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第053話 マリスティアの願い


[第011話 これでボクも駆け出し冒険者]の話の後書きに、冒険者ギルド[超]大雑把な見取り図を追加しました。

(きっと、いや、多分最低限の配置は分かってもらえるレベルかと!)


短時間でしたが、一度訂正したのを元に戻しました。

「ルーリアの所有権を受け取ってくれないだろうか?」


 願いとは一体何なのか?

 それについて訪ねたところ、マリスティアはそう答えた。


「え!?」


 所有権という単語に、ボクは漸く[セレニア]という単語の意味が、メイドではなく奴隷だったという事を確信する。

 そして同時に、何故マリスティアはボクにそんなお願いをしたのかと疑問に思い、尋ねる事にした。


「どういう事、でしょうか?」


「詳しい話は出来ないのだが、明後日、私は実家に戻らなくてはならなくなったのだ」


「なら一緒につれていけばよいのでは?」


 ボクがそういうと、マリスティアは頭を横に振る。


「私の実家はね、セレニアという存在をあまり快くは思っていないのだよ。もし連れて帰ったりしたら、きっとルーリアは辛い日々を過ごす事になってしまうだろう。かと言って契約を破棄し、セレニア商へと戻したところで、次の契約者が良い人とは限らない。下手をすると実家に連れて帰るよりも酷い事になるかもしれないのだ」


「だからボクにと?もしかしたらボクもルーリアさんを酷い扱いするかもしれませんよ?」


 まぁ、する気など全くないが。


「いや、君はそんな事をしないはずだ」


「何故そう思うんです?」


「君のギルドでの評判と、君が泊まっていた宿の女将に話を聞いた上でそう判断した。それに、私の勘が君になら譲っても大丈夫だと告げている気からかな」


 判断材料が少ない上に、勘を頼りにするのは正直どうなのだろうか?


「因みに私の勘はよく当たるんだ」


 そう言うマリスティアの表情は、妙に自信に満ちている。


「…はぁ。マリスティアさんがボクの事を信用してくれているのは分かりました。ですがボクにはセレニアを持つ程、お金に余裕はありませんよ?」


 そう口では言っているものの、内心ではルーリア(猫耳メイド)が傍にいてもらいたいと思っている。


「であろうな。だがこのキングボナコンの素材を売った分と、肉を売った分を合わせれば、それなりの額にはなるだろう?」


 そう言ってマリスティアは、バドソンに視線を向ける。

 バドソンはボクとマリスティアが話している間、ずっと木箱にもたれ掛かっていたのだ。


「そうだな、仮に全てをギルドが買い取ったとして、43万ルースといったところだろうな」


「43万!?そんなにするんですか!?」


 思っていた以上の金額に驚き、つい大声を出してしまう。


「上質な毛皮に骨、更には高ランクな魔物の魔石だ。そのくらいの価値はある」


「因みにその魔石だけでどれくらいの価値がありますか?」


 出来る事ならば魔石を残したいと考えているボクは、その価値をバドソンに尋ねてみると、なんと魔石だけで15万ルースもする事が判明した。


「ユウキ君は魔石を残しておきたいのか?」


 バドソンにした質問で、マリスティアはボクの考えに気付いた様子だ。


「もし魔石を残したとしても、28万ルースになる。それだけあれば問題はなかろう?だからどうか、ルーリアの為にもあの子の所有権を受け取ってくれ」


 この世界における一般的なセレニアの扱いがどんなものなのかは分からないが、こうしてルーリアの為と頭を下げたマリスティアの姿に、ボクはルーリアの事を引き受ける気になり、マリスティアにソレを伝えた。

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