試しにひとつ※男体化有
男体化注意
「その本を読んだんだよな?」
「ああ」
「生きるための能力もスキルが必須ってウチもいったよな?」
「ああ」
暫くフォルは呆然としたが、段々とその表情は爆笑へと変わっていった。
「ぷっ・・・ふふ・・・あっははははは!おもしれぇなお前!何回か知的生命体召喚したけどおまえみてぇな奴初めてだぜ!TSF使いってなんだ?お前の世界の知識は少し知っているが、そんなの初めて聞いたぜ?」
瀬居はフォルに座ることを促し、フォルの頭に向かって指を指すと、瀬居の指先に蛍光色に混ざる赤と青の光の玉が現れる。
「自分の体に聞いてみたらいいさ、そうだな、『面影残しつつもしっかりとした男性の体型』にできるか?」
光の玉は頷くように一瞬光を強くする。
「よし、ならば発射!」
光の玉はフォルの方に飛んで行き、フォルにぶつかると煙幕のようなものを出した。
部屋の中は乳白色の煙で包まれ、ほんの少しの距離すらも見づらくなる。煙がなんとか晴れるころ、フォルの咳き込む声が聞こえる。
「なんだこりゃ、煙幕のスキルの類か?あー、あー、喉が枯れていやがる、毒性のエンチャント付きだったか?」
「フォル、自分の体をじっくりと見てみろ、じっくりと、な。デカイ鏡があればベストだ」
フォルは不機嫌そうに全身鏡を召喚する、そこに居たのは栗色の髪、そばかす、丸メガネをしたフォル・ラードングの
面影を残した男がいた。
「なんじゃこりゃあ!」
フォルの低くなった叫び声に瀬居はうおお、と少年の様によろこんだ。
「キター!スキルってこんな感じなんだな!本当に男体化するとは!色々滾るッ」
「男になったぞ!なんだこれ、おもしれぇな。力も湧き上がって最高の気分だぜっ!」
フォルが嬉しそうに体を確かめているのを見て、瀬居は先ほどとは打って変わり、真顔になる。
「最高・・・?はぁ、萎えた、もう元に戻れ」
瀬居は再び光球をフォルにぶつけると先ほどとは違い、少ない量の煙が広がり、すぐに掻き消えた。フォルが鏡を見ると元の女の姿に戻っていた。フォルは瀬居の反応の変化に小首を傾げた
「どうした?さっきまであんなに嬉しそうだったじゃねぇか」
「TSFは・・・TSFはなぁ・・・」
「見た目を変えるスキルだろ?」
「そうだけど、そうじゃないんだなぁこれが。」
瀬居はフォルにTSFを説明するため、ふたり向き合って正座した。テーラにも正座というものは存在しているのだ。