表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/37

第九話 まともな依頼


 フィライト国の都ディアモンドは人口約4万5千人。

 南に大きな港を持ち、港の西側に貿易商たちが構える倉庫街と中央に船の修理工たちが住む居住区とドックがあり、東側には働く者達の胃袋と体を支える飲食店が立ち並びやがて宿場街へと続く。


 この辺り一帯を湾岸地区と呼び、外から入ってくる荷物や人の出入りを厳しく警戒するのはサルビア騎士団第三大隊の仕事だ。第二大隊が機動力重視の騎馬隊で、第三大隊は重い鎧と強靭な肉体で戦い続ける重装歩兵部隊。彼等はいかなる戦場であっても、戦況であっても引かず味方を守り最後まで武器を振い続ける猛者である。


 華やかな第二大隊と比べ、地味な印象は否めないがその愚直さと真摯さで国民からの憧憬を一身に集めている騎士隊だ。


 その第三大隊隊長ルドベキア・プラットが大柄な身体を縮こまらせて木箱の上に腰を下ろしている姿はどこか滑稽で可愛らしくもあった。


「……アン・リム商社は確かにロビウム伯爵と懇意にし、資金援助も受けているが」


 丸太のような腕を動かして顎に手を当てる姿は堂々としている。身体つきと見た目の厳つさで年齢より上に見られるがルドベキアはまだ若く、30になったばかりだ。

 未だ独身で恋人はいるようだが結婚を踏み切れないのか、それとも遠慮をしているのか。騎士団員は稼ぎも良く、女性にとって魅力的な結婚相手だが意外と既婚者は少ない。貴族出の騎士は結婚が早いが、養成学校出の騎士たちは下積み時代が長く、その所為か婚期が遅れてしまうようだ。


「どうも怪しげな金の動きはある様なんだがなぁ」

「アン・リム商社には暗い噂も無いとは言えん。だが明確な証拠が無ければこちらも動きようがない」

「ロビウム伯爵はプリムローズ公爵との繋がりが強い……。そろそろ水面下だけじゃなく派手に行動を起こしてもおかしくは無かろうなぁ」


 ルドベキアはレットソムを見上げて凛々しい眉を寄せると顎を横に振って「不用意な発言は慎め」と警告した。

 それは沖から潮風が吹きつける港という場所だけに、他者の耳に入ることを恐れてのことだ。


 チェンバレン=プリムローズ公爵は四大公爵のひとりで、フィライト国国王ローム王の弟君にあたる。ローム王に嫡子は隣国に嫁ぐことが決まっている今年17歳になるロッテローザ王女と8歳の誕生日を間近に控えたカールレッド王子の二人だ。


 プリムロ-ズ公爵は王位継承権第三位の実力者であり、威風堂々とした容姿と自信に満ち溢れた発言は王たる資質を持ち合わせている。

 ロッテローザ王女の婚姻が決まっていることにより、侯爵の継承権は第二位へと繰り上がるがそのことを酷く危惧しているのがローム王に近い諸侯たちだ。


 問題は唯一の王子であるカールレッドが生まれ落ちた時より身体が小さく、病弱であること。ひとつの病が癒えれば、また新たな病を得る不憫な王子は去年から起き上がることができないほど重病であると国民たちの憂いと心配を募らせ、貴族たちはどちらに着いた方が得かを見極める為に頻繁に社交界へと足を運ぶ。


 実際最近では夜会や舞踏会の開催が盛んで、出席する顔ぶれが日に日に野心に溢れて躍動しているとレットソムの耳に入ってきていた。


 カールレッドが逝去すれば当然第一継承権はプリムローズ公爵へと移行し、第二位として公爵の子息がその権利を手にすることになる。


 穏健派であるローム王側近と違い、プリムローズ公爵は積極的に領土を広げるべきであると主張して憚らない。カールレッドに万が一の事態が起こり、公爵が王位に就くことがあれば間違いなくフィライト国は戦争へと大きく舵を切ることになるだろう。


