第016話 悶える夜~前編~
短めになってます、ごめんなさい!
しかも前後編という…
※タイトルだけ変更しました。
買い物を済ませ、宿の部屋へと戻って来たボクは、買って来た物をベッドの上へと並べていた。
「野営用のセットに、皮の防具一式、それに薬草採取用の容器と解体用ナイフ。うん、これでとりあえずは必要な物全部揃ったかな」
これらを購入するだけで、手持ちの資金が半分程無くなってしまったが、まぁ問題は無い。
何たって今後に必要な物であるのだから、これは必要経費だったと言えよう。
さて、必要そうなものは一通り揃った事だし、そろそろ[心具]の件に取り掛かるとしよう。
とは言っても、どうやって使えばいいのかサッパリ分からないのだが…
一応、ラケシス様から受け取った手紙の方も見てみたが、どこにも使い方は書いていない。
困った…
窓の外は既に夕焼け色に染まっており、あと2時間程で夕食の時間となる。
とにかくそれまでに思いつく限りの事をしてみよう。
そんな訳で、まずは念じる!
「([心具]使用![心具]起動![心具]よ目覚めろ![心具]解放!…)」
うん、これは多分違うな。
なんの手ごたえも感じるモノも無い!
ってな訳で次は何らかのアクションによって使用出来るか出来ないか?にチャレンジ。
右腕を天に掲げるようにするが、これもダメ。
ついでにそのまま念じてみるが、やっぱりダメ。
ならば次は足元に向かい右腕を伸ばしてみるが、もちろん何も起こらない。
そしてこれも先程と同様に念じる事を組み合わせてみるが、当然何も起こらない。
何だろう、こうして色々試せば試すほど、ボクの黒歴史が増えていくような気がする。
ボクはただ純粋にスキルの使い方を見つけようとしているだけなのに、段々空しく、そして悲しくなってきた…
それから少しの間、気分が落ち込みながらも、今後の為には必要なことだと自分に言い聞かせ、再びトライアンドエラーに挑み始めた。
挑んだ内容は、これまで見たアニメで登場する、色々な魔法を使う際のポーズや、変身シーンのポーズ等だ。
もう思いつく事がなくなった頃、ボクは心身共に疲れ切り布団へと倒れ込んだ。
「ダメだ、全くわからん…ラケシス様も使い方位教えてくれても良かったんじゃないかなぁ…」
増えすぎた黒歴史に、少し泣きそうになっていたボクは、そんな事を口にしていた。
あそこにいる時に聞かなかったボクも悪いのだが、教えてくれなかったラケシス様もひどいんじゃないかな?
そんな事を思いながら、一度溜息を吐いた後、ボクはベッドに横になったまま、もうすぐであろう夕食の時間までの少しの間、休憩する事にした。