長いチューニング
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瀬居点眼は気づくと自らが泡の中だということに気づいた。
そして自らの身に起きた事を思い出す。
「夢、だと思いたいところだが夢じゃないよなぁ」
自分自身をビンタしたり頬を抓ったりとしてみたが、あるのはリアルな痛みだけだ、瀬居自身は気づいていないが頬が腫れて赤くなっている。
「ここが異世界転生や召喚だったとしたら世界観の説明があってもいいんじゃないでしょうかね?」
きもち大きめな声で話すと、瀬居の脳にラジオの砂嵐の音が響いた後、金属を擦り合わせたような機械的な声が流れた
「ここ、テーラ、君たち、地球、同じ、ここ、テーラ、トュランス国、首都、セクサル。」
「おお、なんか頭の中に声が、説明スキル的な奴かな?」
「説明、スキル、否、しかし、説明、スキル、ある。」
「ああスキル自体は存在しているのか、説明スキルじゃないなら誰だ、なんでそんなにカタコトなんだ」
「翻訳、チューニング、不足、少し、待て」
また砂嵐が、今度は長時間流れた。音が静まると先ほどとは違い、ハキハキとした声が脳ではなく耳の方にクリアに聞こえて来た。
「翻訳チューニング完了!どうだ?ウチの声、日本語とやらに聞こえるか?」
その声は男にも女にも聞こえる中性的なものだったが、口調から瀬居はとりあえず男として対応することにした。
「ああ聞こえる、翻訳装置があるということは西洋系異世界じゃなくサイバーパンクとかそこらへんか?」
「ちげーよ、あんたの所の西洋の中世だったか、そこらへんの文明だよ、この部屋が見えねぇのか?」
改めて視界をぐるっと見渡すもののやはりあるのは虹色の泡だけだ。
「泡の中だが?」
「視界チューニングもか!くそ、召喚スキルMAXすればチューニング楽チンだと思ってたのになぁ、チューニングスキル取っておけば良かった」
手間がかかるとぼやきながら何かしら呪文を唱えると、瀬居の視界はぐらりと動き始めた。
「オエッー!きもち悪い吐く吐くやばい」
「ゴメンゴメン、本来これ気絶させてからするものだからキモいだろ?」
「何で視界だけこんなハードモードなんだというか何故気絶させない!?」
「気絶のスキル持ってないからっと・・・よし、終わったぞ、目ぇあけろ」
余りの視界の気持ち悪さに目を瞑っていたが、声の主の言葉を聞いて薄く目を開ける、はじめに目に飛び込むのは漆喰とレンガのかべに、呪物と思われるタペストリー。大体六畳ほどの部屋には家具らしい家具はなく、ロウソク、チョーク、紙や供物的な肉塊が散らばっていた、そして
「君はこんな見た目だったのか、てっきり男かと、すいません」
声の主は女だった。