 現在チェンバレン=プリムローズ公爵は王都より離れた魔法都市トラカンの領主を務め大人しくしているようだが、ロッテローザ王女が隣国ショーケイナへ嫁いだ暁には水面下での動きを止めて大きく打って出る。


 プリムローズ公爵は好機を逃すような虚けでは無い。


「大事な資金源を断ち切れば少なからず打撃は与えられるだろうしなぁ」

「……それが目的か?」


 ルドベキアのアイスブルーの瞳が冷たく睨む。王都を無闇に騒がせる者は全てサルビア騎士団の憎むべき敵であり、フィライト国の悪しき病巣であるとの信念を抱いている堅物の男は知り合いであろうとも許さないとその視線で警告してくる。


「おいおい。ただの便利屋だぜぇ?公爵の失墜など考えるわけねぇだろうがぁ。依頼の為に必要な情報を集める。それが仕事だからなぁ」


 疑い深い目を向けたまま、のそりと腰を上げてルドベキアが大きく深呼吸する。本当はため息を吐きたかったのだろうが、この男はため息を嫌う。その行為が諦めを表すからだと、一緒に飲んだ時に静かに語った。どんな状況でも活路を見出そうとする第三大隊の鑑のような発言。


「俺に捕縛されることのない様に頼む」

「解ってるさ。なんか解ったらよろしく頼むわぁ」


 頷いてルドベキアは素っ気無く背を向けると居住区の方へと足を向ける。その背中に「ルード、またな」と声をかけると横顔をこちらに見せてもう一度頷いた。


 ルードは愛称だ。

 ルドベキアと言う硬い名前は男に似合っているが、呼び掛けるには堅苦しくて仕方が無い。恵まれた体格と常に不機嫌そうな表情をしている所為で話しかけ辛く、せめて愛称ぐらいは呼びやすくしようと親しい者達によってつけられた。


 最初は戸惑っていたルドベキアも徐々に慣れた。


 レットソムはその当時の彼を良く知っていたので、隊長になったと聞いた時は驚いたがルドベキアの素養と真面目さをかっていたので「やはり」という思いも抱いた。


「なるべく荒れないように護りたいってえのは、不可能なのかねぇ」


 プリムローズ公爵に王位を継がせてはならない。

 それだけは多くの国民の願いだ。


 カールレッド王子の容態は芳しくない。きっと半年も持つまいと王宮の奥で病に臥せっている王子の余命を全国民が勘付いている。

 王子の誕生日が近づく中、祝いのパレードも祝賀の予定も知らされていない。


 それほどまでに悪いのだと。


「時間の問題だぜぇ?どうする」


 海を振り返ると湾に両サイドから迫り出し湾曲した岸壁の尖端の右に建つ魔法学園フリザードと、その対岸左側に魔法研究塔が見えた。どちらも闇の中に魔法の灯りを灯している。

 岸壁にしがみ付くように建てられた学園と、嵐の時には折れるのではないかと心配になるほど高く聳えた魔法塔へは陸続きではあるものの徒歩で近づくことは出来ない。

 それぞれを訪れるには北西に位置する魔法使いギルドと職人街の奥にある、学園の私有地である広場から専用の魔法陣を使わなければならなかった。関係者と生徒は問題なく使用できるが、部外者は魔法使いギルドに申請し学園に連絡を取ってもらってからしか移動はできない。


 生徒の安全とフィライト国の貴重な知識と技術を護るためでもある。

 四大公爵であり学園長でもあるコーネリアを思い苦い物を飲み込んだ。

 与えられている残り時間は少ない。


「……帰るか」


 無理矢理悲観的になる思考を引き剥がしてレットソムは飲食店の並ぶ道を選ぶ。そこから宿場街を抜けて歓楽街へと戻るのだ。


 歓楽街に入って直ぐの路地を曲がり、幾つかの通りを歩いて辿り着いた事務所の扉の前に立っている人影に気付いて片眉を上げた。

 紺色の制服を身に纏い長剣と短剣を腰に差した若い男はレットソムに顔を向けて薄く微笑むと会釈をする。胸のポケットに馬と剣の意匠が刺繍されているのを見て訪問者が誰なのか得心した。


