第055話 それはまるで親に怒られている様だった
最後の方の一部を訂正(気にする程でもないレベルの訂正です)
「ところで、ユウキ君は家を借りたりはしないのか?」
3個目のクッキーに手を伸ばそうとしたところでマリスティアがそんな質問をして来た。
「家ですか。確かにいつまでも宿を利用し続ける訳にもいけませんしね…因みに、家ってどれくらいで借りられるんでしょうか?」
「そうだな、私もあまり詳しくはないが、仮に小さな一軒家を借りるとして、大体、月々6000から8000ルースといったところではないか?」
思った以上に安かった。
明らかに宿を借り続けるよりも安いではないか。
マリスティアの言う小さな一軒家というのがどれくらいの家なのかは分からないが、それにしても安すぎる。
今利用している宿が、お風呂込みで一泊500円だから、1月で15500ルースとなる。
因みにこの世界の31日で1月となり、それの12カ月で1年である。
「意外と安いんですね。それならちゃんとギルドで依頼を受けてれば十分に稼げそうだし、後で探しに行ってみようかな。因みに家を借りるにはどこに行けばいいんですか?」
あまりこの街を散策していないと言うのもあるが、今のところ不動産らしき店は見た覚えが無いのだ。
「それなら…」
そうして始まった、マリスティアの口頭による道順の説明が始まるのだが、この街の事をあまり知らないので、どこどこの建物が~なんて説明されたところで分かる訳も無く、結局地図を描いて貰った。
その後、この街にある有名どころをあちこち紹介してもらいながらも、ティータイムは続く。
そしてお替りしていた紅茶と追加されたクッキーが空になった頃、ふと見た窓の外が茜色に染まり始めていた。
「もうこんな時間ですか。紅茶とクッキーご馳走さまでした。そろそろ宿に戻りますね」
そういって立ち上がると、マリスティアが「ん?」と不思議そうな表情をする。
「宿に戻るのか?別に今夜も泊まっても良いのだぞ?」
有難い申し出なのだが、折角宿代を払っているので無駄にはしたくないのだ。
後、この部屋は広くてなんだか落ち着けない。
まだ少し、体が怠い感じが残っているので、出来れば落ち着けるあの宿でゆっくりと休みたい。
そんな訳で…
「いえ。有難い申し出ですが、今日は戻る事にします」
マリスティアの申し出を断り、また明日の昼頃に来ると約束し、ボクは二人に見送られながらマリスティア邸を後にした。
その後、場違いに思えるような貴族街を抜け、見慣れた道を通り、宿へと辿り着いた。
「あら?ユウキさん!3日も戻らないから心配してたんですよ!?」
「ご心配をおかけしてすみません。いやぁ、実は3日前のあの日…」
そういってボクは3日前の事を説明し始めた。
そして最後まで話したところで、話を聞いていたミラノが溜息をついた。
「もう!無茶しすぎですよ!そんな事ばかりしてると早死にしてしまいますよ!」
座っていたイスから立ち上がり、腰に手を当てながら話すミラノの姿に、ボクはまるで親に叱られているような気になり、素直に謝る。
「ごめんなさい」
「まぁ、冒険者の方に無茶をしないでって言っても仕方ない事ですからあまり言いませんが、ホント、気を付けてくださいね?」
「はい…」
しゅんとなりながらもそう返事をする。
そんなボクの様子を見て、ミラノは再び溜息を吐いた。
「とりあえず部屋はそのままにしてありますから、夕食を食べた後はお風呂にでも入って、早めに休んだ方が良いですよ」
「そうします」
そう言って差し出された部屋の鍵を受け取り、ボクは借りている部屋へと向かった。
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