第200話 帰路についた
食事を終えた私達は、アランに紹介してもらった宿へと向かい部屋をとる。
時間的にはまだ14時にもなってない。
因みにバドソンに今日のこれからの予定を聞いてみたが、これといってする事は無いらしい。
「なんなら観光がてら街の中をうろついて来てはどうだ?」
そんなバドソンの一言に寄り、ボク達は王都を観光する事となった。
王都は東西に広い楕円形をしており、その広さはクラドの2倍は軽くありそうだ。
これではとても今日一日で王都を見て回る事なんて出来そうもない。
そんな訳で、ボク達が向かったのは街の中心部だ。
この辺りは特に人口も多く、あちこちに屋台なども出ており活気がすごい。
しかもこの辺りの街並みはクラドとは比べ物にならない程に綺麗に整えられている。
さて、どこから見て回ろうかとみんなで相談しながら近くの露店を見て回って居る内に、いつの間にかボク達は街の西側へとやって来ていた。
露店以外に目を向けると、辺りには食材やら旅に使えそうな道具、そして武器や防具等を売っている店がある。
どうやらこの辺りは商業区らしい。
観光にはピッタリだと思いながらもあちこちの店を見て回りつつ、必要だと思った物を購入していく。
ルーリアとクミの二人が満足するまで買い物は続き、今夜止まる宿に戻って来たのは、陽が沈み始めた頃だった。
ボクとマルクはもう足が棒のようになり、気力体力共にクタクタだ。
女性の買い物、恐るべし。
翌朝。
遠くに見える山から陽が登り始めた頃に起床したボク達は、朝食も取らぬうちからチェックアウトを済ませ、宿を出る。
そして昨日バドソンがアランに言っていた通り、ボク達は冒険者ギルドへと向かう。
「おや、バドソンさんに皆様、おはようございます。思っていたよりも早かったですね」
冒険者ギルドに入ると、すぐ近くのテーブルに座ってお茶を飲んでいたアランがボク達の姿を見つけ、声をかけて来た。
「おはようアラン殿。そちらこそ早いではないか。もしやずっとここに?」
「ホッホッホ、少しばかり仕事が増えてしまいましてな」
それってもしかしてバドソンのせいなのだろうか?と思っていると、アランはこちらを見たかと思うと、笑顔で「一応言っておきますが、バドソン殿のせいではございませんからね」と言った。
ソレを聞いたバドソンが、少しホッとしているように見えた。
「さて、そんな事よりもバドソン殿、こちらをどうぞ」
そう言うとアランは、来た時からずっとテーブルの上に置いてあったA5サイズの封筒を手に取り、ソレをバドソンへと差し出した。
バドソンはソレを受け取るやいなや、中を覗き込んで確認し、ただ一言「ふむ」と呟いた。
その声は何処か満足しているようにも聞こえる。
一体あの中には何が入って居るのだろうか?
「ではアラン殿、ワシ等はこれにてクラドに戻る事にする。仕事ばかりして体を壊さぬようにな」
「ご心配ありがとうございます。皆様こそ帰りの道中お気を付けを」
そう言ってくれたアランにボク達はお礼をいい、冒険者ギルドを後にする。
そしてそのまま南門へと向かい、ボク達はクラドに向かい、出発するのだった。
放置されたクロエは怒り、そして動き出す!?