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第422話 直下型が襲ってきた


「すまない。ちょっと前に在庫がきれちまったんだ。次の入荷は明後日になる」


「そうですか…」


 材木の調達をするため、ボク達は取り扱っている店をアミルに聞きいて足を運んだが、残念ながら売り切れてしまっているらしく入手する事が出来なかった。

 帰り際にどこか他に売っているところがないかと尋ねてみたが、材木はここでしか売っていないそうだ。

 というのも、ここの店主が木の伐採から材木としての加工まで全てを担っているらしい。


 それを聞いたボク達は、店を後にした後そのまま街の外へと足を向ける。

 流石に門のすぐ近くでやるのは目立つので、街を囲う壁に沿って東側へと少し歩いていく。


「それじゃあボクが木をいくつか切るから、みんなは先に枝打ちを始めてて」


 3分程歩いた先で足を止め、そう指示を出してから伐採を開始。


 [心具]の斧を手元に出現させたボクは、すぐ近くにある直径60㎝程はありそうな木の根本付近目掛け、一気に振り抜いた。

 斧の性能が良いのか、ボク自身のステータスが高いからなのか、手に多少の抵抗を感じながらも木は一撃で切り倒すことが出来た。


 倒れた木に集まっていくルーリア達を見た後、ルーリア達に被害が出ない程度に離れた場所にある直径70㎝程の木を次のターゲットに選んで斧を振る作業を繰り返していく。

 この調子なら木を倒すスピードの方が速いかと思ったが、枝打ちチームの方を見てみると、ルーリアとマルクが枝打ちをし、クロエとクミが枝打ちが終わった木を一か所へと集めていた。

 そんな連係プレイをしているおかげか、こちらの伐採スピードに追い付いてきている。


「もう少しスピード上げてみようか…」


 試しにとこちらの作業スピードを上げてみると、枝打ちチームも動きが早くなる。

 しかもまだ余裕があるように思えるので、それならばとこちらも更に一段階と徐々に上げていく。


「ちょっとお父さん!もういいんじゃないの?」


 お互いにこれ以上の作業スピードアップが無理だと思われてきた頃、クミからストップの声が掛かる。

 気づけばかなりの数の長い丸太が積み上げられており、周りを見渡すと森の一部、約4ヘクタール分の木がなくなっている。

 完全に必要ない分まで伐ってしまっている。


 競う事に夢中になってしまい、予定よりも時間が過ぎてしまっている。

 とは言え、ここに来てからまだ1時間くらいしかたってはいないが…


 積み上げられた丸太を収納の腕輪に取り込み終えたボク達は、依頼主の元へと向かい木材を納品する。

 対応してくれた執事に納品の確認をしてもらい、確認が取れたところで依頼完了のサインをもらって今回の依頼が終了となる。

 収納の腕輪の中にはまだ沢山の丸太が残っているが、そちらはいつかきっと使い道が出来るだろう。


 貰ったサインを大事に仕舞い、報告をすべく冒険者ギルドへと向かうのだが、中央広場を通り過ぎて大通りを更に南へと歩いていたその途中、再び地震が起こった。

 今回のは少し大きいようだ。

 午前中のが震度3だとすれば、今回のは5くらいだろう。

 ただ、午前中の地震は横揺れだったのに対し、今回は直下型だ。


 周囲から上がる悲鳴。

 離れた場所からは何かが崩れ落ちたと思われる大きな音が聞こえてきた。

 ルーリアとクロエも短い悲鳴を上げており、マルクに至っては声は出ていないがその場で頭を押さえて蹲っている。

 流石のボクとクミも驚き戸惑っている。


 3秒、4秒、5秒と地震と悲鳴、そして何かが崩れ落ちていく大きな音は続き、7秒程したところで漸く揺れが収まった。

 それに気づいて他の人達よりも早く落ち着きを取り戻したボクとクミは、まず怯えて蹲っているルーリア達を落ち着かせ、皆が少し落ち着いたところで辺りに視線を巡らせてみる。

 その場から見える範囲の建物がいくつか崩れてしまっており、静かになっていた周囲から再びいくつもの悲鳴が上がり始めたのであった。


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