第144話 実物は不思議な色をしていた
最後の部分を微妙に文章を書き直しました。
ルーリアの姿を褒めている途中、ルーリアからボクのツナギ姿について聞かれたのだが、ボク自身も詳しくは分からないのでとりあえずナツキさんに言われたように、後でツナギを着る理由は分かるらしいとだけ答えた。
そんなやり取りをしつつも、一通りルーリアの姿を誉め終えたボク達は一旦元の服へと着替えなおす事に。
…ルーリアの衣装を披露するのは兎も角、ボクのはする必要あったのだろうか?
着替えている間も、ボクの疑問は増える一方だった。
そんなこんなで着替えも終わり、ボク達は今夜の会場となるこの旅館の庭へと向かう。
どうやらこれから会場の設営を始めるらしい。
それから2時間程、ナツキさんの指示のもとボク達はテキパキと作業をこなし、旅館の庭先に会場が完成する。
漸く完成した会場を眺め、ホッと一息ついたその瞬間、ボクとルーリアのお腹が同じタイミングで鳴り、お互いが顔を合わせた。
「そういや、起きてから何も食べてないな」
「そう、ですね」
お互いが恥ずかしく思っているのだと分かると、ボク達はフフッと小さく笑い合った。
そんなボク達に、ミールさんが何か軽い食事を作ってもらいましょうか?と聞いてくれたのだが、ボクの収納の腕輪の中に買い溜めしてある串焼きがあるので、それで済ませるからと断り、ボクとルーリアは木陰に座り、2本ずつ食べて小腹を満たした。
その後、ボク達は一度ナツキさんの家へと戻る。
玄関を潜ると、そこには丁度リビングから出て来たエルフの少年少女の姿があり、少年の方は両腕で抱える程の大きなタマゴを持っている。
タマゴは不思議な色をしており、上側は青く、下に向かって徐々に緑色へと変色するという、見事なグラデーションだ。
一体何のタマゴなのだろうか?
不思議に思っていると、隣に居たナツキさんが「そういえば」と口を開いた。
「家に戻ってくるなり、二人はノアが連れてったからちゃんと紹介出来てなかったけど、もしかして既に自己紹介は済んでるのか?」
「「ううん」」
ナツキさんの言葉に、全く同じタイミングで同じセリフを返す二人。
二人の言葉にナツキさんは軽く溜息を吐くと、ナツキさんは二人に後ろへと回り込み、まずは少年を一歩前へと押し出した。
「コイツの名前はトーマ=カガ。ノアとの子で、種族はハーフエルフだ」
「よろしく」
気まずそうに顔を背けながら挨拶をするトーマ。
そんなトーマを見てナツキさんは苦笑いを浮かべた後、隣に立つ少女の背を軽く押す。
「で、こっちがシアとの子で」
「トーカ、です。よろしくお願いします」
恥ずかしがり屋さんなのか、それとも人見知りなのか、トーカはボクと顔を合わせない様に俯いていた。
「で、最後にユウキが一番気になっているであろうその卵が、レイの生んだタマゴだ。もうすぐ生まれる予定だ」
「へぇ、これがあのレイさんのタマゴなのか」
WEB小説登場でちょっとだけ登場していたな、なんて思った瞬間、何故かナツキさんの最後の言葉に違和感を覚えた。
が、それはあくまでも違和感程度のものであり、ボクは深く気にする事は無かった。
「トーマ、そのタマゴは俺が預かっておくから、トーカをつれて今夜の衣装合わせをしにいってきなさい」
「はい。行くぞトーカ」
「うん、わかった」
この場から離れられる事にホッとしたのか、トーカはその表情に安心の色を浮かべ、トーマと共に家を出て行った。
二人が出て行くのを見送ると、タマゴを両手で抱えたナツキさんが、リビングに行こうかと言い足を踏み出すのだが、次の瞬間、ナツキさんは「あっ」と小さく呟き、立ち止まるのだった。
予告
次回、子供達が戻ってくる!そして新しい仲間増える!?




