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美人な師匠の愛が重い  作者: 乙黒


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第二十七話 ブロートⅢ

前のお話が重複していたようなので、上げなおしました。

そして、運命の日がやって来た。


「ティエ君、緊張しているかい?」


あの話し合いから二日後、僕たち『ブロート』は今行えるだけの準備を行い、迷宮を訪れていた。

『ブロート』のメンバーはあの人は違い、皆冒険者として立派な格好をしていた。


まず、エンリケさんはシンプルな金属の鎧を着ていた。兜だけは付けていないが、胸当て、手甲、腰当、足甲などだ。どれも鉄で作られており、冒険者として標準的な装備であるが、エンリケさん曰く少しだけ重たいらしい。


「大丈夫ですよ。むしろワクワクしています! 誰かと潜るのは初めてですから」


「ソレハイイ事ダ。オレモ凄ク楽シミニシテイル」


 僕の言葉に頷いてくれたのはエドワードさんだった。

彼は僕の肩に腕を回すように気遣ってくれる。きっといい人なのだと思う。そんな彼の鎧は革製の薄いものだった。胸と腰など最低限しかつけておらず、それ自体も薄い。理由としては彼のスピードを活かすためだろうか。金属鎧だと彼のアビリティが輝かない。


「なんでもいいけど、早く行こうよ―」


 けだるそうな声を出すスティファーは、綺麗に赤く塗った爪を眺めていた。戦闘職である冒険者は手が荒れている者が多いが、スティファーは白魚のような手をしている。あまり剣を握った事がないのだろうか?

着ているのはチェインメイルで、鎧を着ないのは彼女曰く胸に合うサイズがないかららしい。


「頑張りましょう!」


白いローブで全身を包み、杖を持つリーリオは小さな体躯でやる気のある声をしていた。

そして最後に、ベンハミンは何も言わず全身鎧の上に灰色のローブを被っている。


「じゃあ、行こうか」


エンリケさんの声と共に僕たちはセーフティーエリアを出た。

向かうのは草原で、目当ては『ロシャ・フォルミガ』だった。

草原の様子はいつもと変わりなしない。僕がずっと『ロシャ・フォルミガ』を狩っていた時と。


今日の予定では、まず僕以外の今までの『ブロート』で『ロシャ・フォルミガ』を討伐するのを行う。それから僕も入った新しい『ブロート』での形を色々と試しながら行う。という話で纏まっている。


隊列はまばら。先頭にエンリケさん、一番後ろにリーリオさんは決まっているけど、その他のメンバーはまばらだ。特に僕は最初の戦闘には参加しない事が決まっているため、リーリオさんの近くにいる。いざという時にパーティーで最も重要なギフト使いを守るためだ。


草原はセーフティーエリアに一番近い、つまり迷宮内で最も入り口に近い場所であるため、特別な状況ではない限り『ロシャ・フォルミガ』以外のモンスターは殆ど現れない。現れる事には現れるんだけど、そちらは強いため僕らは逃げるという選択肢を用意していた。

