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第531話 襲うのか、襲われるのか


 狩りを終えた帰り道、気合と根性を絞り出しながらも何とか僕は走り続けた。

 移動速度は行きの半分位になってしまっていたが、それでも何とか王都の入り口までの道のりを走り切った自分を、全力で褒め称えたいくらいだ。


 因みに空はとっくに陽が落ちており、星空が綺麗に広がっていた。

 門前に居た衛兵に通行許可をもらい街中へと入ったボク達二人は、そのまま我が家を目指して足を進めるのだが、その道中でふとナツキの足が止まる。


「そういえば今夜はウチのメンバー、宿に泊まるんだったわ。ってことで、オレはこっちだから!じゃあな!」


 そう言うと、ナツキは片手をあげながら来た道を戻り始めてしまう。

 突然のそんなセリフと共に去って行くナツキの行動に驚いたボクは、すぐにその背に向け「どうして急に!?」と疑問を投げかけるが、帰って来たのは「帰ればわかるさ」というセリフだけだった。


「え?」


 どういう事だと首を傾げている内に、ナツキの背中は暗闇の中へと消えてしまった。


「この状況から考えられるのは、ボクが家に帰るとそこで何らかのイベントが発生するってパターンかな?」


 今起こった出来事から、そんな予測を立てるボク。

 伊達に色々な小説や漫画を読んできてはいないので、それ位は分かるのだ。


「問題はどんなイベントが待っているかだけど、ナツキさん達が家から出ていくという事は、その場に居づらい状況が出来るのか、それとも只単に空気を読んでなのか…」


 この後に待ち受けるイベントの詳細について更に考えながら、ボクは再び家に向けて足を進め始めた。


「(考えられるとしたら、家でボクにサプライズ的な何かが待っているってところか?そうだとしたら、何が理由で?ボクの誕生日ってわけでもないし、何かの記念日?…違うな、じゃあルーリア達の誰かか?それも違うな…)ん~」


 色々と考えを巡らせるが、結局分からないまま家の前に到着してしまう。

 仕方ないが、予想するのはここまでの様だ。


 そう思いながら玄関を潜り、人の気配がある広間の方へと足を運ぶ。

 部屋の前に到着し、ノブに手を伸ばしてその扉を開くとそこには、ルーリア、クロエ、アミル、シャルロットの4人が立っていた。

 しかも 4人共下着姿にベビードールを着ているだけの姿である。


「「「「おかえりなさい」」」」


「た、ただ、いま」


 出迎えてくれた4人の声とその姿に驚き、ボクの返事はぎこちないものになってしまう。

 

 一体これはどういう状況なのだろうか?

 

「えっと…4人共、何でそんな格好をしてるの?いくらナツキさん達が居なくなったからって、まだ家にはマルクやクミも…」


 と、そこまで口にして漸くこの建物内に二人の気配がない事に気づいた。


「マルク様とクミ様なら、今夜はナツキ様達と一緒に宿の方へと行ってるから居ないわよ」


 なるほど、という事はつまり、別れ際にナツキさんは遇えて二人も一緒だという事を言わなかったのだろう。


「そうなの?いや、そうだとしても誰かが訪ねてくるかもしれないんだし、せめてちゃんとした服を!」


「大丈夫です。今夜はこの家に誰も近づかないよう、家の周りを城の者達が見張ってくれていますから」


「え!?」


 考え事をしながら歩いていたせいか、ボクはそれらしい人が居た事には気付けなかったらしい。

 というか、何故そんな手配をしているのだろうか?


 もしかして襲われるのか?それとも襲わされるのか?


「(あれ?そもそも結婚はもう確定しちゃったわけだし、本人がっていうか、周りが協力するレベルって事なら問題ないのか?)」


 寧ろそれを求められているようなのなら、答えるのが男としての誠意なのではないだろうか?


「(いや、そもそも本当にそういう目的だったのかどうかが確定した訳でもないんだから、せめて恥をかかない為にも確認だけはしておくべきだよな)」

 

 ほぼほぼ間違いないだろうと思いながらも、確認しようと決めたボクなのだが、問題はどういう風に聞くべきかである。

 が、その事を考えるよりも先にクロエが口を開く。

 

「とりあえずユウキさん、先にお風呂に入ってきた方が良さそうっすね。あちこちが汚れたままっすよ」


「あ、そうだね。そうするよ」


 確かに今日一日中無茶ぶりをされ続けていたので、体中汚れまくっている。

 聞きたい事についてもお風呂場でのんびりと考えれるので、クロエの言葉に従い、ボクは一人お風呂場へと向かうのだった。

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