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第012話 初の依頼はやはりコレ!


「やっぱり最初は採取系か、街の中のが良いかな?」


 駆け出しの冒険者として登録し終えたボクは、早速依頼を受けようと、依頼の募集が掲示されているボードを眺めていた。

 背後からは相変わらず争い合う声が聞こえてくるのだが、面倒事にかかわらない様、気にせず初クエストを探し続ける。


「(お、この薬草の採取とか定番でいいな!)これにするか」


 依頼書を手に取り、先程のアミルさんが居る受付へと移動した。

 ギルドで依頼を受ける際には、こうしてボードに張られている依頼書を手に取り、窓口にてギルドカードと共に提出する事になっているのだ。

 勿論この事は、先程のアミルさんの説明の中にあった事である。


「すみません。この依頼を受けますので手続きをお願いします」


 そう言って、先程出来たばかりのギルドカードと共に差し出した依頼書には、[薬草の採取、10本1束で100ルースで買い取りします。買取数の上限は10束です。]と書かれている。

 そして依頼書の下の方には、採取可能ポイントがクラドの周辺にある森とも書かれていた。


 アミルさんはボクの差し出したギルドカードと依頼書を受け取ると、窓口の横に置かれているスキャナーにソックリな物に挟みこんだ。

 きっとアレも門番さんが使っていたような魔道具であり、ああしてクエストの受注を受理する為の物なのだろう。

 

 魔道具の上に手を置き、アミルさんがボソッと呟くように「受理」と口にすると、スキャナーソックリな魔道具の隙間から一瞬の光が漏れた。

 上蓋を開くと、ソコにはボクのギルドカードのみが残っており、一緒に挟んだはずの依頼書の姿は何処にも無い。

 あの魔道具は一体どんな仕組みなのだろうか?


 そんな疑問に首を捻っていると、アミルさんは依頼の受理を終えたボクのギルドカードを差し出して来た。

 とりあえずあの魔道具の不思議については考えてもわからないので考える事を辞め、ボクはギルドカードを受け取りながら「どうもです」と言い、早速薬草採取へと向かおうと後ろを振り向いたのだが、そんなボクをアミルさんが引き留めた。


「ユウキさんは薬草の採取クエストの注意点をご存知ですか?」


「注意点ですか?薬草を見つけてソレを採取して来るだけなのでは?」


「いいえ、それではいけません。もしそのままの状態で持ち帰ろうとすると、ここに辿り着く前に薬草がダメになってしまいますよ」


 どうやら僕は薬草採取を甘く見ていたようだ。

 これはちゃんと聞いておいたほうが良さそうだ。


 という訳で質問してみる事に。


「じゃあ、どうすれば良いのでしょうか?」


「薬草を採取する際には、必ず魔力を帯びた水を用意し、薬草を採取した後はすぐにその水に浸けるようにして下さい。そうしておけば1日は鮮度を保つことが出来ますので」


「なるほど、採取については分かりました。ではその魔力を帯びた水というのは、どこに行けば手に入れる事が出来ますか?」

 

 この世界に来て2日目のボクにとって、魔力を帯びた水というモノは何処で手に入れれるかなんて分かる訳も無く、アミルさんに尋ねてみた所、アミルさんは「え?」と驚きの表情を浮かべていた。

 しかし、すぐにその表情は先ほどまでのニコやかなものへと戻り「水魔法の初級レベル、もしくは生活魔法で出したものの事ですよ」と教えてくれた。


 一瞬とはいえ、先程のアミルさんの驚き様からして、これは一般常識レベルの事だったのだろうと思ったボクは「失敗したな」と思いつつもお礼を述べ、未だに言い合いし続けていた双子の兄弟を横目に、冒険者ギルドを後にした。


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