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第259話 過剰な戦力が行く


 ホルトスへの謝罪の場にて、迷惑をかけたお詫びとしてギルドで余っている依頼を1つ無料で受ける約束したボク達は、ギルドホールへと戻り、受付にて手続きをしてもらっていた。


「依頼の受理が完了しました。期限は明日から2日後のお昼、12時までとなっておりますのでよろしくお願いします」


 そう言ってボク達全員分の冒険者カードを差し出す受付の男性。

 ボク達はその中から自分の分を手に取り、落とさないようにと仕舞っていき、全員が仕舞い終えたところでボクは皆の方へと体を振り返らせた。


「それじゃあ今日はとりあえず宿に戻ろうか」


 外はもう陽が傾き始めており、依頼も明日からという事でそう提案したところ、ラビリアはボクから顔を反らし、他の皆からは賛成という言葉が返ってきた。


 相変わらずラビリアはボクと会話をしてくれない。

 というよりも、冒険者ギルド(ココ)に来てからというもの、未だにボクと1秒以上視線を合わせる事すらない。


 当然ボクは何かした覚えはない。

 寧ろココにきて初めて会ったくらいである。


「(もしかしてクロエが彼女と口論している時に、何か変な事を口走ったとか?…一応後でクロエから何を話したのか聞かないとな)」


 このまま会話すら難しい状態では、明日から始める討伐(・・)依頼中、ずっとモヤモヤしてしまいそうだ。

 そう考えたボクは、とりあえず先程の提案を拒否している様子はなさそうだと思い、ラビリアにはまた明日の朝にギルドで集合とだけ伝え、ボク達は宿へと戻った。


 宿に戻るなり、ボク達は部屋割りをしてそれぞれの部屋へと入っていく。

 当然ボクはルーリアとクロエの二人と同じ部屋であり、アミル・クミ・マルクが同じ部屋だ。


 部屋へと入ると、早速ボクは決めていた事を実行する。

 まずはクロエを床に正座させ、次にボクはベットに腰かけてからルーリアを膝に乗せる。

 その状態のままルーリアの鳩尾()を撫でながら、クロエにラビリアが口をきいてくれない件について話を聞き始めのだが、その原因はクロエに関係はなかった。

 どうもラビリアは元から初対面の人(男性限定)に対してはあの様な態度をとり、慣れれば普通に話をしてくれるらしい。

 しかも結構人懐っこい性格だとか。


 これによりクロエの疑惑は晴れるのだが、クロエの正座は継続させる。

 疑惑は晴れたとしても、まだルーリアへの肘打ちの件が残っているのだ。


 それから30分後、足の痺れに苦しみながらも何度も謝るクロエの姿に、ルーリアが可哀そうだと言うので許すことに、その夜はルーリアを抱きしめながら眠りについた。


 翌朝、アミルに見送られながらボク達は集合場所である冒険者ギルドへ向かう。

 するとその道中でラビリアと偶然会えたので、そのまま街の西にあるという門へ向かう。


 今回受け依頼は、街から西に歩いて5時間ほどの距離にあるという丘の上に住み着いた、緑の悪魔と呼ばれる昆虫を討伐するというものだ。

 依頼を受ける際に聞いた情報によると、その魔物は名前の通り緑色であり、身体は細長い筒状になっていて足は合計で6本。

 内2本は前足だろうと思われ、その2本の前足はまるで死神の鎌な鋭い刃があるらしい。


 その説明を聞いて頭に浮かんだのは、完全にカマキリの姿である。

 ただ、鎌の部分は死神の鎌のようだという話なので、多分ボクが知っているカマキリとは多少違うところがある気がする。 


 そんなカマキリの魔物だが、強さ的にはCランクの冒険者が3人以上で戦うのが推奨とされる程らしい。

 ボク達の中には純粋にBランクの強さをもつクロエと、そのクロエと同程度の強さだというラビリアも居るし、ボクはクロエにも勝てる強さを持っている。


 …うん、負ける気がしないな。


 戦力過剰なメンバーに安心しながらも、ボクはピクニック気分で討伐対象が居る丘に向けて足を進めていた。

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