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異世界への扉〜今日はどこ行く?〜  作者: Hippopotamus
第一章 パーティーの始まり
15/15

the moment both of you were overlapped. I felt as if you're dancing at a wonderful ball.

遅くなりました。またゆっくりですが投稿再開していきたいと思います。

 ギルドを出た俺たちは、一度準備を整える為解散した。

 

 その間、ほとんど準備のない俺は先ほどなった電子音を確認する。

 すると今まで何にもなかったパーティの項目にNEWが付いていた。そしてメンバーにティナとアナミナが加わっていた。

 そうやらパーティのステータスを見ることが出来るようだ。さっそくティナを見てみる。


 ティナ

Lv.14

HP:320 MP:42

ATK 21

DEF 19

INT 15

MND 26

AGL 21

DEX 32

LUK 43


 アナミナ

Lv.18

HP:280 MP:110

ATK 15

DEF 12

INT 32

MND 31

AGL 40

DEX 26

LUK 28


 ティナは俺と似た敵を翻弄しながら戦うタイプの前衛だろう、アナミナは後衛で魔法援護しつつヒット&アウェイで敵を倒すタイプか、または陰から暗殺で敵を狙うタイプのどちらかだろう。


 残念ながらこれ以上の情報はわからなかった。


 さて、そんなこんなで西門のところで待っているとティナ達がやってくる。

 

 「さて、では早速行こうか!」


 「ああ。だがその前に、お互い情報を交換しないか?」


 「情報?」


 「ああ、俺はパーティを組むのは初めてだが、普通は戦闘での布陣なんかを決めるもんじゃないのか?」


 「ああ、そうか。 今までアナミナとしか組んだ事がなかったので気が付かなかった。 そうだな、確かに戦闘を潤滑に進むためにはお互いの能力は知っておくべきだな」


 「それじゃあ、お互いに自分の武器、得意なスタイル、今までの役割なんかを教え合おう。 まずは俺からだな。 俺の得物は刀と呼ばれる剣、または武道を使った近接前衛タイプだな。 パティは木魔法を主に使っての遠距離攻撃または補助だ、しかし実際俺の魔力を使っているから、そこまで連発は出来ない」


 「次はこっちの番だな。私はこのレイピアを使った同じく近接戦闘タイプだな。 アナミナは闇魔法を得意とした援護、遠距離攻撃、または暗器を使った遠距離または暗殺術での戦闘を得意とする、後衛タイプだ」


 「それじゃあ、前衛を俺とティナ、後衛をアナミナとパティという陣形でいいか? あとは進みながら連携を確認していこう。 それでいいか?」


 「ああ。問題ない」 


 「はい。お嬢様がよろしいのであれば私は構いません」


 「オッケーだよー」



 目的地は『試しの森』の奥。二週間前ウルフを倒したところよりさらに奥に入った森でゴブリンが大量に発生したという話だ。

 

 俺たちは連携を確かめながら森の奥へと進んで行った。 途中何回か戦闘になったが俺とティナで交互に出てくる敵を倒していった。 まだ成人前といった年齢でCランクになったというだけはあり、戦闘経験も俺より圧倒的に多いのだろう。 細身のレイピアを華麗に操り、的確に敵の急所に攻撃を当て仕留めていく。 さらに驚いたのはアナミナとの連携だった。 さすがの主従関係というかだでに女がてらたった二人で厳しい冒険者稼業をやってることだけはあり、アナミナがティナの邪魔をすることなく的確に敵の足を止め彼女を援護する、ティナもアナミナに絶対的の信頼を置いているのか。まったく合図を送ることも後ろを見ることもなく完璧の連携を見せた。


 そんなこんなで二時間ほど進むと広場のような場所に出る。 すると待ち伏せをしていたかのようにぞろぞろと森の中から続々とゴブリン達が姿を現す。


 「さすがにこの数は予想してなかったな……」


 「雑魚がいくらいようと関係ないね」


 「ふふっ。 なかなか面白いやつらだなお前たちは」


 「問題ありません」


 「じゃあ、いっちょやりますか!」


 そう言ってゴブリンの居る中央へ駆け出す、俺とティナ。

 ゴブリン自体はそう強い魔物ではない、レベルの一番低い俺でも急所に当てれば一撃、悪くても二発で倒すことが出来る。ただゴブリンが厄介な点はその数だ。奴らは集団で生活することが多い、戦争では数こそが力だ。数の暴力の前では強者も負ける。負けた者の末路は悲惨だ、特に女性の場合は。

 早速、一番近い相手に袈裟切りに切り付け蹴り飛ばす。反動を利用して後ろに回り込もうとするやつに向かって振り向き様に首を跳ね飛ばす。さらに左から来ようとする一体に向かって連撃を放ちぶっ飛ばす。背後のティナに気を配りつつ目の前の敵を殲滅していく。だがどうやら心配はいらないようだ。レベルに加えその戦闘経験の豊富さからか危なげなく敵を葬っている。アナミナは周りから魔法や飛び

