表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

78/143

影響2

お立ち寄り頂きありがとうございます。

こちらは「婚約破棄?その言葉ずっと待ってました!〜婚約破棄された令嬢と氷の公爵様〜」の続編的な位置付けです。もちろんそのままでもお楽しみ頂けます。

設定や人物像については、前作をご覧頂けるとより楽しめるかと思います。

そのレイはサラとかくれんぼ中だ。


サラは昔からかくれんぼが好きだが、最近のかくれんぼはただ隠れるだけではないらしい。

隠れる方は、隠れ場所を転々としながら見つからないようにする遊びとしてレベルアップした。


サラはレイのスキルを確実に身につけている。

だから今のサラが隠れると屋敷の使用人総出でも見つけるのが厳しいとか。




妹達もずいぶん変わったなと思う。




エリザベスは絶賛悩み中だが、以前よりも思慮深くなった。

本気でクリスと結ばれたいと考える彼女は、どうすれば実現できるか、きちんと考えて行動するようになった。あの父上に自ら交渉するくらいに。



サラは明るくなった。

人見知りしていた頃が思い出せないほど、今は利発で人懐っこい。

しかも最近は俺に魔術を教えて欲しいと言ってくる。



これもレイの影響なのか?

彼女は本人の意図しないところで周りに影響を与えてしまう。



だから王太子殿下はレイを気に入っているのか?



組織を束ねる者なら、手元に置きたい人材だろう。実際、父上も官吏としてレイを手元に置きたかった様だったし。




「ああ、お兄様ー」



いけない、今は目の前の妹の事だ。

とりあえずエリザベスを宥めて、一緒に部屋を出る。



サロンの方に行こうとしたら、廊下の向こうにレイの姿を見つけた。


今日は白いシャツに黒いパンツスタイルだ。髪を後ろで結っている。

壁に背を預けて腕を組んでいる立ち姿が、確かに男性的に見える。


レイは以前から「機能的な服装ならば好みは問わない」という方針らしい。そのため彼女付きの侍女達が衣装を男性的なコーディネートにシフトしたのだろうか?

いや待て、ああいう服を公爵家に持ち込んでるのは商会のニコライだろう!



隣のエリザベスを見ると、ボーっと見ている。

さっき宥めて正気に戻ったばかりだったのに。


すると廊下の角からサラが姿を現す。

サラはレイに気付いていないようだ。


レイの前を軽やかに通り過ぎたところ、レイがサラを後ろから抱き上げた。


「サラ様、見つけました」


「レイお姉様、いつの間に後ろに⁈」


「ふふ、サラ様がここを通ると思いました。

この先に隠れられると、私は見つけにくくなりますから」


レイはサラを抱き上げたまま微笑む。


その様子はいつも通りに見えた。


「あ、お兄様とエリザベスお姉様!」


サラが俺達に気付いて、こちらに声をかける。



レイはサラをそっと下ろす。

サラがこちらに向かって歩いて来た。



「聞いて下さい、お兄様、エリザベスお姉様。

私はとうとうレイお姉様の弱点を見つけたのです!」



「サラ、レイの弱点って?」



「お兄様とエリザベスお姉様のお部屋ですよ。

レイお姉様は入れないのです」



「へえ」



「サラ様、そのように声高に言ってもよろしいのですか?先程の様に、私に行動を読まれて、また見つけられてしまいますよ」



レイが何か企んでいる顔でサラに言う。



「それが狙いです。私はレイお姉様を牽制しているのです。これで次は同じ手は使えません」



サラが得意満々に言う。



「ふふ……逞しく御成になって、素晴らしいです」



レイがうっとりした目でサラを見つめて言う。

今度は服装も相まって、確かに男性的に見えなくもない。何だか、複雑な気持ちだ。



隣を見るとエリザベスがまだボーっとしている。

これはまずい。



「レイ、とりあえず着替えて来ようか?」



「お兄様、私はレイお姉様ともう一戦するので、着替えはその後で!」



「……」


サラ、いつの間にこんなに積極的になったのか……。

しかし子供はこんなにも短期間で変わるものなのか?


ちなみに彼女はエリザベスの様子には気付いていないようだ。



「サラ様、折角ユリウス様とエリザベス様が揃われているのですから、今日は夕食までサロンでお話されてはどうですか?作法の時間にエスコートのされ方を習ったことですし」



「そうですね!お兄様、私エスコートして欲しいです」



「あ、ああ……」



「エリザベス様は僭越ながら、私が」



レイがエリザベスに手を差し出す。

もちろんレイが男性側の動きだ。

たぶんサラの練習相手になっていたのだろう。

服装も相まって、これは『月の精霊』を思い出させる。


エリザベスがボーっとしながらエスコートに応じる。これは正気にもどるのに時間がかかりそうだ。



まあ、兄妹揃ってサロンでお茶をするなんて今までなかったし、今日のところはとりあえず良いか。

家の中が楽しい雰囲気なのは、良いことだし。




父上と母上が屋敷に帰ってきたら驚くだろう。




留守を預かる身としては屋敷の様子を平時に戻しておく方が良いのだが、両親への意趣返しとしては良いかもしれない。



父上は官吏の件で、母上は『月の精霊』の件で、こちらが驚かされたんだ。



こういう俺らしくないのも、彼女の影響かと思うと悪くないな。

本当の姿を見せる魔法まで見届けて頂いた方々、いつもありがとうございます。

最後の話に行く前に、次に繋がる話をいくつか投稿したいと思っています。お付き合い頂ければ幸いです。


評価頂いた方々、ブックマーク頂いた方々、リアクション頂いた方々、毎回励みになります。

ありがとうございます^_^

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