかと思って書いてみました。少しでも共感いただけたらいいなと思います。


 ここまで読んでいただき、本当にありがとうございました。


2019年1月5日 編集しました。「磯部くん」が「いそのくぅーーん」になってました。混乱させて、すみません。

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