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第009話 街の散策と冒険者ギルド

やばい、そろそろ下書きのストックが…


 巨大な門を潜り、街を覆っている壁の内側へと入ったボクは、目の前に広がるファンタジーな世界観に感動を覚えていた。

 街中を行き交う人々が、人や獣人、それにエルフといった様々な種族がおり、街並みはよく物語に出てくる中世ヨーロッパ風な雰囲気である。

 

 目の前に伸びる、大通りと思える道の両端には屋台がいくつも並んでおり、そこから漂う美味しそうな匂いがボクのお腹を刺激し、腹の虫がグゥ~(飯を食え)と叫び始めた。

 そういえば、この世界に来てからまだ何も口にしていない。


 ちょっと買い食いしようかな!


 幾つかある屋台の中から、串焼きの店に決め、そちらへと足を運んだ。


「へいらっしゃい!何にする?」


 スキンヘッドに鉢巻きを結び、油汚れの目立つ白い前掛けをしているムキムキな店主に出迎えられたボクは、今まさに炭火で焼かれている、すごく美味そうな見た目と匂いを漂わせている串を指さし、それを下さいと注文する。


 焼かれている肉は、見た目に牛肉だろうか?と思ったのだが、屋台の前面に掛かれているメニューをみて、牛肉ではないと知る。


 そのメニューに掛かれているのは全部で4種類。


 ・ロックバード串 30ルース

 ・オーク串 20ルース

 ・ポトフロッグ 15ルース

 ・トルボア 15ルース


 このメニュー名からして、ここで焼かれている肉は、魔物、或いはモンスターと呼ばれるモノの肉が使われているのが分かる。


 だがしかし!そんなことはどうでも良い、名前は兎も角、見た目はすごく美味そうだ。

 一体どんな味がするのか楽しみだ。


 それから待つこと数分。

 肉汁をぽたぽたと落しながら渡された串焼きは、とても美味しそうに焼き上がっており、店主に20ルースだと言われ、ボクは支払いをするなり、串焼きにカブりついた。


 …!?うまっ!!

 これまで食べた事のある串焼きの中でもダントツの美味さだ。

 一噛みした瞬間、口に広がる肉汁がとても美味い!

 そしてこの肉!固過ぎず、柔らか過ぎずの絶妙な触感がまた最高!


 食べていた串焼きはあっと言う間になくなり、まだ食べ足りないと感じたボクは、その後に3本も追加注文してしまった。





「毎度あり!また来てくれよ!」

 

 店主の声を背に受けながら、ボクは再び大通りを進み始める。

 腹が膨れたところで、そろそろ今日の宿を見つけなければならない。


 というか、この街に着いた時点で真っ先にすべき事だった。

 幸いにも宿のある場所については門番をしていた衛兵に聞いているので大体の場所は分かっている。

 ただ、すでに時刻は夕日が沈み始める頃であり、衛兵から聞けた情報によると、その宿は駆け出し冒険者達にはとても人気があるらしい。


 果たして空き部屋はまだあるのだろうか?

 そんな不安を抱きながら、ボクは教えてもらった場所に向かい、大通りを進んでいく。


 しばらく歩き、宿までもう少しだと思える場所まで来たところで、ボクはその建物を見つけた。


 建物の中央にはスウィングドアがあり、そのドアの上には、盾の上で剣と槍が交差する絵の描かれた大きな看板がある。

 そしてその絵の下には、[冒険者ギルド、クラド支店]と書かれていた。


 今すぐ中に入り、冒険者登録というイベントをしたいところだけど、今は宿を探すことが最優先である。

 冒険者登録は明日する事にし、再び紹介してもらった宿へと向かい、歩き始めた。



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