第077話 成長完了
部屋の中央にテーブルと、壁に解体用の刃物がいくつかあるだけの小屋に入ってから1時間程が経過し、漸くオークとウルフの解体が終わった。
流石にまだアミルに書いてもらったメモを頼りに頑張っている状態なので、少し時間が掛かってしまったが、それでもこのタイムはボクの中で最速である。
まぁ、それもこれも女神ラケシスが用意してくれた、解体用の刃物セットの切れ味がめちゃくちゃ良かったからかもしれない。
明らかにボクの心具の剣よりも切れ味が良かったと言い切れるレベルだったのだ。
「(というか、豆腐を斬る様な感覚で肉や骨を斬れるっておかしいだろ…)」
後であの道具を譲ってもらえないか聞いてみようかな?なんて思いながら小屋から出ると、女神ラケシスは宙に浮かぶ黒いパネルを操作し、何かの作業をしていた。
何をしているのだろうかと思いながら近づくと、女神ラケシスは小屋から出て来たボクに気付き、その作業を中断、そしてそこにあった黒いパネルはまるでテレビの電源を切った時の様に姿を消した。
「お疲れ様。無事、解体を終えたようですね」
「はい。所で先程は何をしていたのですか?」
女神としての仕事をしていたという考えも浮かんだのだが、何故か妙に先程の事が気になり、ボクは女神ラケシスに向かいそう尋ねる。
が、その質問に対し女神ラケシスは笑顔で「秘密です」と答える。
どうやら絶対に教えてくれそうにもない。
なんだかすごく気になってきたのだが、これ以上聞いても無理そうなので、さっさと諦める事にし、解体道具をどうにか譲ってもらえないか?という交渉を始めようとしたのだが、心を読んだのか、声に出すよりも早く「絶対にダメです」と笑顔で断られてしまった。
「ですがユウキさんの心具も、どんどん成長させて行けば、アレ等に近い性能になるはずです」
「本当ですか!?」
とても嬉しい情報に、ボクは両手をテーブルにつき、喜びの表情を浮かべながらそういうと、女神ラケシスは「但し!」と更に言葉を続ける。
「その為に必要な素材の入手は、それ相応に苦労する事にはなります」
あれほどの性能に近づけるとなれば、それ位は仕方のない事だろうと納得をする。
だが、そんな事よりもアレに近い性能の武器を手にする事が不可能ではないという事が分かっただけで、ボクは十分に嬉しかった。
やる気に満ち、右手で握りこぶしを作ってガッツポーズしていると、そんなボクの様子を見ていた女神ラケシスは、小さく笑みをこぼした。
「やる気は十分のようですね。先は遠いかもしれませんが、頑張って目指して下さいね」
「はい!」
「それじゃあその第一歩となる、心具の剣の成長のやり方について説明しますね」
そうして始まった心具の成長方法についての説明を、ボクはウキウキ気分で聞き始めたのだが、その内容はほんの少ししかなかった。
というのも、その方法というのが成長させる武器で、成長に必要となる魔石を軽く叩くだけで良いというものだったからだ。
そんな短い説明を受けた後、実際にやってみたところ、手にしていた剣は眩く輝き始め、その姿を変え始めたのだった。
次回、漸くあちらの世界に!
…いけるといいな