「フォルビア家の令嬢がこんな遅くにお出ましとはなぁ」


 坊主頭をわしわしと掻きながら近づくと、護衛騎士の男が「どうしても今でなくてはと仰るので」と苦りきった表情で息を吐く。


「ノアールに会いに来るには妙な時間だなぁ」


 既に深夜を回り歓楽街には浮ついた妙な活気が溢れているが、侯爵家の令嬢が友人に会おうと出向いて来るには醜聞になりかねない時刻である。


「それが、貴方にお会いしたいと」

「便利屋に用があるとは……なんだろうなぁ」

「中でお待ちです」

「悪いな。随分待たせたんだろう?」


 扉の前で番をしていた護衛騎士がそっと端に退けたのと入れ違いに前に立ち、ノブを掴んで謝罪すると男は肩を竦めて「どうせ夜はあまり眠れないようなので、構わないでしょう」と受け流す。


「そうか……まだ」


 納得してレットソムはノブを握って回し中へと入った。途端に目の前にふわりと白い光の球が浮かんできて、掌で反射的に払うと光の球はゆらゆらと天井へ向けて上って行く。ぶつかる前に軌道を変えてふらふらと漂い、新たに生まれた魔法の光にぶつかって弾けた。


「お帰りなさい」


 侯爵令嬢であるリディアが両手の中から魔法で作った光を飛ばしながらにこりと笑う。薄茶色の髪に緑色の大きな瞳をした少女はあどけない顔立ちで17歳という年齢には相応しくないほど幼く、そして小さな身体に不似合いなほどの大きな胸をしていた。

 今はそれを隠すように淡いピンクのショールを纏っている。


「待たせて悪かったなぁ」

「いいんです。だって便利屋さんは忙しいんだし、突然来たわたしの方が悪いから」


 首を振って少女は掌同士を合わせ、間をほんの少しだけ開けてその中にふうっと息を吹き込んだ。ぱっと開くとそこから無数の小さな発光する球が溢れて部屋の中が明るくなる。


「お茶入れます」


 ノアールが立ち上がって帰ってきたレットソムの為に茶を淹れに台所へと向かう。その隙に自分の机に移動して椅子に座るとカメリアの席に座っているリディアを横目で見た。


「まだ……夜は眠れないみたいだなぁ」

「そんなことないです。昔に比べたら随分ましになったし、理由も全然違うから」


 彼女は9歳の時に誘拐された。その時床下の貯蔵庫に閉じ込められた所為で、狭い場所と暗闇を極端に怖がるようになったのだ。リディアは左手に傷を負い、暗示をかけられ自分が呪われたのだと思い込んでいた。その呪いを解くために魔法学園に入学し、そこでノアールと出会ったのだ。


