第052話 流石にそれは…
「ワシか?ワシはバドソン。ここのギルドマスターの補佐だ」
右手の親指を自分に向け、自己紹介をしたバドソンは、ニカッ!という擬音が見えそうなスマイルをボクに向ける。
ボクはそんなバドソンに、ただ「は、はぁ」と生返事を返すだけだったのだが、頭の中では「え?このタイミングで出てきてその見た目のくせにギルドマスターじゃないの?」と考えていた。
バドソンの見た目はそれ程に屈強な感じなのだ。
多分異世界転移や異世界転生した人がこの体験した場合、間違いなく補佐ではなくギルドマスターだと勘違いするはずだ。
といっても、ボク以外で異世界転移や異世界転生をした人なんて知らないし、居るのかすら分からないから証明のしようは無いけどね。
「あ、えっと、ボクはランクFのユウキです」
「ほう、中々まじめな性格の様だな。…よし!こっちだ」
そういってバドソンは受付の中に通じているであろう扉へと向かい歩き始めた。
なんだかよく分からないが、ついて行けばいいのだろうか?
チラリとマリスティアの方を見てみると、マリスティアは目が合った瞬間小さく頷き、バドソンについて行く。
それに続き、ボクもすぐに二人の後を追いかけた。
扉の先は通路となっている。
構造的に左側に見える扉は受付の向こう側に見えていた事務所に通じているはずだ。
次に少し進んだ先に見える右手のドアについているネームプレートには、ギルドマスターの部屋と書かれている。
そして最後に正面に見える扉には、倉庫と書かれたネームプレートが見えている。
先頭を歩くバドソン、そしてその後ろをついて行くボクとマリスティアは、正面に見える倉庫の中へと入って行く。
倉庫内は家が一軒は居る程の広さがあり、何故か少し気温が低かった。
「あの奥に預かっている物がある」
そう言ってバドソンが指さす先には、大きな木箱が2つ置かれている。
その大きさから、キングボナコンの素材はかなりの量があったと思われる。
バドソンは木箱の蓋を開け、ボクにその中身を見るように勧める。
中を覗いてみると、そこには骨やら毛皮等が入っている。
「これに内訳が掛かれているから、確認してくれ」
バドソンにそう言って差し出された用紙を受け取り、それに目を通していく。
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・毛皮(ほぼ全身分)
・牙×2本
・鋭い歯×32本
・角×1本
・堅い骨×8本
・魔石×1
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これらの素材にどれ程の価値があるのかは分からないが、キングボナコンの強さから考えると、かなりの良い収入が見込めそうだ。
そんな事を思いながら、早速マリスティアと素材の振り分けについて話す事にする。
「マリスティアさん、この中で欲しいものありますか?」
そう言いながらも、心の中では魔石以外でお願いします!と願っている
「いや、それは全てユウキ君が受け取ると言い」
「え!?いや、流石にそれは…」
「いいんだ、だがその代わりに一つ、私の願いを聞いてくれないだろうか?」
そう言ってマリスティアは真剣な表情でボクを見ていた。
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