作戦会議?
二人はその後、フォルの家に戻った、その間二人には会話らしい会話はほとんどなかった。
「フォル」
木製の椅子に座り、神妙な面持ちで机に肘をついて瀬居はゆっくり口を開いた。
「フォル、俺───もう限界だ、胃袋的な意味で」
「千ポイントもあったのに飯や排泄に使わなかったお前の自業自得だと思うが」
もっともである、しかし瀬居の空腹はもう限界に達しようとしていた。
「しょうがねぇな、異世界の食い物を召喚するか。」
「フォルに召喚される以外の方法で召喚されたらと思うとゾッとするな」
「どんな風に召喚されてもTSFに全振りするのは確定なんだな。ああでも期待するなよ?今までの召喚だと、ポイント割り振るまでの間の大気だけだったから、異世界の飯を出したことはねぇんだ、うまくなかったらまあ、我慢しろや」
「わかった。」
フォルは空中に光円を描くと、むにゃむにゃと呪文らしき文言を唱えた、彼女はテーラにあるものや召喚慣れしているもの以外を召喚するときはスキルがMAXでも面倒な事をしなければならないのだ、それでも10秒と満たない時間で光円からボトッと皿ごと食べ物が現れた。
「タコスか」
しかも本格派であった。
「これがあんたらの食い物か、周りの紙みてぇなものも食えるのか?」
「食える食える。頂きます」
「ん、お上がり」
水も召喚してもらい、瀬居とフォルは食べ始めた。フォルは先ほどスーとキンに渡したものと同じ無発酵パンと野菜のスープを行儀よく食べている。
「うまい、うまい、なぁフォル」
「何だ?」
瀬居はタコスを食べる手を一旦止めた。
「明日か明後日に俺を利用して攘夷するって言ってたよな?どうするんだ?フォルの話を聞く限りあの城に男は入れないっぽそうだけど」
疑問点を口にする瀬居にフォルは頷くと羊皮紙の地図を取り出した、広げると魔術がかかっているのか立体的に城の全体図が浮かび上がる
「あの城には緊急用の逃げ道が複数ある、そこから広間に進入、そんでもってドーンだ」
「随分とざっくりしているな、というかそんな簡単に出来るものなのか?」
「危なくなったら瀬居を地球に返すから良いんだよ、ウチ自身は別の場所に召喚して逃げる〜みたいなことは出来ないけど、あの王様の事だ、色仕掛けでもすれば不問になるだろうよ、瀬居自身が女になるという手もあるぜ?」
「俺が女になったら女体化に喜びそうだからあんまり美味しくないけどな、必要になったらやるよ。」
TSFに妥協しない瀬居から以外な言葉が出てきたためフォルは少し驚いた。
「結構ノリノリだな?」
「あぁ、あんな不幸な子供達を見たらそうするしかないさ」
「いいやつだな、お前。」
カッコいいぜ、とはにかむフォルに瀬居は続けた。
「TSFで一番萌えるのはその性別で幸せそうなひとを性転換させる、つまり上げて下げることにあるからな、初めから下がっていると萌えないだろ?」
「はぁ?」
「その点あの王様は素晴らしい、男であることに絶対的な自信を持っている。絶対女になったらサイコーなことだろう、まさか女の王様じゃないだろうな?」
「あ、まぁ、男だが」
「いよっしゃあー!!」
期待したウチがバカだったとフォルはため息をついた。夜は段々とふけてゆき、眠くなった二人はそれぞれベットに潜った。