 勿論ノアールだけでなく、セシルやライカ、紅蓮や他にも沢山の友人達に救われた。


 呪いの所為で親しい者を作ることができなかった少女は、多くの共に支えられながら自らの力で暗示を解き平穏を手に入れたのだ。


 だが暗示を解いても心に負った傷が消えることは無い。

 暗闇と狭い場所は未だにリディアにとって恐ろしい物であることは間違いないのだから。


「眠れないのは恐いからよりも、他に色々と考えることが多いからなんです」

「悩みか?まさか――恋愛絡みじゃないだろうなぁ?」

「わたしが?」


 きょとんとした顔で首を傾げる少女の様子にどうやらまともな相談らしいとほっと胸を撫で下ろす。

 最近相談といったら恋愛が主だったので正直辟易していたのだ。


「じゃあ、どういった内容のご依頼で?」

「わたし、最近まどわしの森に住んでいる綺麗な女の人と知り合ったんです」

「まどわしの森に住んでる?」


 リディアの言葉にレットソムは眉を寄せてもう一度確認する為に聞き返した。少女は再び「そう言ったの。彼女がまどわしの森に住む一族だって」と繰り返す。


 王都の東門から街道は伸び隣町リストで二つに分かれる。ひとつは北上して魔法都市トラカンへ、そしてもうひとつは更に東へと向かいチキ、そして港町コーチャーへと続く。


 まどわしの森は王都とリストの間にある大きな森で、北のトラカンの近くまで広がっている。この森の所有者は王であり、王都のすぐ傍にある森だが自然のままの姿で保存され開発も進んでいない場所だ。

 手つかずの森に迷い込んだ者は帰り道を見失い二度と戻ってくることは無いと言われ、この森には妖精が棲んでいるから近づいてはいけないと大人たちが子供たちに警告するほど危険な森でもあった。

 街道に近い場所だけでも森林を伐採して見通しを良くして欲しいと住民たちの要望があとを絶たないが、国王はそれだけは譲れないとばかりに首を縦には振らないらしい。


 そんな森に人が住んでいる?


 俄かには信じられない発言に黙っているとリディアが唇を尖らせて「ほんとなんだから」と訴えてきた。


「それで彼女の弟の行方が解らなくなったので、探すのを協力して欲しいって頼まれて」

「引き受けちまったのかぁー……」


 そんな素性の解らない者の言う事を真に受けてフォルビア侯爵令嬢は安請け合いをしたようだ。しかもよくよく聞けば現在侯爵家に客人として招いているらしい。


 危機感が無いと言うか、考え無しと言うか……。

 それも仕方が無いのかもしれない。


 彼女は今では侯爵家令嬢として貴族の一員だが、元は一般市民の出である。

 リディアの母であるサーシャ=フォルビアは若い設計士だった男と恋に落ち、交際を反対されて家を飛び出し結婚した。一人娘だったサーシャが家督を捨て後継ぎのいないフォルビア侯爵は色々と思案し養子を取るか爵位を返上するかで迷っていたが、孫のリディアが祖父の後を継ぐと名乗り出て現在勉強中だ。


 どう見ても危なっかしい。


「しかも彼女の弟だけじゃなくて、他にも何人か行方が分からない人達もいるんだって。多分連れ去られたんだろうって言うから」


 きっと他人事だと思えないのだろう。


「しょうがねぇな。じゃあ弟の行方を探せばいいのかぁ?」

「それから、彼女の一族についても」

「了解。解り次第連絡する。弟の名前と特徴は?」

「名前はルーク。髪は黒で目は青。背が高くて細いんだって。それから色がとても白い」

「……ルーク?色が白い……」

「どうしたの?」


 顎を撫でて苦笑いする。

 どうやら人探しは簡単に済みそうだ。

 だがその女たちの一族のこととなると話は別か。


「いや。心当たりがあるから少し待っててくれ」

「よろしくお願いします」


 ぺこりと頭を下げたリディアはとても無防備で、更に顔を上げた後にっこりと笑う。心の底から信頼した笑顔に居た堪れなくて耳の後ろを擦る。


「終わったの?」

「うん。すごいんだよ。便利屋さん。既に心当たりがあるんだって」


 温かい茶を全員分用意してきたノアールが感心したように「へえ。そうなんだ」と目を丸くしたのでレットソムは下唇を突き出して不満を表す。


「なんなんだぁ?その態度は。こちとら15年のベテランだぞぉ?」

「最近では恋愛相談の仕事しかしていない印象しかなくて。すみません」

「…………それが事実なだけに言い返せん」


 ノアールが茶を置いて、次にリディアの前に置く。その瞬間にリディアがそっと手を伸ばしてノアールの痣だけになった殴られた跡に触れ「大丈夫?」と心配そうに尋ねる。その指に驚いてぱっと身体を離して大きく頷く。


