第085話 後の苦労を忘れてた
「多すぎだろ…」
視線の先に居る大量のグリーンビートルに、ボクは小さく呟く。
パッと見、その数は約30匹と言ったところだ。
流石に全長70cm程の巨大な緑色の芋虫が30匹近くも固まっているその光景はちょっと気持ち悪い。
表情が引き攣るのも仕方がないというものだ。
だが、気持ち悪いそんな光景ではあるのだが、同時にこれはとても美味しい状況でもある。
なんせ、目の前には|討伐対象(銅貨5枚)がこんなにもいるのだから。
「ざっと150枚か…」
ボソリとそう呟くと、その声に反応したルーリアはこちらへと振り返り、ボクの顔を見るなり呆れた様子を見せる。
「顔、にやけてますよ」
おっと、どうやら考えが顔に出てしまっていたようだ。
ボクは「ゴホン」と一つ、わざとらしい咳ばらいをした後すぐに表情を戻し、どう攻めるかを考え始める。
グリーンビートルはそう強い魔物ではない。
寧ろ弱い魔物なのだが、流石にこれだけ数のところに突っ込むわけにはいかない。
「だったらやっぱりここは…こいつの出番だな」
そう言いながらボクは、[心具]を剣から杖へと切り替えた。
隣に立っていたルーリアは、ボクが手にしている杖を目にし、これから何をするのかを察したらしく、武器を構えながら一歩後ろへと下がった。
そんなルーリアの様子を視界の端に映していたボクは、グリーンビートルの群れに向かい杖を構える。
そして次の瞬間、視線の先に居たグリーンビートルの群れ全てをターゲットとした、広範囲版のアースグレイブが放たれた。
「すごい魔法ね」
大量に出来上がったグリーンビートルの串刺しが並ぶ光景を見ながら、ルーリアは呆れた表情でそう口にするのだが、頭のお耳はピクピクと周囲の音を聞き分けるかのように動いているので、警戒は怠って居ない様子だ。
そんなルーリアに協力してもらい、ボク達二人は串刺しグリーンビートルがちゃんと死んでいるかを確認していきながら、その死体を収納の腕輪の中へと取り込んでいく。
それから1時間程は経っただろうか?
漸くすべてのグリーンビートルを収納の腕輪へと取り込み終えた。
取り込んだ数は全部で38匹。
銅貨5枚×38匹、つまり今の魔法一撃で銅貨190枚を稼いだことになる。
「低ランククエストの割りにボロ儲けだね」
「ホントすごいわ。まだ森に入ってから2時間くらいしかたってないのに、もうこんなにも稼げているなんて。けど…」
そう言うと、嬉しそうな表情は一変し、憂鬱そうな表情で溜息を吐いた。
「後でこれら全てを解体しないとって考えると、面倒だね」
それを聞き、そんな後の事を考えてなかったボクはその場に崩れるように両膝と両手を地につけ、暫しの間うなだれる事となった。




