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第536話 主導権のない国王様


 ルーリアがセレニアではなくなった日、その夜ナツキ達が土産もって我が家に戻って来たので、それを使った豪勢なお祝い料理が出された。

 因みにお土産はつい先日食べたばかりの、あの極上肉であり、料理はルーリアではなく、ナツキの妻達が作ってくれたのだ。


 余りのおいしさに無言で目の前の料理を食べ続ける時間があったりしたが、全員が幸せな一時を過ごせたのは間違いないだろう。


 全員が満足した夕食後は、男女に分かれてお風呂に入る。

 男も女も大人数になるがナツキが作ってくれたお風呂は広く、窮屈な思いをすることはない。

 のびのびと湯船に浸かって一日の疲れを癒した後、お風呂から上がり広間でのんびりとした一時を過ごしている内に女性チームも広間にやって来た。


「それじゃあちょっと早いけど、そろそろ部屋に戻りますね。ナツキさん達の部屋はそのままにしてるから、前と同じ部屋を使って下さい」


「おう。ありがとな。皆、俺達もそろそろ部屋に戻ろうか」


 ナツキが自分の家族に向けて声をかけると、それに賛成とばかりに立ち上がり、その様子を見ていたクロエ達も続いて立ち上がり、それぞれが夜を過ごす部屋へと向かう。

 

 そうしてルーリアと二人で自室へと戻ったボクは、二人きりの時間を過ごしたわけだが…

 何故かすごく恥ずかしがるルーリアには、結局”ユウキ”とは呼んでもらえないまま眠りに就くことになり、ちょっと残念に思えた。 

 なので近い内に、もう一度チャレンジしようと思っている。


 そんな一夜が明けた後、ボクはナツキとの鍛錬を、そしてルーリア、クロエ、アミル、シャルロットの4人はナツキの妻達から秘密の花嫁修業という事で、ボクの知らないところで何かを学びながら過ごしていた。

 気づかばあっという間に一日一日が過ぎて行き、とうとう結婚式を挙げる日がやって来た。


「おはようユウキ殿。今日は絶好の結婚式日和となって喜ばしい限りだ」


 式の準備の為に朝からお城にやって来たボク達を、ヘルムート王が笑顔で出迎えてくれたのである。 

 なぜ国王ともあろう方が出迎えてくれているのか?と疑問に思いながらも、とりあえずこちらも挨拶をしておく。


「おはようございます。まさかヘルムート王自ら出迎えていただけるとは、光栄の至りでございます」


「そう畏まる必要もない。それに、今日の事は妻が全ての主導権を握っていて私のする事が特に何もないのだ。やれる事と言えばこうして婿殿達の出迎えをするくらいなのだよ」


 どう答えたらいい物か困りながらも、ボクは愛想笑いでその場を凌ぐ。

 するとヘルムート王は「おっといかんいかん」と笑うのを止め、再び口を開く。


「何時までもここで引き留めてしまっていては妻に怒られてしまうな。既にシャルは準備を始めているから、婿殿達もそれぞれの部屋に向かって準備を始めてくるとよい」


 そう言うなりヘルムート王は懐から小さなベルを取り出し、チリンチリンと2度鳴らす。

 すると程なくして、一人のメイドが正面の階段から降りて来た。


「この者達をそれぞれの部屋に案内してやってくれ」


「畏まりました。皆様、こちらへどうぞ」


 呼ばれて来たメイドに案内され、ボク達はヘルムート王に見送られながら2階へと続く階段を上る。


「男性の皆様はそちらのお部屋にどうぞ。お嬢様方はこちらへ」


 そう言われボクとマルクは左の廊下の一番手前の部屋へと入り、ルーリア達は右側の廊下の方へと案内されていった。

  

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