「大丈夫。もう腫れは引いたし」

「大変だね。便利屋の仕事も」

「まあ、給料頂いてるから」


 上手く仕事できなくて情けないけど、と項垂れたノアールからレットソムは視線を外す。カメリアに人には向き不向きがあると非難された声が蘇り心を苛んだが、今は人材が不足しているので仕方が無いのだと己に言訳した。


「――――」

「――――よ?」


 ドアの向こうで誰かが話しているような声が聞こえ、三人で顔を見合わせていると音も無く開けられ少々苛立った様子の男爵が入って来た。


「ちょっと、リディ!まだあの役立たずの護衛騎士を雇ってんの?」


 ドアが閉まる前にチラリと見えた護衛騎士の顔が酷く不愉快そうでレットソムは苦く笑う。そして侯爵令嬢の前までセシルが足早に近づき苦情を申し立てるが、リディアは「そうだけど?」それがなにか問題でもあるのかと不思議そうだ。


「お前みたいなふしだらで軽率な奴と会わせるわけにはいかないって入口を塞いで迷惑だよ。あんな奴首にしてもっとましな護衛騎士を雇った方が良い」

「わたしが雇っているんじゃなくて、お祖父さまが雇ってるんだもん。しょうがないでしょ?」


 温かなお茶を啜りながらリディアは笑って聞き流す。


「ちょっとしっかりしてよ。リディとの仲を裂こうとする悪い男なんだよ?あいつは」

「んー……。でも最近はセシルわたしのことより他のご令嬢とばっかり仲良くしてるから。しかもご令嬢だけじゃなくてご婦人方もお相手してるみたいだし?」


 ドアを指差して護衛騎士の非難を続ける男爵を上目遣いで見つめながらチクリと反撃をする。セシルが琥珀色の瞳を瞬かせ息を飲み、直ぐに口角を上げて微笑んだ。


「ごめんね。リディ。本当に好きなのはリディだけだから安心してよ」

「ほんとかなー……。どう思う?ノアール」

「僕はそういう恋愛事情は専門外だから」


 問われたノアールが真面目な顔で首を振る。肯定も否定もしない友人に少女はため息を吐いて茶器を置く。


「で、こんな時間にこんな所にいるなんて珍しいね。どうしたの?」

「こんな所で悪かったなぁ」


 一応抗議はしておくが、男爵に笑顔で流された。


「お仕事の依頼。セシルは?」

「うん。良い報告を伝えに来た。リディが居てくれて丁度良かったよ」


 良い報告はどうやらノアールとリディアに関係した物らしい。男爵はレットソムを全く居ない者として話をしている。


 この事務所の所長は自分なのに。


 なんだか悲しくなってきて依頼書を引き寄せてリディアの依頼内容を記載していく。仕事をしながらもしっかり彼らの話には耳を傾けておいた。


「フィリーが帰ってくるらしいよ。良かったね。リディ」

「へえ。帰ってくるんだ……思ってたより早かったかな」


 楽しげな瞳を男爵が侯爵令嬢へと向けている。リディアは少し頬を赤くして俯き「帰ってくる?」と呟くと慌てて立ち上がった。


「帰るの?」


 ノアールが怪訝そうに見上げ、セシルは心騒がせる魅惑の微笑みで手を振っている。少女の動揺を得られたことが何よりも嬉しそうだ。


「便利屋さん、依頼よろしくね!」


 ばいばいと友人達には短く挨拶をしてそそくさと帰って行く少女に、ノアールがぼんやりと「どうしたんだろ……」と首を傾げたので、魔法だけじゃなく少しは女心ってやつも勉強しろや!と心の中だけで突っ込んだ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