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第535話 セレニアからの解放


 仲睦まじいく笑い合っていた4人だったが、不意にクロエが落ち着きを取り戻す。


「ところで、ルーリアが最初っていうのは決定見たいっすけど、その次は誰が子供を作るんすか?」


 この一言を切っ掛けに、つい先ほどまで笑い合っていたはずのアミルとシャルロットの表情が真剣なものへと変わった。

 唯一、既に1番の座が確定しているルーリアだけは苦笑いを浮かべている。


 3人がけん制し合う中、最初に口を開いたにはシャルロットだった。


「出来れば2番目を私に譲ってもらえないでしょうか?」


「確かにシャルロット様は立場上お早めにお子を授かる必要があるでしょうから、ルーリアさんと同じタイミングに小作りするのがよろしいのでは?そしてルーリアさんとシャルロット様が落ち着き次第、私とクロエさんも子を授かるというのが良いのでは?」


 突如始まった妊娠の順番決め。

 ボクの意見は一切必要ないらしく、女性チームだけで話は進んでいき、その後もあれやこれやと話し合った結果、最初にアミルが提案した2組ごとの前半後半に分かれるという事で決定した。

 ボクその話し合いが為されている間、何一つ言葉を発していない。

 というより、発言しようとすると何故か睨まれて黙らされたので、その後からは見届ける事しか許されなかったのである。


 一応ボクも当事者なのだから、少しは話し合いに参加させてくれても良いのではないだろうか?


 そんなこんながありながらも、妊娠問題が解決したところでボク達は本日の目的地であるセレニア商へと向かう。

 目的地は今いる場所からそう遠くは無い場所にあり、移動を始めて数分程で到着する。

 因みに場所は王都の南門から中央に向けて大通りを少し進んだ所である。


 店に到着後、オーナーに用件を伝えたところでアッサリと手続きが済み、オーナー自らセレニアからの解放作業を行ってもらえ、ついにルーリアは一般人となったのである。


「これで漸くルーリアさんにも敬称無しでよんでもらえますね」


 嬉しそうにそう口にしたのはシャルロットである。

 その視線は真っすぐルーリアに向けられており、二人の視線が合わさったところでシャルロットが再び話し始めた。


「というわけで、ルーリアさん、私の事をシャルと呼んでいただけますか?」


「私も私も!アミルって読んでみて!」


 シャルロットに続き、アミルまでもが敬称無しで呼んで欲しいと言いだしたので、ボクもその流れに乗ってみる。


「じゃあボクもユウキって!」


 そう言った瞬間、ルーリアの表情が一気に赤くなる。

 最近の夜伽でも、ここまで恥ずかしがる姿は見た事がない。

  

「ん~、これはユウキさんは無理そうっすね。なので夜にでも個別にお願いしてくださいっす」


「その方が良さそうですね。という事でまずは私達の事、様付け無しで呼んでください。後、出来れば私の事はシャルと呼んでくれた方が嬉しいです」


 確かに今のルーリアの様子ではボクの名前を様付け無しで呼ぶのは無理そうだ。

 仕方ないが、ボクは今夜にでもルーリアと二人っきりの時間を作るとしよう。

 

 そんな事を考えながら4人の様子を眺めていると、程なくして3人はルーリアに敬称無しで名を呼んでもらえて喜び合っていたが、ふと未だにボク達はセレニア商にお邪魔したままである事に気づく。

 何も言わず、ただ静かにボク達の様子を温かく見守っていたセレニア商のオーナーにお礼を言い、ボク達は店を後にして我が家へと戻った。

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