第279話 ただ思っただけ
結局ボクとルーリアは辛くない注文をし直してそれを食べた。
尚、ボク達の前に置かれてあった料理はクロエに食べてもらった。
あげといてなんだけど、よくクロエはあの量を食べきれたものだ…
実質4人前はあろうかという程の量があった上に、あんなにも辛いというのに。
そう思っていたが、ボクは、いや、ボクとルーリアはそれ以上に驚く光景を目にした。
なんとボク達のすぐ隣に座っていたアランさんがそれ以上に多くの料理を食べていたのだ。
全然太っていない人物であり、その食べた量はどうみても人の胃袋の限界を軽く超えていた。
一体あの身体の何処にあんな量が入っていたのだろうか?
そんな謎が残ったまま、ボク達の食事は終わる。
「あまりお二人には満足してもらえなかったっぽいっすね。なんか申し訳ないっす」
「いや。後から注文した料理は普通に美味しかったし、満足してるぞ?なぁルーリア」
「ええ。確かに最初来たアレは兎も角、普通のものはとても美味しかったわ」
「それなら良かったっす」
ボク達が満足したと答えた事に、クロエはホッと胸を撫でおろす。
「ただ、アレを食べさせられた事への仕返しは…させてもらわないと、な!」
呟くようにそう口にしながらゆっくりとクロエの背後へと回り込み、そこにあったフサフサ尻尾の付け根を優しく握りしめた。
「ひゃう!?」
獣人にとってそこは敏感な場所であり、クロエはソレに輪をかけて感じやすい体質である事は、行為の最中に確認済みだ。
そんな場所を握られたものだから、クロエは条件反射で可愛らしい声を漏らしてしまう。
「いきなりなんて酷いっす!ひゃっ!や、やめるっすよ~」
ボクの方へと振り返り、声を荒らげたクロエだが、今度はルーリアに尻尾を両手で掴まれ、更には弄ばれている。
クロエは放して欲しそうにするが、身体に力が入らないのか、その場にペタリと座りんでしまった。
その後、ボク達二人から仕返しを受け続けたクロエが何やら艶めかしい声を漏らし始め、ソレに影響を受けるかのようにスイッチの入ったボクとルーリアは、立てなくなったクロエを二人で宿まで運んでいくのだった。
その道すがら、ふと思う。
最近頻度が増えてる気がする、と。
ただ、そう思ったところで別に抑制するつもりなんて全く無かったりするボクだった。