探しているのはもちろん『ロシャ・フォルミガ』だ。僕にとって狩りなれたモンスターは、この草原にはよくいる。探さなくてもいるぐらいだ。

ほら、今も30メートルほど先の場所に見つけた。


「あれを狩るよ、エドワード、頼んだ――」


エンリケさんの言葉に、パーティーの皆は頷いた。

最初に駆け出したのはエドワードだった。長剣を手にロシャ・フォルミガまで一気に駆け抜ける。『大山猫のリンセ・ペルナ』を使っているためか、とても速いスピードだった。

そして、ロシャ・フォルミガの胴体を斬りつける。

ダメージは、みたところなかった、だが、ロシャ・フォルミガの眼光が自信を攻撃したエドワードを強く射貫く。


「今だっ!」


エンリケさんの声と共に仲間の全員が走り出す。

それと共にリーリオさんが風のギフトを使う。


「――風よ」


それは事前にリーリオから聞いていた風のギフトの内の一つである


「それは背中を押す風です。何よりも優しく、何よりも慈しみ、それでいてあなたに安らぎを与える。私は南風。ただあなたの元に寄り添う風。あなたの背中に――」


リーリオが放つのは『南風クエンテ・ペント』と呼ばれるギフトだった。


「追い風を――」


リーリオはその祝詞を言い終えた。両腕を伸ばす。それは例えば、エンリケの背中だったのかもしれないし、エドワードの背中を狙ったのかもしれない。

全員のスピードが“僅か”ながら上がった。


「『ラミナ』よ――」


エンリケはアビリティを使った。刀身が薄っすらと鈍色に輝く。それは目を凝らさねば見えない光だった。エンリケはショートソードと呼ばれるナイフよりかは長いが短い剣を手に持っていた。両刃。鉄製。飾りはなし。柄に意匠はなく、シンプルな造り。初心者におすすめされる剣の一つである。

その特徴は扱いやすいさで、冒険者になったばかりの者がよく買う武器だ。

リーリオも含めた『ブロート』のメンバー全てがこの剣を使っていた。エンリケさんが言うには、「まとめ買いしたら安くなったからとてもよかった」と昨日に語っていた。


そんな一般的な剣であっても、剣の威力は“持ち主”によって変わる。


「うぉりゃあああああああああ!!」


エンリケは剣が光ったまま、エドワードに翻弄されているロシャ・フォルミガの背後へと近づいた。狙うは後ろ脚。ショートソードは両手でしっかりと掴んで、真上から真下に振り下ろす。

兜割りだ。

冒険者に教えられる基本的な剣の扱い方の一つ。僕もよく振りなれた剣の使い方だ。


だが、ロシャ・フォルミガはエドワードにつられて前へと動いていた。狙いが外れる。足は見事に断ち切れた。だが、根元を狙っていたのに足の先端だけだった。

ロシャ・フォルミガの足から血は出ていなかった。


「よし! 皆、一斉に飛び掛かれっ!」


エンリケさんはパーティーに強く命令した。

エドワードがロシャ・フォルミガを引きついているのは変わらないまま、残ったパーティーメンバーがロシャ・フォルミガへと切りかかる。

スティファーはそのままだが、ベンハミンは自身の人差し指を刃でなぞり微かな赤い靄を刀身に纏わせる。二人は胴体を挟むように


スティファーは何度もロシャ・フォルミガへとショートソードで斬りつける。胴体や足などを無造作に刃で立てるが、一つしてロシャ・フォルミガを傷つける事は出来なかった。スティファーがアビリティを使えない事も理由も一つだろうし、剣が遅い事も理由の一つだろう。もしくは剣の切れ味が悪い事も一つの理由なのかもしれない。


反対にエドワードの剣はロシャ・フォルミガに確かに効いていた。剣を振るうたびにロシャ・フォルミガに傷が増える。足はエンリケとは違って一度で断ち切る事は出来ないが三度ほどで斬れる。その間にエンリケも次の足を斬っていた。


『ブロート』は皆が協力して、全力で『ロシャ・フォルミガ』へと挑んでいる。

その戦い方は、華麗、とはとても言えたものではないかもしれないけど、仲間は誰一人怪我を負っておらず冒険者としては非常に“優秀”だと思う。

時間はかかったけど、それからほどなくして足を全て切り取った。草原の上に胴体だけのロシャ・フォルミガが残った。これまではどうやら胴体を何度も斬りつけて、やっと中を開けて殺していたみたいだけど、今は“弱点”を知っている。

エンリケさんが動きの鈍くなった『ロシャ・フォルミガ』の隙を見つけて、口内を剣で突き刺した。

それでも『ロシャ・フォルミガ』は暴れる事を止めなかったので、エンリケさんはすぐに剣を手放してその場から離れると仲間達も同時に離れて、暴れ狂った『ロシャ・フォルミガ』ひとりでにその場でのたうち回り、やがて動かなくなった。


「やったぞーー!!」


 真っ先に声を上げたのはエンリケさんだった。


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