第532話 経験者と未経験だった者の差
もしかしたら4人がお風呂場に乱入してくるかもしれない。
そんな事を思いながらもお風呂に入っていたボクだが、結局誰も入ってこないままだった。
20分程のんびりとしたところで風呂から上がり広間へ行くと、そこには誰も居ない。
「あれ?皆どこへ?」
キョロキョロと部屋の中を見渡していると、テーブルの上にサンドイッチが3つ乗ったお皿と、紙切れが一つ置いてある事に気づく。
「これがボクの夕食ってわけか。で?こっちには何が…」
サンドイッチを一つ口食べながら、紙切れを手に取り裏返すと、そこには[アナタの部屋で待ってます]と書かれていた。
その文章を見た瞬間、盛大に咽てしまったのは仕方ないと思う。
「何とも分かりやすいメッセージなことで」
ニヤケ顔でそんな事を口にしながらも残りのサンドイッチを全て食べ終えたボクは、部屋で待っているであろう皆の元へと向かった。
そしてその夜、ボクの部屋では”初めて”と”いつも通り”な行為を楽しみ、5人で仲良く2つ並べたベットの上で眠りに就いた。
翌朝、目が覚めると両腕と両足に柔らかな感触がする。
それぞれの部位を見てみると、右腕にルーリア、左腕にクロエ、右足にシャルロット、左足にアミルが抱き着いている。
「(両手両足がすごく幸せなこの状況だけど、トイレにも行きたい…)」
そんな葛藤を繰り返しながらも、結局我慢の限界にチャレンジしていたボクだが、限界を迎えるよりも先にルーリアが目を覚まし、朝の挨拶(キスも込みで)を交わしている内に残りの3人も目を覚ましたので、ルーリア同様に挨拶をしていき、終わったところでボクはトイレに直行した。
それから数分後、無事にトイレを済ませて部屋に戻ると、4人の姿はそこにはなかった。
耳を澄ませると広間の方から声や物音が聞こえてくるので、どうやらそちらに移動しているようだ。
さっさと着替えを済ませて広間に向かうと、そこには昨夜の様なエロスは当然無く、普段通りな姿のクロエとアミルの姿が。
そしてソファの上にはうつ伏せで横たわるシャルロットの姿があった。
「あ、ユウキさん間にあったっすか?」
「うん。ちょっとギリギリだったけど無事に…ところで、大丈夫シャル?」
ちょっと辛そうに見えたので声をかけると、赤らめた顔を少しだけ此方に向け、小さく「大丈夫です」と答えた。
ルーリア達の時もそうだったが、初めての後は暫くの間体に違和感があるらしい。
そのせいで暫くの間は普段通りに歩き辛くなるそうだ。
「まぁ、昨夜の疲労もあると思うし、暫くはそっとしといてあげてくださいっす」
シュルロットとは違い、全く平気そうな様子のクロエがニヤニヤしながらそう口にする。
確かに少し無理をさせてしまったかもしれないし、疲労も残っているだろうから今はそっとしておいてあげるとしよう。
「ルーリアは、朝食の準備中?」
「そうっす。今朝は簡単な物にするって言ってたっすから、すぐに出来ると思うっすよ」
クロエにそう言われ、少しの間クロエとアミルの二人と他愛のない話をしながら時間を潰していると、10分程してルーリアは人数分のサラダ付きハムエッグと山盛りのパンをキッチンワゴンに乗せて運んできた。
シャルロットは動くのがちょっと辛そうではあるが、頑張ってテーブルについてもらい、ボク達の朝食タイムは始まる。




