第080話 お迎えがやって来た
一応書いておきますが、この話は前作の第12話に出て来た、山に下りていく影に関連したお話です。
ふと気が付くと、ボクは月明りに照らされる森の中に横たわっていた。
「何処よここ…」
身体を起こし、辺りを見回してみると、ここが山の頂上だという事が分かった。
また山の上か、なんて思いながら月明りに照らされる景色を眺めると、この山から少し離れた場所に、街の明かりを発見した。
しかし、その街はクラドではないようだ。
何故なら、その街にはお城存在しているからである。
「城があるって事は、ここは王都付近?」
お城があるので間違いはないだろう。
ただ問題は、何処の国の王都なのか、という事である。
当然クラドから離れた事のないボクに分かるはずも無い。
「とりあえずあの街に向かうしかないか」
そう独り言を零し、下り坂のある方へと向かって一歩目を踏み出したその瞬間、頭上から降り注ぐ月明りが消え、周囲は暗くなる。
突然の事に驚いたボクは視線を真上へと向け、そこに居た存在を見て更に驚いた。
なんとそこには、全身が黒い鱗で覆われた、西洋風の巨大なドラゴンが浮かんでいたのだ。
「うわぁぁ!!」
勝てる気がしない相手の唐突な出現に、ボクは情けない声をあげながら尻もちをつく。
終わった。
そう思った次の瞬間、頭の中で声が聞こえて来た。
『そう怯えるでない。我は創造主様に命じられ、そなたを迎えに来たのだ』
「へ?迎え?」
目の前の存在が敵ではない事、そしてこの場に居る理由を聞いたボクは、声を裏返しながらそう口にすると、ドラゴンは『うむ』と短く答えた。
『どうやら創造主様はそなたを転送させる際、座標は設定したが、転送先の世界と時間軸を間違えたらしい』
「世界を?それに時間軸?…えっとつまり、ここはルヴィアートではない別の世界の過去か未来って事ですか?」
『うむ。ここは女神モイラ様の管理する世界、アルカレイドの過去である』
[女神モイラ]そして[アルカレイド]という、すごく覚えのある2つの単語が聞こえたその瞬間、ボクは驚きと同時に感動を覚えていた。
『何をそんなに喜んでいるのだ?』
ドラゴンの言葉にハッとする。
どうやら表情に出ていたらしい。
「いえ、なんでもないです。すみません」
まるでルビーの様に赤く大きな瞳で此方をじっと見つめるドラゴンに対し、ボクは右手の人差し指で頬をかきながらそう答える。
元々いた世界で読んでいたWEB小説の世界に来れて感動していたなんて言ったところで、多分この人、いや、ドラゴンには分かってはもらえないだろうし。
『ふむ?まぁ良い。そんな事より今は、そなたを連れて戻る事の方が重要だ。さぁ我が背に乗るがよい』
そう言うと、空に浮かんでいたその巨体を静かに大地へと降ろし、こちらに背を向けながらそっと地に伏せた。
どうやらボクに気を使ってくれているようだ。
「し、失礼します」と恐縮しつつその背を登り、大きな翼の間まで来たところで、ドラゴンに向かい「乗りました!」と声をかけた。
『では落ちぬよう、しっかりと摑まっておくのだぞ』
その言葉が聞こえたと同時に、ドラゴンはその大きな翼を羽ばたかせ、空へと勢いよく飛び上がる。
ドラゴンの背にいたボクは、必死に大きな鱗に摑まり、襲い掛かる風圧に耐えるのであった。
何度か文章の訂正しまくってたので、まだ何処かミスが残っているかもしれません。
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