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第240話 良い景観か名残惜しい感触


「私のお話は以上でお終いですが、他に何か聞いておきたい事とかありますか?」


 杖タイプの今後について少し考えたところで、女神ラケシスがそう問いかけられたボクは、そこで漸くある事に気付いた。

 それは、先程までいた場所にはクロエが居たという事だ。


 クロエはナツキ達が別の世界の住人である事や、ボクがこうして女神ラケシスに呼ばれたりすることを知らない。

 だというのに、そんなクロエの前でボクは女神ラケシスに呼び出され、姿を消したことになる。


 これはどう誤魔化せばいいのだろうか?


「その事なら問題はありません、今回はユウキさんの意識だけを連れてきているので、身体はあちらに残っていますよ」


「よかった。それなら何も問題は無いですね」


 今更思考回路を読まれた事に反応する事も無く、ボクはホッとする。

 どうやら面倒な誤魔化しをする必要はなさそうだ。、


 その後、再び女神ラケシスは他に聞きたい事は?問うてきたのだが、特に聞きたい事も思いつかなかったボクは”いいえ”と答えた。

 

「それでは、そろそろユウキさんを元の場所にお送りしますね」


 そう言って指をパチンと鳴らすと、ボクの足元に光る魔法陣が出現し、同時にボクの意識はだんだんと遠のいていく。

 そしてそのまま、ボクの意識はだんだんと薄れていき、少しして途切れてしまうのだった。




 次に目が覚めると、正面には何度も楽しませてもらった事のある双丘が目に入る。

 どうやらボクは今、ルーリアに膝枕をしてもらっているようだ。


「あ、起きたわ」


 膝にのったボクの頭が動いた事に気付いたルーリアは、そう言いながらボクの顔を覗き込む。


「もう少しこのまま眺めてたい」


 思った事をそのまま口にしてしまい、それを聞いたルーリアが苦笑いを浮かべる。


「そういうのは家に帰ってからにしろ」 


 足元から聞こえて来たナツキの声に、ボクは人前で口にしてしまった事を恥ずかしい気持ちになりながらも体を起こした。

 すると、ボクのすぐ隣に座り、モジモジとしながらも何かを言いたそうにしているクロエの姿が目に入る。

 

「どうかしたか?」


「えっと、そろそろ私も我慢するのが辛いので、解放してもらえるとありがたいっす」


 そう言いながらクロエは視線をボクの手の方へと向かい、ボクもそちらへと顔を向けると、そこにはクロエのフサフサ尻尾を、無意識ながらもニギニギするボクの手があった。

 

 …なるほど。 

 つまり、先程ナツキが”そういうの”と口にしていたのは、ボクの話した内容ではなくコチラの事、もしくは両方の事だったようだ。


 意識してしまった事で名残惜しく感じつつも、流石にこの状況もマズいと思ったボクは、クロエに謝りながらその手から尻尾を解放するのだった。

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