貧民街の兄妹
TSF・・・足りない・・・話展開させなきゃ・・・
後ろに束ねた赤茶の癖っ毛を揺らしながら痩せた貧民街の少年は、聞かん顔つきで上から目線でフォルにパンを求めた。
「作り置きしてある無発酵のやつならあるぞ」
少年の失礼な物言いに慣れているのか、笑いながら無発酵パンを召喚する。
「それでもいいから早くパンくれよババア、勿論スーの分もな」
「おにぃ、年上の人には『下さい』でしょ?パンもらえなくなっちゃうよ?」
妹らしき少女がそう促すと、少年は少し渋った。
因みに少女は少年と同じく赤茶のひとつ結びだが、癖のないまっすぐな髪をして、穏やかな顔だ。
「ゔっ・・・うう、ぱんください」
「おにぃえらいっ!」
「スー、当然だろ?」
兄妹はパンをもらうと、野生動物のような勢いでがっつき始めた。
「フォル、こいつらと知り合いなのか?」
「そ、兄のキンと妹のスーだ、貧民街の状況やニュースをもらう代わりにこうやってパンを与えているわけだ、働いているから二人の元にはスキルポイントも入るしwin-winの関係なんだぜ?」
「何で子供達にやらせるんだ?」
「大人は働き方が多いし何より嘘が上手いからな、嘘の情報に踊らされちまう可能性があるんだよ、後子供は人数が多い分ネットワークが広いからな」
キンとスーはパンを食べ終わると、瀬居の方に向いた。
「所で、この変な格好の男は誰だよ?まさかコレか?」
キンが悪そうな顔で小指を立てる
「おにぃ!ごめんなさい、お兄さん。私はスーです。えっと、苗字はありません。ほら、おにぃも挨拶!」
「どーも、丸眼鏡ボサボサ三つ編みでー「おにぃ・・・」キンです。」
「スー、キン、宜しくな、俺は瀬居点眼、点眼でいいぞ」
「こいつはウチが王政攘夷の為に召喚したんだぜ?」
フォルの言葉で兄妹の表情が一瞬にして明るくなる、兄妹互いに見つめ合い、フォルの方に顔を向けた。
「じゃあ王様ぶっとばすんだね!」
「王様いなくなったらお母さんに会えるかな?」
「会えるさ、決行は明日か明後日、今はもう夕時に近いからね、二人ももう帰れよ、今日はテント使用可能日だろ?」
兄妹はそうだったと慌ててテントのあるらしき方角に走り去って行く、空を見ると、西の方が僅かに赤くなりかけていた。
「フォル、質問がある」
「大体わかるさ、子供が多いんだろ?」
「ああ。」
貧民街に向かうほど人口が多くてなっていったが、そのほとんどが子供で構成されていた、それは異様な空間でもあった。
「王様の名前はクライネス・メートヒェン、さっきも言ったようにあの王様は城にハーレム作るほど女好きだ」
「なんか妙にかっこいい名前なんだな。」
「自己中の色魔だけどな。クライネス王は見初めた女を次々に城に入れるんだ、金持ちだろうがそーじゃなかろうが少しでも琴線に触れたらお持ち帰り、そしてその人を育てた家族に大金を渡す、するとどうなると思う?」
「貧乏な人達が可愛い子供を産もうと躍起になる、と」
「そんでもって人身売買の活発化や大人数のストリートチルドレンの爆誕、子供がただの生きた金の束、だからウチは王を倒すんだ。」
まだまだ空は明るい筈なのに、瀬居の目に映る街並みは暗く、絶望を感じた。