第375話 近づく気配
死んだファイアドレイクを収納の腕輪に取り込むと、何かを感じ取ったのかクミが慌てた様子で早く皆の所に戻った方が良いと言うので、急いで来た道を戻り始めた。
行き道で魔物が居なかったので、帰りは前方を遠くまで照らす様に光の魔法を使用し、ボク達は駆けていく。
そして1つ2つと分岐点を通り過ぎ、3つ目の分岐点を過ぎて少ししたところで、突然クミの足が止まる。
「どうした?」
「…なんだか、嫌な気分になるものがすぐ近くまで来ている気がするわ」
「嫌な気分になるもの?」
なんだそれは?と思った瞬間、ふとクミがファイアドレイクの縄張りに居ると嫌な気分になると言っていたのを思い出した。
という事はつまり…
「魔物が近づいている、ってことか?」
「多分そうね。しかもこの感じからして、ファイアドレイクよりかは強そう?」
なんで疑問形なのか、という事は今はさて置き、そんな奴がルーリア達の元に現れたら流石にマズい。
そう思った瞬間、ボクはクミに急ごうと伝え、再び入り口目指して走り始めた。
「あら?ユウキ様もクミ様もそんなに急いでどうしたの?ファイアドレイクは?」
数分後、洞窟内から走って来たボク達に一早く気付いたのはルーリアが、不思議そうにボク達に話しかけてきた。
クロエやマルク、そしてディランドもルーリアと同じく不思議そうにボク達を見ている。
「ファイアドレイクの方は無事に倒したよ。というよりも、弱っていたからトドメを刺しただけなんだけどね。その辺の詳しい話はまた後でするとして…それよりもクミが嫌な気配を感じ取ったらしくてさ、しかもその気配はここに向かってきているらしい」
「嫌な気配?それって一体…」
そうクロエが口にした瞬間、ボクとルーリアとクロエの3人は同時に近づいて来る臭いに反応し、揃って空を見上げる。
そんなボク達を見て、マルク、ディランド、そしてクミの3人も空を見上げる。
視線の先には青い西洋風なドラゴンがこちらに向かって飛んできている。
しかもサイズは元の姿に戻ったクミと同じくらいありそうだ。(全長約7m)
「あれはまさか!」
空を見上げながら驚愕の声を上げるディランド。
どうやらアレの事を知っている様子だ。
「なんでこんなところにフロストドラゴンが!?」
どうやらあの青いドラゴンの名前はフロストドラゴンと言うらしい。
見た目や名前からしてかなりの強敵と予想できるが、ひとまず鑑定をしてみるべきだろう。
そうこう思っているうちに、ボクから数メートル離れた空中で停止したフロストドラゴンに対して鑑定スキルを発動させるのだった。




