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第066話 涙と混乱


 宿に戻ったボク達は、まずは風呂に入る事にした。


 受付に座っていたミラノに二人分のお風呂代を払った後、ルーリアと別れボクは男湯へと足を踏み入れる。

 まずは体を洗い、汚れを落とせたところで、それから少しの間、湯船に浸かってまったりとした時間を過ごした。


 そして約30分後 風呂から上がったボクは部屋に戻ると、ベッドに腰かけ、タオルで尻尾の水気を拭き取っているルーリアの姿があった。


「おかえり、ユウキ様」


「ただいま。少し待たせちゃったかな?」


「ううん。私も少し前に戻って来たの」


 確かに未だに拭き取り続けている尻尾は兎も角、髪や猫耳の方も雫が滴らない程度には湿っていた。

 それから暫く、今日の戦いの事についてルーリアと話をしながらのんびりと過ごし、夕食の時刻になったところでボク達は食堂へと向かい、今夜も美味しい夕食を腹一杯頂いた。


 そして食事も終わり、部屋へと戻ったところで自分のベッドで仰向けになっていると、ルーリアはそっとボクのベッドに腰かけ、小さめな声で話しかけて来た。


「ユウキ様、今夜はどうしますか?」


 一瞬ルーリアの質問のあ内容が分からなかったが、すぐにその意味を理解する。、


「ど、どうしますって、な、なにがかな?」


 一応確認の為にと、ルーリアに聞き返すのだが、明らかにボクの声は上擦り、しかもその口調はどもってしまう。


「なにがって、私を抱くのかどうかという事です」


 少し恥ずかしそうに答えたルーリアの言葉に、ボクの心臓の鼓動が早くなる。

 と言っても、このドキドキは完全に焦りから来ているものだ。


「ち、因みに、ボクが抱くと答えた場合、ルーリアはそれでもいいの?」


「うん。大丈夫、覚悟は出来てるから」


 堂々とした声で答えたルーリアのその表情には、不安の色が浮かんでいた。

 そんなルーリアの表情を見た瞬間、早くなっていた鼓動はスッと落ち着き、浮ついていた思考もすぐに冷静なものとなる。


 ボクは体を起こし、そっとルーリアの頭に手を乗せ、優しく話しかけた。


「そんな不安そうな顔で覚悟が出来てるなんて言っても、説得力が無いよ」


 自分が今どんな表情になっているのか分かって居ないルーリアは、ボクの言葉に驚き、目を丸くする。


「それと、ルーリアがその気にならない限り、ボクは無理やり抱いたりはしない。だから安心して、ってルーリア!?」


 目を丸くしたまま固まっていたルーリアの瞳から流れ出た雫が頬を濡らす。

 そんなルーリアの様子に今度はボクが驚く事となり、どうしたらいいのかも分からず、慌てふためくのだった。

 

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