表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
すべてがYとなった  作者: 弥生ポリゴン
少年たちの憂鬱
1/1

すべてがXになる

すべてがYとなる。

 少年たちには希望がなかった。

いや、希望が持てなかった、というほうが賢明であろう。

本来の少年たちが持つ将来の夢や希望。

それらのものを持つことができなかった。

少年たちはその現実に、嘆き、悲しみ、苦しみ、憂鬱であった。

-------------------------------------------------------------------

 高い山々に囲まれた広大な平野。

そこにある山国アルベ国。

アルベ国はX家とY家が政治を行っていた。

冷静で合理的な政治を進めるX家と温かく人情味のある政治を進めるY家。

双家は時として対立してきたが、互いに助け合い、アルベ国を発展させていった。

平和な山国だった。

とても平和な山国だった(・・・)。


 1年前の2048年12月31日にX家の家長X・イルネがクーデタをおこした。

イルネを中心とするX家が政治の重要機関をつぶし、国軍を乗っ取った。

そして、彼は年明けとともにこう言い放った。

「この国はぬるい! この国に絶望している! この国は最悪だ! Y家が進めてきた非合理的でぬるい政治ではだめだ! こんな国はもう見捨てるしかないんだ! こんな国はもう滅ぼせ! ここに宣言する。 この国を終わらせる!!!」


 X家はそれから恐怖政治を行った。

Y家のものを武力で追放した。

政治はX家のやりたい放題だった。

逆らうものは、国軍によって消された。

働けるものは、奴隷のように働かせた。

老人は、収容所に入れられた。

子供は、国軍の兵士となるため厳しい訓練を受けさせられた。

国民の人権と財産を剥奪し、道具のように扱った。

全世帯に監視カメラと盗聴器が設置され、電話やネットや手紙もX家に監視された。

反乱分子は完膚なきまでに潰された。

毎日が地獄だった。

逃げることもできなかった。

国民には自由がなかった。

しかし、X家のものはとても豪勢な暮らしをしていた。

国民から巻き上げた財産で遊び、国民を遊びで殺す。

X家のやることはすべてX家によって容認された。

すなわちそれを訴えても、X家に逆らったとみなされ消される。

国民はX家を恐れ恐れ恐れた。

憎しみの感情すらおこらなかった。

こんな状況で希望が持てるものがいるであろうか?

いや、ない。

希望を持ってもすぐにそれが阿呆な考えだと思い知らされる。



 少年たちには希望がなかった。

すべてがYとなる。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