第393話 お返事
翌朝、先に起きていたルーリアに優しく起こされ、ボクとクロエはまずお風呂に入りに行く。
昨夜は3人でちょっとばかりハッスルしていたので、さっぱりしておきたいのだ。
因みにルーリアも起きてすぐにお風呂で体を流してきた様子だ。
その証拠に石鹸の香りがしていた。
お風呂でサッパリした後は、皆揃っての朝食の時間となった。
「お父さん、別にお父さんの性癖をどうこう言うつもりはないんだけどさ、せめて二人の身体の見える所に縄の跡がつくような事は控えた方が良いと思うわよ」
「「「っ!!ゲホッゲホッ」」」
朝食もそろそろ終わりそうだと思えた頃、突然のクミの言葉にボクとルーリアとクロエの3人が揃って咳き込んだ。
マルクだけはただ静かにボク達から視線を外し、気配を消すかの如く静か食事を勧めている。
確かに昨夜はそんなプレイをしていたが、決して無理やりというわけじゃない。
ちゃんと合意の上での事なのだ。
「まぁ二人が嫌がってない様子だから合意の上なのだろうけど、程々にね。それはそうと、ルーリアさんにクロエさん。あの占いの事なんだけど、もしかして子供が出来るってわけじゃなく、シャルロット様がお父さんと結婚するって事じゃないかな?ほら、丁度手紙も来た事だし、この事を暗示していたのかもよ?」
ボク達の事をよくわかっている様子のクミは、勝手に話を進めていく。
あの時の占い結果はルーリア、クロエ共に同じであり、その内容は近い内に新しい家族が増える、というものだったはず。
確かにこのままいけば1月後に開かれるお祝いパーティーの場で、ローレライ王妃あたりにその話をされるという可能性が十分に考えられる。
そうなればボク達の新しい家族としてシャルロットを迎え入れる事になるだろう。
いや、寧ろボクが彼女の家族に迎え入れられる方か?
「(そんな事になったら面倒事だらけになるな、絶対に避けないと)」
改めてそう心に決めたボクは、朝食を再開する。
が、ボクに続くようにしてルーリア、クロエ、クミの3人も朝食を再開するのだが、ルーリアとクロエの表情は少し沈んでいた。
「二人が拒まない限り、子供はその内出来るんだから、落ち込む必要は無いんじゃない?」
「そうよね!」
「そうっすよね!」
クミの言葉に反応しておきながら、ボクの方に向かって揃って返事をする二人。
ボクとしても否定する気持ちなんてないし、二人をガッカリさせたくないという一心で「がんばろうね」と答えたのだが、その時のボクの顔はきっと赤くなっていた事だろう。
すぐ近くで呆れたようなタメ息が聞こえてきたが、スルーだ。
その後、朝食が終わりルーリアが片付けをし始めた頃、玄関の方から声が聞こえて来た。
声からしてアーヴィングが来たみたいだ。
玄関に向かい出迎えると、早速アーヴィングは手紙の返事を聞いて来たので、参加する事を伝えるとすごく喜ばれた。
「良かった。これで安心して陛下にご報告できる」
すごくホッとした様子を見せるアーヴィングだが、もしもボクが断っていたら何かの不都合が生じていたのだろうか?
「おっとこうしては居られない!少しでも早く陛下に吉報をお届けせねば!ではこれにて失礼させていただきます!」
勢いよくお辞儀して、アーヴィングは早足で我が家を後にし、街中を行き交う人々の中へと消えていった。
きっと彼はあのまま王都に向かうのだろう。
「あんなに急いで大丈夫かしら?」
ボクの隣に立ったクミが、アーヴィングの姿が消えていった方向を眺めながら心配する。
が、彼は国王直属の近衛兵である。
心配する必要は無いだろう。
「きっと大丈夫だよ。さぁボク達もそろそろギルドに行こうか」
「それもそうね。で?今日はどんな依頼にするの?」
アッサリと納得した様子のクミにそう聞かれるが、どんな依頼があるかは見に行かないと分からない。
とりあえずは討伐系の依頼を受ける方向であると答えておき、ボク達は出発の準備を始めるのであった。