道具で外側の敵を倒して援護をしている、どうやら闇属性の魔法使っている様だ。俺もパティへと魔力を渡す。


 始めはよかったが次へ次へと出てくるゴブリン達に俺たちは押され始めた。そしてそれは共に中央に押され、反対側から来たティナと背中と背中を合わせた瞬間だった。彼女に触れた瞬間、何かピリッと感じたかと思うと急に不思議な感覚に襲われた。その瞬間から彼女の気配が鮮明に感じられ、次の動き、攻撃、防御、足運び、呼吸までもが手に取るようにわかる。次にどう動くか、どう動きたいかなぜかすべてわかるのだ。それは不思議な感覚だった、しかし嫌な感覚ではなかった、なぜか懐かしいような気さえした。そして同時に振り向くと一瞬だけ目を合わせた。



* * *



 その時のことを私は忘れません。 だってお嬢様は笑ってらしたんです。 

 お嬢様のあんな表情を見たのはいつ振りだったでしょうか。 過激で恐ろしい緊張の中、仮にも生死の掛かった戦闘の最中だというのに、お二人の姿はまるで大きなお城の舞踏会でダンスを踊っているかのようでした。 

 二人の視線が交差しお互いに見つめ合ったかと思った瞬間、体を入れ替えるようにクルリを回り、時にワルツのように優しく、時にタンゴのように情熱的に。飛ぶように跳ねるように。バラの花弁ように飛び散る鮮血、楽しく舞い踊る妖精のような煌めく刀身がお二人の姿を彩った。 

 気付けばゴブリンたちの最後の輝きの中、お二人は軽く息を上げながらお互い背中合わせにお立ちになっていた。



* * *



 「「……はぁはぁ」」


 「ひゅー。 見せつけてくれるねーお二人さん」


 パティ様の声にはっと自分が援護も忘れただただ眺めていたことに気付く。



 「な、なっ……い、いや、これはそういうのではなくてだな……」


 その時、どごーんという音と共にどしどしと足音をさせながら、大きな木の棍棒を持った高さ二メートルはゆうにあるだろうオークが現れた。


 「ブオオオォォォ!!」



 「おいおい。 閉店前の客ほど嫌われるもんはないぜ」


 「あいつが今回の大発生の原因か……」


 「どうするのだ、ホープ?」


 「やるしかないだろう。あいつを倒さなければまた同じことが起こるだけだ。 ……行けるか?」


 「ふっ……もちろんだ! アナミナ、頼むぞ!」


 「はい。お嬢様」


 「よし、俺たちも行くぞ。パティ」


 「あいよー。やっとアタシの出番か!」


 そして、俺とティナは駆け出す。だがさっきのような感覚はない。すでにリンクは切れてしまったようだ。 しかしさっきの経験を経たからか連携はどうにかなりそうだ。


 オークが大きな棍棒を振り上げ俺たちに向かって振り下ろしてくる。しかしさほどスピードはない、みな散開して回避する。 どごっという音とともに棍棒が地面にめり込む。


 当たったら痛いじゃ済まなそうだ……


 すばやく側面に回り込んだティナがオークの横っ腹めがけて切りつける。


 「はっ!」


 だんっとまるで分厚いタイヤでも叩いた様な音が響き、少しだけ剣がめり込むがその盛り上がった筋肉の装甲に止められる。オークは少し痛かったのかブオオゥと鼻を鳴らすと振り払うように棍棒を振る。


 すぐさま攻撃を察知したティナはばっと飛び退いてオークの攻撃を避け距離を取る。

 

 「くっ……どうやら普通の攻撃ではあまりダメージを与えることはできないようだ」

 

 「そうみたいだな。 だが動きは鈍重だ、攻撃対象を絞らせず散らしながら行こう。囲いながらスキルと魔法を使って一気に攻める。 棍棒に注意してなるべく正面に入らないように。 それじゃあ、行くぞ!」


 左に回り込むように走り出す俺にオークがつられこっちを向く。その間にティナが後方に回り込むと背後からスラッシュを放つ。ブシュッと鮮血が飛ぶが大した傷にはなっていない。

 ぶおおおぉと怒ったようにオークが振り向きながら棍棒を振るうがすでにティナは離れているため空振りに終わる。その隙をついて今度は俺が袈裟切りを放つと、またしても怒りながらオークが棍棒を振ってくるがすばやく後ろに跳び避ける。すると今度はオークの後方から詠唱を終えたアナミナがポイズンショットと叫びながら黒い紫色の玉を飛ばしオークにぶつける。

