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獣人さん、有り難う
『モエーはラノベ読んだり、ファンタジー系のゲームしたりする人?』
『まあ、程々には。
異世界転移とか、冒険者ギルドとか、魔物や魔法なんて事は知識としてはありますよ。
でも、物語の中の事だけで現実にはあり得ないと思ってました。』
『うん、そうだよね。
俺もそう思ってたんだよな。
でも、高校の卒業式が終わって友人との打ち上げに遅れると思って近道のあの林に入ったら、落っこちていたんだよね、ここに。』
『落っこちた?』
『そう。
あの高い場所から落ちて怪我して死にそうに痛かった。』
『そ、それで、どうなったんですか?』
『親切な獣人が助けてくれたよ。
その人がいたから俺はいまここで生きている。』
透明階段なんか付けたの誰だ~!
死人が出るところだったよ。