第010話 延期を考えようかなと
誤字などを発見したら、教えて下さるとありがたいです!
あればね!(きっと無いはず!)
最後の部分に宿屋の地図を追加しました
冒険者ギルドの前を通り過ぎてから程なくし、門番をしていた衛兵に教えてもらった宿を見つける事が出来た。
その建物は周囲の3倍はあろうかという程に大きく、入り口の上には大きな看板が掲げられ、そこには[旅人の宿り木]と書かれていた。
寄り道したせいで来る時間が遅くなってしまったが、部屋はまだ空いているだろうか?
そんな事を思いながら扉を開き中に入ると、丁度正面にあった受付に立つ、20歳前半位と思われる女性が笑顔で迎えてくれた。
「ようこそ[旅人の宿り木 クラド店]へ」
「すみません。門番さんからオススメだと聞いて来たのですが、空き部屋はありますか?」
「あら、ブランの紹介でしたか(これで後二人ね)」
「え?後二人?」
受付の女性が小声で呟いた言葉だったが、しっかりと聞こえていた僕はつい聞き返してしまった。
しかし受付の女性は「いえいえ、なんでもありません」と笑顔で答えるだけで、教えてくれる様子はない。
一体何の事だったのだろう?
そんな疑問を抱きつつも、とりあえず話を進める事にする。
「そ、そうですか、ではとりあえず7日程泊まりたいのですが、空き部屋はありますか?」
「ええ、大丈夫です。丁度一人部屋が1つだけ開いますから。因みに1泊400ルースでして、料金は先払いとなっております。ですから7日ですと、2800ルースになりますね」
「分かりました、ではこれを」
そう言って収納の腕輪から貨幣の価値について思い出しながら、銀板を3枚取り出た。
それを受け取った彼女は営業スマイルでお釣りである銀貨2枚を差し出し、ボクはそれを受け取って収納の腕輪にしまい込む。
「お名前をこちらに記入してください」
差し出されたのは宿泊者名簿と思われる紙の束。
そこに掛かれている名前はどれも日本語で書かれていた。
この宿に来るまでに見た文字もすべてが日本語で表記されていたのだ。
おかげで読み書きに困る事はなく、ボクはそこに[ユウキ]と名前を記入した。
名前だけにしたのには理由がある。
というのも、苗字とかあるのは貴族だけ、なんて言うのは異世界ものでは定番だからであり、この世界では[アズマ]という性は使わないことにしたのだ。
「ユウキ様ですね。私はミラノと申します。よろしくお願いしますね」
そう言ってミラノさんは、笑顔を見せた。
「それでは、部屋の場所なのですが、そこの階段から上がって廊下を奥まで進んだ先の突き当りになります。こちらが部屋の鍵になっておりますので、無くさないように気を付けてくださいね。それから、出かける時はこちらに預けてから出かけるようにして下さい。因みに、もしカギをもって出かけてどこかで無くした場合、新しく付け替える部屋のカギの代金を請求させて頂く事になりますのでお気をつけ下さいね」
「き、気を付けます」
ミラノさんから預かったカギはまるで自転車の鍵程に小さく、下手に持ち出そうものなら落としかねない。
これは出かける際に預け忘れないようにしなければ!
「それと、夕食のお時間ですが、夕食は午後6時から8時の間であれば、そちらの通路の先にある食堂で食べる事が出来ます」
そう言ってミラノさんは受付に向かって左手側にある通路を示した。
「朝食は朝の7時からとなっております。そして最後にお風呂についてなのですが、お風呂はいつでも入る事が出来ますが、入浴料は別料金となっておりまして、1回50ルースになっります。」
なんとこの宿にはお風呂が存在するらしく、それに驚いたボクは「お風呂があるんですか!?」と聞き返していた。
ボクの知っている異世界モノの話では、お風呂と言えば貴族の家にある程度、もしくはそういう施設があるというレベルだった為、まさか普通の宿で入れるとは思わなかったのだ。
「す、すみません、突然大声出しちゃって」
突然大声出してしまった事に対し謝罪すると、ミラノさんは「始めて来たお客様は皆さん驚かれるので大丈夫ですよ」と、慣れた様子であった。
7日の予定で宿をとったけど、その期限を過ぎたら延長しようかな。
…って、そういえばお風呂道具が何もないや!
どうしよう…