第062話 それはどういう意味なの!?
|異世界版ホーム〇ンター《雑貨屋》でかなりの時間を費やし、家具と雑貨類の選別が漸く終わったところで清算を頼んで見た所、なんと合計額は3万520ルースとなったのだが、大量購入という事で3万ルースにまけてもらえる事となった。
結構大きな出費となったのだが、これは全て必要経費なのだから仕方がないのだと自分に言い聞かせ、支払いを済ませるなり購入した品々を次々と収納の腕輪へと取り込んでいく。
その際、買い物中に担当をしてくれていた二人の女性店員と、最初にボク達を出迎えた男の店員は、次々に収納されていくその様を見て驚き、全てを取り込み終えるまでの間、ずっと口をポカンと開いたままになっていた。
こうして新たな生活に向けての買い物も終わり、ボクとルーリアは、正気に戻った3人の店員に見送られながら店の外に出ると、辺りはすでに夕焼けに染まっていた。
「もうこんな時間か、ってそういえば!」
そろそろ宿に戻ろうかと言おうとしたところで、ボクは漸くルーリアの部屋を取っていない事に気付き、声を上げる。
「ど、どうしたんですか!?」
驚きながらそう聞いてくるルーリアに、宿の事について話すのだが、ルーリアは同じ部屋でよいのでは?と言い出した。
確かに寝る場所については 先程購入した家具の中からベッドを出せば問題は無いのだが、問題はボクが男で、ルーリアは可愛い女の子だという点だ。
無いと言い切りたいが、もしも、なんて事があるかもしれない。
いや、当然ボクとしても紳士的に対応するので、襲い掛かるような真似はしないつもりだ。
そのような危険性がある事をルーリアに説明するのだが、ルーリアは「何も問題ないのでは?」と答えた。
「(え?どういう事!?)」
ルーリアの反応に、ボクの頭は混乱する。
今のは一体どういう意味なのだろうか?
眉をしかめながら悩むボクの様子に、ルーリアはクスッと小さな笑み浮かべていた。
「さぁユウキ様、いつまでも突っ立ってないで宿にもどりましょ?」
尚も答えが出ないまま、ボクはとりあえずルーリアの言葉に賛同し、[旅人の宿り木 クラド店]に向けて歩き始めた。
「あらユウキさん、お帰りなさい。そちらの方は?」
宿に着くなり、受付に座っていたミラノがボクの姿をみるなり声をかけ、隣に立つルーリアの事を聞いてきたので紹介すると、ミラノは「ふーん」と言いながらニヤニヤとした表情をボクに向けて来たのだが、ボクはそんなミラノに反応する事も無く、只々ポーカーフェイスを貫き、ルーリアの食事代を追加で支払い、部屋の鍵を受け取って2階の部屋へと向かった。
部屋に入ると、休む事も無く今日買って来たルーリア用のベッドやチェストの設置を開始する。
まずは部屋の隅にチェストを取り出し、設置。
そして傍にあるテーブルの上にルーリアの分の服屋や下着の入った袋、そして雑貨類も取り出した。
それらの片づけをルーリアに任せ、次はベッドの設置に移る。
と言っても置ける場所は一か所しかないので、何処に置こうかとか悩む事はなかった。
唯一設置出来るその場所、それはボクの使うベッドの真横だ。
しかもお互いのベッドがくっつくレベルの距離。
「(今夜、ボクはちゃんと寝れるかな…)」
これまでに女性と同じ部屋で寝た経験が無い初心なボクは、並ぶベッドを見ながらそんな事を考えていた。