第117話 戦いが始まる
「ティアミス、ドローバ、ネクソン、ゴルバスの4人は私と一緒についてきな!それ以外の者は皆下がってな!」
モールが大声で指示を出すと、ソレを聞いた者たちはすぐに行動を始める。
名前を呼ばれた4人はすぐにモールの元へとやって来たのを見計らい、コッソリとその後姿を鑑定してみる。
まず最初は、ドローバという名前の男。
体系は樽の様な胴体をしているが、その腕や足はかなり筋肉質でガッシリとしており、髭モジャなのが特徴だ。
レベルは46で、ステータスは40しかない素早さ以外は、大体120前後と言った感じだ。
次にその隣に居た男。
スリムな体型でキツネ顔なその男の名前がネクソンであり、レベルは44で、ステータスは平均的で、大体110~120といった感じになっている。
そしてその更に隣に立つ男。
マッスルボディーにブーメランパンツと、かなり変な格好をした、ダンディな顔を持つオジ様こと、ゴルバスだ。
この男、見た目はこんなのだが、レベルはこの討伐隊の中でティアミスの次に高く、なんと55である。
しかもそのステータスはどれもが大体170~180。
かなり頼りになりそうだ。
そして最後はティアミス。
彼女のレベルは63で、ステータスもどれもが200を超えている。
中でも魔力は他よりも高く、250もあった。
やはりエルフ族とは魔力が高いものなのだろうか?
そんな事を思っている内にモールと4人の高ランク冒険者達は、向かって右側に見える、棍棒を持ったゴブリンマッスラー(A)の元へとそれぞれの武器を構え、駆けて行く。
「って事は、ボク達が相手をするのはあっちの奴か」
「そのようね」
「それじゃあアイツも大岩で動きを止めるから、今回もその後の手伝いを頼む」
「分かったわ。気を付けてね」
「おう!」
気合を入れるように返事をするなり、ボクはモール達が向かったのとは別の、素手のゴブリンマッスラー(B)へと向かい、駆けていく。
そうしてゴブリンマッスラー(B)の正面側、約3m離れた位置までやって来たボクは、[心具]を構えると、あの時と同じようにヘイトを取る為、ゴブリンマッスラー(B)の目を見る。
「グガァァァ!!」
2つの視線が重なるなり、ゴブリンマッスラー(B)は空に向けて雄叫びをあげる。
そして再び視線をボクの方へと戻すなり、ニヤリと笑い、ボクに目掛け前進し始めたのだった。
「(簡単にアレの動きを止めるとか言ったけど、そう簡単に出来るような事じゃないんだよな)」
前進してくるゴブリンマッスラー(B)を見ながらそんな弱気な事を考えてしまう。
しかし、それでもやるしかないと腹を括ったボクは、相手の動きをよく見る為にその意識を集中させるのだった。