 黒い玉がぶつかるとオークがぶおっと叫びの動きが少しだけ鈍る、どうやらアナミナは毒付与の魔法を放ったようだ。毒属性の技も闇魔法に含まれるのかと考えているとぶおおぉと大きく唸るとオーク体が少し赤くなり狂ったように棍棒を振り回してこちらに駆けてくる。その様子と思った以上の速さに一瞬、反応が遅れブオッという音とともに棍棒が肩を掠める、三メートルほど後ろに吹っ飛びながらながら距離を取る。ティナがオークに切りかかり注意を逸らしまた距離を取る。


 「ホープ!! 大丈夫か!?」

 

 「ああ! 後ろに飛んで勢いを弱めた。 大丈夫、肩を掠っただけだ! 」


 ずきっと痛む肩を気にしながら答える。


 掠っただけでこれか……


 「オークは怒りが頂点に達すると狂化する。動きはのろまといえどオークの攻撃をまともに食らえば、私たちでは致命傷になる。 気を抜くな!」


 「ああ、すまない! もう油断はしない」


 それからゆっくりとだが確実に攻撃を与えていく、三十分以上経っただろうか。 所々にある切り傷から出血が増え、ぶひぶひと肩で息をし徐々にオークの動きが悪くなり始める。ここを勝機を感じ一気に倒すことにする。


 「あと少しだ! 一気にかたをつける! パティ! アナミナ! やつを魔法で拘束してくれ! ティナ! 最大スキルで一気に決めるぞ!」


 

 皆、うなずくとアナミナは詠唱を始める、俺もパティに魔力を渡すとティナとオークを引きつける。


 「いきます! 離れてください!」


 「こっちもいけるよー!」


 ばっと俺たちが距離をあけると二人が魔法を放つ。


 「「シャドーバインド!!」「アイビーチェーンー!!」」


 するとオークの体に巻きつくように蔦と黒い手の形の影が纏わり付き体を縛り付ける。オークはそれらを振り解くように全力でもがこうとするががっちりと抑えつけられているようで動くことができない。

 俺は一度、納刀すると刀に手を掛けるように構えると脱力し集中するとティナに声をかける。


 「こっちもいくぞ!」


 「ああ! いつでもいける!」


 「「一閃」「ファングスラッシュ」」


 ざんっという音とともに鮮血が飛び散る、そしてふっと二人の掛けた魔法が解けるとともにオークが光の粒となって消え始める。ひゅっと一度、刀を振り鞘に納める。俺はちんっという音を聞くとばたっとみんな一斉に地面に座り込む。


 「「「ふう……」」」


 俺は激しい疲労感と沸き起こる高揚感と確かな達成感を感じながらみんなを見渡した。


 「みんな、大丈夫か?」


 みんなも同じように感じているのか、口々に返事をする。少しそのまま倒れ込んでいるとゆっくりをティナが立ち上がり声を掛けてくる。


 「……やったな。 ホープももう大丈夫か?」


 「ありがとう。 大丈夫だ、ただ少し魔力を使いすぎたみたいだ」


 「ふふっ、だろうな。 しかし、最後の技はすごかった! 刀術の技か?」


 「そうだ。ティナの方こそあんな技、持ってたのか。 あんなの見たことないぞ」


 「ああ……。 あれはうちのお祖父様に教えて頂いた技だ。ただ私はまだ未熟なので一日に一度が限界なんだ」


 「そうか……あれはティナの家の技なのか。どうりで」


 するとアナミナが俺たちに声を掛けてくる。


 「お嬢様、ホープ様もお見事でした。 お怪我はありませんか?」


 「ああ。 ありがとう。 大丈夫だ」


 「そうですか。 それではすぐにアイテムを集めてしまいましょう。 あまりここに残っていては危険です」


 「そうだな……すぐに集めて町に戻ろう。 ホープももう大丈夫か?」


 「ああ。 もう大丈夫だ。 すぐに出よう」


 そのあと、そこら中に散らばったアイテムをすべて拾い集めると町に戻るため歩き出した。 途中、何度かモンスターに出会ったが問題なく蹴散らし無事の町へ戻ることが出来た。

 すぐに宿に戻って休みたい気持ちを抑え、俺たちはそのままギルドへ報告をしに向かった。


 そのあと受付にいたトリスにクエストの報告するためリングを見せると何か驚いたような顔をしたあと何か怒っていたが、心底疲れていた俺たちはほとんど聞いていなかった。怒りつかれたのか諦めたように翌日ギルドに来るようトリスが言うと俺たちは細かい話は明日することにしてギルドでそのまま解散となった。


 そして家に戻った俺とパティは倒れる様にベッドに仰向けになるとそのまま泥のように眠りに落ちた。

今回、試験的に主人公以外の視点を入れてみました。


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