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第060話 ルーリアへのお願い


 マリスティア邸へと戻って来た後。


「何故か二人とはまた会える。そんな気がするのだ」


 そう口にしたマリスティアと別れを告げ、ボクとルーリアはマリスティア邸を後にし、街の中央をまっすぐ伸びる大通りへとやって来ていた。

 目的は今後の生活に必要となるものを買う為である。


 そんな訳で早速買い物を始めようと思ったが、その前に一つしておくべき事をするとしよう。


「ルーリア、君に一つお願いがあるんだけど、聞いてもらえるかな?」


「お願い、ですか?」


 そう言って首を傾げるルーリアの姿は、普段よりも更に可愛いい。


「出来れば今後、畏まった言葉遣いは無しにしてもらいたいんだ」


「しかしそれは…」


 そう口ごもるルーリアの表情は困惑の色を見せる。


「あ、でも、元々そういった言葉遣いだったのならそのままでもいいからね?要は、ルーリア自身が気楽に接してくれた方が、ボクとしても楽なんだよ」


「分かりました…ううん、分かった。ユウキ様がその方が楽だというのなら、今後は畏まった喋り方はしないようにするね」


 意外にもアッサリと言葉遣いを改めたルーリアに、ボクは内心で驚いていた。

 だが、言葉遣いは変わっていても、まだボクの名前には敬称が付いていた。


「出来れば様付けも無しにしてもらえない?」


「ごめんなさい。セレニアは主様に対して敬称を付けずに呼ぶと、身体にあるセレニア紋が反応して身体全体を激痛が襲い掛かる仕組みになっているの」


 そう答えるルーリアの頭の猫耳はペタンと倒れ、尻尾はどこかションボリしているようにも見える。


 不謹慎にも、そんなルーリアの悲し気な姿も可愛らしく思えたのだが、同時にあまり見ていたくは無いと思え、ボクはさっさと話題を変える事にした。


「いいっていいって!ボクも気にしない事にするからさ!ね?それよりもほら、早く買い物を始めようよ、ね?」


「…うん」


 少しの間をおいてから返事をしたルーリアの表情は明るさを取り戻しており、倒れていた猫耳もピンと起き上がっていた。  


「それじゃまずはルーリアの服から買いに行こうか」


「え?私の服ですか?」


 そう言って驚きの表情を向けるルーリアだが、持っている服は今着ているメイド服と、予備のメイド服が一着あるだけなのだ。

 確かに猫耳メイドというものは素晴らしいが、出来ればもっとオシャレをさせてあげたい。


 そんな風に思っているボクは、これ(メイド服)があれば十分だと言うルーリアの言い分を拒み、その手をとって服屋を探す為に、再び歩き始めた。

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