第042話 杖の力は偉大である。
誤字を見つけたので訂正しました。
10m程先の木々の間に見えるのは、ピンク色の肌をした2足歩行をする豚。
つまりオークである。
前回行った鑑定では、確かレベルは15位で、ステータスは力と体力に特化していた。
記憶が正しければボクの3倍近くの数値だったはずだ。
それだけでも十分脅威なのに、更には特化していない部分でもボク同じくらいの数値はあるのだ。
但し、魔力を除く。
そんな強敵を倒せるなんて思いは微塵も無く、結局あの時は逃げる事しか出来なかった。
だけど今回は状況が違う。
今回のボクには魔法がある。
しかも[心具]の杖によってかなり強化された魔法だ。
昨日見たあの威力を考えれば、きっとオークも倒せるはずだ!
そんな自信を持ちながらも、いきなり仕掛ける事はせず作戦を立てようと、一度木の陰に身を隠し、如何すべきかと思案を始める。
「(倒すだけの事を考えるなら火の魔法が良いかもしれないけど、流石にそれはマズいよな)」
周囲には木々があり、ましてや火の魔法で攻撃した場合、買い取ってもらえる素材が確実にダメになる。
まだオークに手加減なんて出来る程ボクは強くないので、全力で魔法を使うつもりだ。
そうなると魔石の消滅も十分にあり得る。
よって今回は火以外の魔法で戦うしかない。
「(出来るだけ一撃で、しかもあまり周囲に被害を出さないモノが良いから…そうだ!地の魔法にしよう)」
ふと思いついたのは、地面から鋭く尖った岩が飛び出し、敵を串刺しにするというものである。
これならばほぼ確実に仕留めれるし、もし仕留めきれなくても足止めする事は出来るはずだ。
「(この魔法はアースグレイブとでも名付けようかな)」
早速オークに向かい魔法を…なんて事はせず、念の為にと一度その光景をイメージしておく。
そしてイメージの予習が終えたところで、今度は離れた場所に居るはずのオークの様子を伺う。
先ほどよりも少しだけ近くに来ている様だが、一度距離を取り直しておいたおかげで問題は無い。
木の陰に隠れたまま、ボクは気持ちを落ち着かせる為、一度静かに深呼吸する。
そして深呼吸を終えると同時に、ボクは木の陰から姿を現した。
オークはボクとは反対方向を向いており、まだ気づいていない。
チャンスとばかりに、[心具]を標的に向けて構え、アースグレイブの魔法を発動させた。
すると次の瞬間、此方に背を向けたままキョロキョロと周囲を見ていたオークの足元から、一本の石の槍が勢い良く飛び出しその身体を貫いた。
「ブギャァァッ!!」
貫かれたオークは苦悶な声を上げつつもがき続け、次第にその体から力が抜けていく。
そして魔法が発動してから約1分近くたった頃、ついにオークは動かなくなり、同時にボクの身体が一瞬光を放った。
それはつまり、ボクのレベルが上がった事を意味し、同時にオークの死亡が確定したという事である。
幾つかの幸運に恵まれた結果ではあるが、こうして無事にオークを倒す事が出来た事を喜びつつ、ボクは石の槍に貫かれたままのオークの元へと近づき、その死体を収納の腕輪へと取り込んだ。




