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その時は本気で逃げることにします〜婚約破棄された令嬢と氷の公爵様、続〜  作者: みのすけ


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影響

お立ち寄り頂きありがとうございます。

こちらは「婚約破棄?その言葉ずっと待ってました!〜婚約破棄された令嬢と氷の公爵様〜」の続編的な位置付けです。もちろんそのままでもお楽しみ頂けます。

設定や人物像については、前作をご覧頂けるとより楽しめるかと思います。

「お兄様、どうしましょう。

私、最近のお姉様が『月の精霊』に見えてしまい、直視できないのです」


「……」


俺が珍しく早く帰宅できた日、エリザベスが思い詰めた様に部屋に来た。

彼女の様子から冗談ではなく言っていることがわかる。


俺は軽くため息を吐いた。


妹よ、気の毒に。

どうにかしてやりたいが、どうにもできないことかもしれない。


✳︎


公爵邸に帰って来てからしばらくして、屋敷の様子がいつもと違う様な気がする。

何というか落ち着きがない。

エリザベスの侍女達の辺りからだんだんと広まり、今や護衛にまで及んでいるような気がする。


家令に確認したところ、どうもレイの影響らしい。


もともとはエリザベスが劇場で会った『月の精霊』のことを侍女達に話した。社交界で噂の人物だったし、侍女達も興味津々だったので仕方ない。


エリザベスはもちろんレイだと伏せて話したが、その数日後俺が『月の精霊』を連れ帰ったので、噂の人物がレイだということは公爵家の公然の秘密になった。


そして最近公爵邸に帰ってきたレイの様子が時々『月の精霊』に見えると、侍女達の間で噂になっているそうだ。格好次第で男性に見えるらしい。


確かに記憶を失っていたレイは、どちらかというと硬質な雰囲気から男性的に見えた。

魔法が解けた今も感覚が鋭いままだし、その雰囲気が残っているのだろうか?


さらにレイが動きやすい格好で公爵邸の色々なところを見て回るため、各所で面識が出来て、何というか彼女の信奉者みたいなのが出来てきたらしい。


たぶん彼女は母上が不在で公爵家の教育が中断されているうちに、屋敷の中を把握したいのだろう。

どこに何があり、どんな人がいるのか、彼女は自分の目で確認したいのだと思う。


彼女の仕事ぶりはいつもそうだ。

書類上だけでなく、できるだけ自分の目で確認して判断する。


その過程で「誰とでも仲良くなれる」スキルが発動され、なぜか人心を掌握するような方向になっている。


これは学園にいた時と同じだ。

彼女は子爵男爵令嬢と後輩から人望があった。それに目をつけたシルフィーユが生徒会にスカウトしたくらいだ。


あと官吏の時も同じ。


ただ今までのレイを見ていると、本人が意図してやっているというよりは、結果的にそうなってしまっているように思える。


なぜなら彼女は、自分の目的以外は眼中にないからだ。


つまり本人は無自覚無意識、

一番厄介なタイプだ。





俺は同じタイプの人を知っている。


ライオール殿下の側近のロバートだ。

俺とライオール殿下より5歳年上の頼れる人物だが、天然の人たらしなのだ。


柔らかい物腰、丁寧な言葉遣い、気配り上手で話題も豊富なマルチプレイヤーである彼は、小さな頃から男女問わず人気があった。


俺やライオール殿下にとっては、兄的存在だった。幼い頃に5歳も年上だと色々と趣向も合わなくなってくるが、ロバートは年下の俺達にも優しかった。素直な性格だから年上からも可愛がられる。だから彼の周りにはいつも人がいる。


彼の特性(?)から、リブウェル公爵家は早々に婚約者を決めた。それがシルフィーユだ。彼女の家柄や容姿もあって、婚約者を定めた後からロバートの周りで女性関係のごたごたがなくなる。


ごたごたといっても本人は全く気付かない。

なぜなら本人は好意を寄せられているとは思っていないので、周りが勝手に失恋していくのだ。


俺とライオール殿下が王立学園に入学した当時ロバートは5学年上だったが、彼の信奉者みたいなのがたくさんいて、正直驚いた。


ロバートの何気ない声掛けに一喜一憂する彼等と、それに全く気付いていないロバートを思い出す。


ロバートの信奉者を見ていて思うのだが、周りが何を言っても本人の耳には全く入らない。ただ熱があがるのは一過性のもので、本人の気持ちが落ち着くと、穏やかな気持ちでロバートを遠くから見守るようになる。



「ああ、お兄様、どうしましょう?

私にはクリスがいるのにー」



エリザベスが本気で悩んでいる。

妹よ、今はどうにもできないかもしれない。

というか、レイはエリザベスの義姉になるのだからどうにもならないぞ。


ロバートの周りを見ていた経験から、エリザベスのことは、彼女の気持ちが落ち着くまで待てばいいのだろう。




はあー、

よりにもよってレイがロバートと同じタイプとは。


それもこれも『本当の姿を見せる魔法』のせいだろう。


感覚が鋭いままといい、時々別人の様に見えるという報告があることといい、本当に魔法が解けたのか時々あやしんでしまう。


たぶん今までは目立たないように色々抑えてきたことを、しなくなっている。

いや、する必要がなくなったと考えているのだろうか?


何にしろ、レイが安心して伸び伸び過ごせるに越したことはないのだが。

本当の姿を見せる魔法まで見届けて頂いた方々、いつもありがとうございます。

最後の話に行く前に、次に繋がる話をいくつか投稿したいと思っています。お付き合い頂ければ幸いです。


評価頂いた方々、ブックマーク頂いた方々、リアクション頂いた方々、毎回励みになります。

ありがとうございます^_^

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