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その時は本気で逃げることにします〜婚約破棄された令嬢と氷の公爵様、続〜  作者: みのすけ


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誤魔化す

お立ち寄り頂きありがとうございます。

こちらは「婚約破棄?その言葉ずっと待ってました!〜婚約破棄された令嬢と氷の公爵様〜」の続編的な位置付けです。もちろんそのままでもお楽しみ頂けます。

設定や人物像については、前作をご覧頂けるとより楽しめるかと思います。

さすがに現実逃避ばかりしているわけにはいかなくなってきた。


私は口に手を当てて、うーん、と唸る。


対して、向かい側にはユリウス様が腕を組んで、難しいそうな顔をしている。


「やはり、俺だけで王宮に行く。

レイは公爵邸に戻ろう」


「私もライオール殿下にお詫びに伺います」


「その必要はないよ。レイは問題ないように

手を打ってから王宮から出たのだから」


「ですが……」


「いずれ王宮に行く機会もあるだろう。

その時でも大丈夫だ。

それに必要があれば向こうから呼び出されるだろうし」


「……はい」


「魔法が使えることは明らかにしなくていいな?」



「……はい。

ユリウス様に偽らせることになって申し訳ないのですが」



「レイが王宮魔術師になるのは困るからいい」



「その、王宮魔術師になると、どうなるのでしょうか?」



「王宮に囲われることになるだろうな。

王家に忠誠を誓い、王宮内外で魔術を使用する権利と王都防衛の義務を追う。

他方、魔術研究機関でもある。祖父も一時期在籍していた」



「ユリウス様は在籍していないのですか?

魔術師としてもすごいのに」



「ああ、俺はライオール殿下の護衛も兼ねているんだ。ライオール殿下の側近に騎士がいないからな」



「そうなのですね。

ならば尚更ライオール殿下に申し訳ないです。私ばかりユリウス様を独り占めしているこの状況が」



「ライオール殿下の側には他にもたくさん付いているから大丈夫。まもなく父上達も帰ってくるから、休暇も今だけだ」


「そうですね」


「それよりもレイが狙われた件だ。

何か心当たりはないのか?」


「あれは……確証のないことを申し上げました。

あの時の私は、兄が狙われたのではないことを明らかにしたかっただけなのです」


「嘘だな」


「嘘だとしても、ユリウス様が守って下さるのでしょう?」


「ああ」


私は席を立って、ユリウス様の側に行く。

片膝をついて、彼の手を取る。


「私にはその言葉だけで十分なので」


私は微笑んで、彼の指に唇を当てる

そして上目遣いで彼を見た。


「……この仕草、もしかして『月の精霊』の時にやった?」


ユリウス様は驚いたようだが、ため息を吐いて言った。


「よく分かりましたね。

エリザベス様にやりました」


「だから、エリザベスの様子が数日おかしかったんだな」


ユリウス様はやれやれという顔をして言う。


「そうなんですか?

これをすれば、大概の相手は驚かせると聞いていたのですが」


「誰に?」


「それは守秘義務がありまして」


「商会のニコライだな?

あいつ、レイに余計な事を教えて」


クローディア家が舞台に関わっていたこともあり、ニコライさんはユリウス様とも面識がある。


本当は『この仕草をすれば大概の事は誤魔化せる』と教えてもらった。


さすが師匠直伝だ。良く効く。



たぶん、私が狙われるとしても、しばらく先のことだろう。


願わくば私のところへ直接来てほしいと思うのだが、先方に伝言は伝わっただろうか?


彼の家はもともと魔術師の家系ではない。

傍流から家門に入れた王宮魔術師も捕まった今、魔術で実力行使にでることはしばらくないだろう。


また騎士団にも出身者がいない。


彼の家は権力振りかざすことと貴族の人数という力によって確固たる地位を築いた家門だ。


騎士や魔術師のように自己研鑽を積んだ先に得られるものを美徳とはしないのだろう。


もっと即物的なものや、権謀術数の上に手に入れたものに価値を置いている印象だ。


例えば、貴重な宝石を手に入れるように。




「レイ、おいで」



彼の声が聞こえて、一旦思考を切る。

自分の中の大多数が、ユリウス様の事を考えたいと言う。

ユリウス様に集中したいと多数決で決まる。



私はユリウス様の手を取り、立ち上がる。



アイスブルーの瞳が綺麗だと思う。

柔らかく笑うのが素敵だと思う。

一緒にいられることを嬉しく思う。



これが続けば、幾年も積もれば、思い出となって、彼がいなくなっても私を生かしてくれるだろうか?



そう、クローディア前公爵閣下の言う通り、『こればかりはやってみないとわからない』な。

本当の姿を見せる魔法まで見届けて頂いた方々、いつもありがとうございます。

最後の話に行く前に、次に繋がる話をいくつか投稿したいと思っています。お付き合い頂ければ幸いです。


評価頂いた方々、ブックマーク頂いた方々、リアクション頂いた方々、毎回励みになります。

ありがとうございます^_^

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