第071話 焦り
タイトル変更しました。
[心具]を正眼に構え、ボクはじわりじわりと摺り足でウルフへと近づいて行く。
当然ウルフを相手にするのは今回が初めてなので、いつも以上に気合を入れる。
徐々に距離を詰めていき、ウルフとの距離が3m程となったところでボクは足にグッと力を込め、思いっきり地を蹴る。
ウルフとの距離は一気に縮まり、攻撃が届く程になったところで、ボクはその手に持つ剣を身体の左側へと引き、全力で横薙ぎに払うのだが、なんとウルフはその一撃をバックステップで回避した。
「なっ!?」
思いっきり振り抜いた一撃を回避され、ボクは驚きの声を上げるが、この場に留まるのは危険だと、すぐさまバックステップでその場から離れ、再び距離を取り直した。
「(ステータス的にはボクの方が上のはずなのに、まさか避けられるなんて…流石にフォレストドックみたいに簡単には倒せないって事か)」
それならばと、ボクは腰に差していた古木の棍棒を左手に持ち、ウルフに向けて構えた。
「アースグレイブ!」
ボクは掛け声と共に魔法を発動する。
すると、ウルフの足元に尖った岩が出現し、次の瞬間、それは岩槍となってウルフの腹に目掛けて勢いよく射出される。
岩槍の先端がウルフに突き刺さりそうになった瞬間、ウルフはソレを避けるようとその場から飛び退いた。
…が、しかし、完全には避けきれなかったようで、岩槍はウルフの横腹を掠め、その白い毛を赤く染めていく。
倒す事は出来なかったが、ダメージは与えられた。
その事実に、内心で「よしっ!」と喜びながら、再び古木の棍棒を構え直し、アースグレイブをもう一度放とうとした瞬間、ウルフがボクに向け飛び掛かって来た。
「嘘だろ!」
横腹に受けたダメージのせいか、ボクの攻撃を避けた時よりもその動きは遅く、突然のウルフの飛び掛かりに驚きながらも回避する事が出来た。
その後もウルフは着地と同時にその身を翻し、再びボクへと飛び掛かってくる。
それも一度や二度ではない。
まるでその行動はボクに魔法を使わせまいと、もしくは狙いを付けさせないようにと何度も何度も飛び掛かってくる。
これでは魔法は無理だと早々に諦めたボクは、四度目の飛び掛かりを避けた辺りからずっと[心具]でのカウンターを狙っているのだが、中々そのタイミングがつかめず、結局避け続ける事に集中する事となる。
「(くそっ!このままじゃオークがここまで来てしまう)」
もうかなり近いところまで来ているオークの臭いに、ボクの中で焦る気持ちが大きくなる。
早く決着を付けなければ!
そんな焦る気持ちに油断が生まれ、もう何度目になるか分からないウルフの飛び掛かり攻撃に反応しきれず、ウルフとのすれ違い様、左肩に爪による攻撃を受けてしまった。
「っ!!」
「ユウキ様!!」
避けきれず傷を負ったボクの姿を見て、ルーリアは声を荒らげた。
肩に走る鋭い痛みに耐え兼ね、ボクは両手に持っていた[心具]と古木の棍棒を手放し、右手で左肩を押さえ、その場に片膝をついてしまう。
この状況はマズいと思うが、何故か追撃が来る事はない。
不思議に思い顔をあげると、視線の先では攻撃を止め、呼吸を荒くしながらこちらを睨むウルフの姿があった。
どうやら幸いな事に、相手も体力切れになっているようだ。
後方に居るルーリアの方を横目でチラリと覗くと、丁度こちらに駈け出そうとしていたので、此方は大丈夫だから引き続き背後の警戒を頼むと告げ、ボクは右手で[心具]を拾いあげ、その切っ先をウルフに向けて構えた。
ストーリー上で紹介されず、設定のテキストにだけ書かれていたウルフのステータスがこちらになります。
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ウルフ
レベル14
力 33
体力 39
魔力 5
精神 13
素早さ 26
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そしてこちらが現時点での主人公のステータス
(現時点では設定資料にのみ書かれている)
東 祐樹 19歳
(アズマ ユウキ)
セレニアの主
(ルーリア)
レベル11
力 43(+28)
体力 45(+27)
魔力 36(+24)
精神 44(+25)
素早さ 49(+31)
スキル
鑑定
全属性魔法 Lv1
ユニークスキル
心具
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見ての通り、ウルフは主人公よりもステータスが低いです。
けどウルフ戦でおされているという‥‥




