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本当の姿を見せる魔法13 顛末

お立ち寄り頂きありがとうございます。

こちらは「婚約破棄?その言葉ずっと待ってました!〜婚約破棄された令嬢と氷の公爵様〜」の続編的な位置付けです。もちろんそのままでもお楽しみ頂けます。

設定や人物像については、前作をご覧頂けるとより楽しめるかと思います。

俺はレイとの約束を守りつつ、ライオール殿下を通じて、王太子殿下に王宮魔術師のことを伝えた。


ほどなく3人の王宮魔術師が捕縛された。


レイの指摘した通り、オリバー上級騎士に同行した魔術師とその日非番だった魔術師の2人。

術返しの傷を受けていたことが決め手だった。

そしてビヴィ公爵家の末端の家門だった。


そしてもう1人は、俺が追跡魔術をかけた魔術師。

こちらは元ビヴィ公爵家門だった。


使い魔を使役した2人の魔術師は「指示されただけで目的はわからない」と言ったそうだ。

何人も人を介して指示されたようで、指示した者は結局追えなかった。



俺が追跡魔術をかけた魔術師は、今も黙秘している。




レイはまた生気のない人形に戻ってしまった。



王宮魔術師が捕縛されたことを伝えても、さほど興味を引かれないらしい。


彼女にとっては、予め分かっていたかのような結末。

しかしいくら術に覚えがあったからと言っても、犯人まで言い当てるとは……。



レイはオリバー上級騎士は利用されただけだと言っていたが、だとすれば明らかにビヴィ公爵家門によるレイへの干渉だ。



一体、なぜ?



ビヴィ公爵家は前宰相の役職にあった。

父上が宰相に任じられ、その役職を奪われる形になり、今やクローディア公爵家と対立する家門になっている。


特使の件の時に関与していたようだが、官吏を辞したレイに今更干渉する意図がわからない。


表向きはミア様の秘書官として、王宮に留め置かれているからだろうか?

だがレイの記憶障害のことは下級官吏にまで知れている。


となれば官吏としてではなく、レイ本人への干渉と考えるべきだろう。


クローディア公爵家が筆頭公爵家になったことで、ビヴィ公爵家は我が家に継ぐ大貴族になった。

しかし彼の公爵家は一大派閥、つまり沢山の貴族を抱えている。


父上不在の今、勝手に動くには難しい相手だ。




︎頭では王宮魔術師による事件やビヴィ公爵家のことを考える一方で、記憶を失う前のレイと今のレイが全くの別人だと改めて思い知る。




俺はセバスチャンの言葉を思い出す。




「能力を兼ね備えた上で『危うい』」

まさにそうだ。




なんというか、切れ過ぎる刃物のようだ。

まずやる事に躊躇がない。


もともと彼女が大切にしているものに対して行動力があるのは承知していたが、行動に移すまでの意思決定プロセスがとても早い。


大事だと認識したものに危険が迫ると、自動的に動く仕組みの様だ。


しかも感情を表に出さないから、意思を持った人形の様に見えてしまう。




他方、自分が狙われている可能性があるのを分かっていて放置している。


自分のことを平気で囮にしたり、矢面にしようとする。


自分に対しては無頓着だ。

この部分は、以前のレイと全く同じに思える。



以前ドロール家の関係者にレイが誘拐されたことがあった。それと同じような事を、王宮の東門を抜けた公園でやろうとした。


彼女は自分を囮にして、高度な術式を扱える魔術師と1人で対峙した。


俺が側についているのが分かっていただろうが、だとしても助けを期待していたわけではない。


あの場では相手が身を引いたが、場合によっては、彼女は平気で身を投げ出しただろう。




本当に自分のことはどうでもいいようだ。





俺は、記憶を失う前のレイの姿を思い出す。


最近は良く笑うようになったのに。

貴族の笑顔ではなく、俺にも屈託ない笑顔を向けてくれるようになったのに。


辛い目にあったのに、一人で乗り越えた先にその姿があったことに、複雑な気持ちだった。


悲しいような、

辛いような、

愛おしいような。


彼女にもう一度会いたい。

これから終盤に向けて話が進みます。

どうか彼らのこれからを見届けて下さると幸いです。


評価頂いた方々、ブックマーク頂いた方々、リアクション頂いた方々、毎回励みになります。

ありがとうございます^_^

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