第104話 準備
最後の方のルーリアの説明部分を一部訂正。
後書きも食料が抜けていたので、追加しました。
「ほらほら、皆静かにしな!」
手を叩く音と一際大きな声が建物内に響き渡り、騒がしかったギルド内が静かになった。
聞こえてくるのは建物の外の喧騒くらいである。
声のする方へと視線を向けると、そこには40歳前後と思われる、スラリとした体形の人族の女性が立っていた。
その女性の隣にギルドマスター補佐のバドソンが控えている事から、ボクはその女性こそがギルドマスターなのだろうと予想し、こっそり鑑定スキルを発動させてみる。
どうやらギルドマスターで間違いがないようだ。
名前はモール言うらしい。
「あの方、見た目以上に強そうです」
隣に立つルーリアが、ボクに向かってボソリと小声で話しかけて来る。
そんなルーリアに、ボクも周りに聞こえないようにと気を付けながら小声で答える。
「だろうね。なんせレベルは72もあるらしいし。きっとそれなりに場数も踏んでるはずだよ」
そう言ってボクはギルド内に居る数多くの冒険者達も鑑定してみようと、周囲を見渡す様に次々と鑑定していく。
その結果、ギルドマスターであるモールのレベルが一番高く、その次にレベルが高いのは、モールのすぐ近くに立っていた見覚えのあるエルフの女性、ティアミスの63レベルだった。
因みに年齢は111歳のようだ。
「…というわけで!今日は各自準備をするように!いいわね?よし、じゃあ解散!」
「え!?…しまった、全然話を聞いてなかった…」
どうやら鑑定作業に気を取られている内に話が終わってしまったらしく、建物内に居た数多くの冒険者達はゾロゾロとギルドから出て行っていた。
その様子を見ながら、ボクは話を聞いていたであろうルーリアに、鑑定をしていた事を離し、その間にあったギルドマスターの話がどういった内容だったかについて尋ねてた。
「簡単に纏めると、クラドの北にある森を抜けた先の草原から西に向かって歩いた先にある崖の傍でゴブリンの集落を発見したらしいのだけれど、その規模がかなり大きくなっていたみたい。しかも集落の近辺には上位種の存在も確認されたらしいわ。本当ならすぐにでも討伐に向かいたいところだけど流石に準備が必要でしょ?だから、今日は各自その準備をしっかりとして、明日の早朝、街の入り口に集合って事らしいわ。因みに冒険者はランク問わず、参加するようにって事らしいわ。」
「なるほど、草原まで行くって事は、今回の討伐日帰りでは無理って事か。だったら今日の内に色々と準備しておかないとね」
そうね。と答えたルーリアを連れ、ボク達はギルドを後にして街へと繰り出す。
まずは雑貨類からと雑貨屋を目指して歩きながら、ボクとルーリアは明日のゴブリン討伐に向かうに際に何が必要になのかを二人で話し合い、幾つかの雑貨屋を巡る。
そうして思いつく限りの物が揃ったところで、今度は防具屋へと向かた。
流石に現在使っている防具は何ヵ所か痛んでおり、買い替えたほうが良いとルーリアに言われてしまった。
そんな訳で、ボク達は防具屋を目指して歩き始めた。
ただ一つ心配なのは、先程の雑貨の購入で結構な額の買い物をした後なので、あまり手持ちに余裕は無いという事だ。
…とりあえず、お金が足りる範囲で一番いい防具を買うしかないか。
物語中には出なかった、雑貨屋巡りをして購入した物
・カンテラ×2
・ロープ(10m)
・綺麗な布×10
・傷薬×4
・発煙筒×4
・水樽×2
・魔物避けの鈴
・麻痺針×20本
・塩1㎏分
・鍋
・食料 6食分




