第099話 畑を荒らす存在~後編~
臭いの元へと走り出したボクとルーリア。
危険な相手じゃない事を願いながら向かった先には、軽トラ程のサイズはあろうかというイノシシが、フガフガと地面の匂いを嗅ぎながらゆっくりとと歩いていた。
ボクはソイツに見つからない様、少し離れた場所にある茂みに身を隠し、武器の無いルーリアはボクの更に後ろで周囲の警戒をしている。
視線の先に居るソイツが何なのかは予想出来ているが、念の為ソイツを鑑定してみる。
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ボア
LV1
HP 15
MP 0
STR 10
VIT 12
AGI 13
INT 3
DEX 5
LUK 1
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出てきた結果の表記は、今まで見てきたモノと違う。
どうやらこの世界仕様になっているようだ。
でも今のボクにはそんな事はどうでも良かった。
何より知りたかったのは視線の先で鼻を鳴らしているイノシシの様な獣の名前だったのだから。
「やっぱりボアだったか。…というか、異世界に来ていきなりこんなのが背後に居たらそりゃビビるよね」
運命神モイラによって書かれた、ナツキの冒険記録とも言えるような小説の出だしでボアに追いかけられるシーンがあり、その事を思い出したボクはそう呟きながら苦笑いを浮かべるが、「って、今はそんな事よりも」とすぐに気持ちを切り替え、[心具]を出現させ、チラリとルーリアの方を見る。
これは周囲に他の敵がいないかどうかを確認する為であり、その意味が含まれているボクの視線に気付いたルーリアは、首を横に振る。
どうやらここに居るのはあのボアだけのようだ。
それが分かったところで、ボクは弓に矢を番え、そのまま力一杯引き絞る。
狙う先はボアの顳?だ。
目標までの障害物と、目標の動きが泊まるまでの間よーく狙いを定め、条件が整ったその瞬間、ボクは矢を放つ。
矢は真っ直ぐ進み、ボアの側頭部に命中した。
…ただ、狙っていた眉間ではなく、人の顔で言う頬の部分だ。
攻撃を受けたボアはビギィーーと低い声で鳴いた後、横っ面に刺さった矢を振りほどこうと、頭を激しく振りながら暴れ始めた。
「ちっ、狙い通りにはいかなかったか」
狙い通りにいかなかった結果に、ボクは更なる修練が必要だと感じながら[心具]から[心具]へと変更し、ボアを確実に仕留める為、茂みから飛び出し一気に肉薄する。
そんなボクの存在を目にしたボアは、暴れるのを止めて迎え撃つ姿勢を取ろうとするのだが、それよりも早く接近したボクは、ボアの右前足と右後ろ脚を切りつけ、まともに動けなくする。
こうなればこいつは終わったも同然だ。
せめて苦しまないようにと、剣を眉間目掛けて真っ直ぐ構え、一気にその切っ先を突き出した。
眉間に深々と剣を突き刺されたボアは一度短く鳴いた後、その命の灯を消したのだった。




