取り戻す、その3※キン視点
「うおお・・・本当にあのおっぱいになった」
おれはあいつの皮を着込むと、まず身長の違いと重心の違いでクラクラした、靴のせいで踵が浮いているし胸が重すぎる、こんなんでよく歩いたり走ったりできるな。
「声も、違和感すげぇ、キンキンしておれのじゃねーみてーだ」
喉を触ると長さも太さも違って気持ち悪い。
「っと・・・そうだった、あいつの所に行かなくちゃな」
スーのいるところ、愛しの間は確か、えっと。
『ここからあの建物に入ってあそこ右行って左いったら、階段があって、それを登るんやったなぁ、うち、なんでわすれとってんろぉなぁ』
うわっなんだこりゃ!今一瞬おれじゃなかったぞ!もしかしてこれが記憶!?
『あら、なんでうちがに股になっとってんろ、恥ずかしい恥ずかしい、他ん子に見られんで良かったわぁ』
足が勝手に内股になってゆく!やばい、このまんまだったらおれはこの皮に侵略されそうだ!早くスーの所に行かなくちゃ!
スカートでスースーする足をなるべく早めに動かし、比較的人の多い所を避け、なんとか愛しの間までの道のりをおっぱいおばけの記憶のとうりに歩く、知らないはずの城の中をすいすい歩けるのも又変な感じだけど、周りの人たちにバレないのはラッキーかもしれねーな、あとはこの階段を登って・・・
「サザンカせんぱぁい!」
うぉあっ誰だこの頭空っぽそうな尻でかは!『うちの後輩のショコラはんや』そうかよ!
「どうした・・・ん?お、うちいま仕事立て込んどれんて、手伝いとかはできへんわぁ」
「本当に?どうしてもですか?」
「本当の本当にやわぁ、すまんなぁ〜ショコラはん」
うわわっ!くっつくな抱き寄せるな耳元に顔を近づけんなっ!息がかかってぞわぞわするだろーが!
「そうだったんですね、じゃあセンパイ、また後で♡うふ、今夜が楽しみですねぇ」
どんな関係なんだよ・・・『うちの』いわせねーかんな!
それにしてもすぐいなくなって助かったぜ、おれは階段を駆け上がり・・・たかったけどゆっくり登った。
『はよぉ登ったら下着が見えてまうやろ、息も切れてまうし、メイドたるもんはしたない姿をみせとぉないわぁ』
とかいう面倒クセェ理由のおかげで愛しの間に着くまでに時間がかかってしまった。
そして扉の前に立つとおれはあることを思い出した。
「この体、扉開けることができるのか?そもそもどうやって開けるんだ?」




