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第024話 明日(あす)からの為に


 初の戦闘から約1時間程経った頃、ようやく気持ちを落ち着かせる事が出来た。

 血の匂いに慣れたのか、それとも鼻の感覚が麻痺したのかは分からないが、とりあえずこれで魔法も使うことは出来そうなので、まずは辺りに落ちている燃えそうな枝や落ち葉を集め、フォレストドックの死体を焼く準備を始めた。


 散々胃の中のモノを吐き出したせいもあり、ボクの体力にあまり余裕はない。

 この死体を燃やし(片づけ)、近くに生えているアーリンの花を幾つか採取したら、さっさと街に戻って報告して宿に戻りたい気持ちで一杯だ。

 

 拾い集めた枯れ葉や枝を死体(フォレストドック)の上下に設置し、火の魔法を使い着火する。

 魔法を使う際、火炎放射器レベルの威力をイメージしたのだが、やはりと言うべきか、発動した魔法はライターの強火程度だった。


 せめて倒した魔物の死体を焼く事に苦労しない程度の威力を早く出せるようになりたいな。


 そんな事を思いつつ、今の内に近くに生えていたアーリンの花を採取していく。

 もちろん火の様子を常に気にしながらだ。

 

 それから暫くし、ようやく死体が焼き終えたところで、最後にしょぼい水魔法による消火活動をして、ボクは疲れた体に鞭を打ち、街へと戻り、そのまま冒険者ギルドを目指した。


「なんだかすごくお疲れの様子ですが、大丈夫ですか?」


 ヘトヘトになりながら依頼の報告に来たボクの姿に、アミルさんは心配そうに声をかけてくれた。

 きっと今のボクの表情には、分かりやすい程に疲れが表れているのだろう。


 そんな心配してくれるアミルさんに向け、出来る限りの笑顔向け「大丈夫です」と答えるが、きっと今のボクを見る限り説得力は皆無と言えるだろう。

 

「とりあえず、これが依頼で受けてた薬草です。それと…」


 そう言って左手に持っていた木の容器に入っている3束の薬草と、3本のアーリンの花を差し出す。


「頼まれていたアーリンの花です。結局時間があまり無くて、3本だけしか見つける事が出来ませんでした」


「薬草3束、確かにお預かりいたしました。それと、ありがとうございます。3本もあれば十分です」


 薬草と一緒にアーリンの花を受け取ったアミルさんの笑顔に、喜んでもらえて良かったと安堵する。 


 その後、アミルさんは疲れているボクの為にと、急いで依頼完了の処理を済ませ、報酬を手渡してくる。

 それと同時に、明日の夜、アーリンの花のお礼に食事に誘ってくれた。


 もちろん断る理由も無いので「喜んで」と答え、報酬を受け取るなり、冒険者ギルドを後にした。

 外は夕日に染まり始めており、大通りの露店から、普段なら美味しそうだと思えるような匂いが漂ってきているが、流石に今は何も食べたいとは思えない。


 今のボクが望むのは、喉の渇きを潤す飲み物と風呂、そして暖かなベットだけだ。


 それらを求め、ボクはヘトヘトな体に今日最後の鞭を打ち、宿へと向かい、頑張って歩いた。

 明日からまた頑張る為にも、早く帰って体を休めるんだ!


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