本当の姿を見せる魔法3 茶会
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こちらは「婚約破棄?その言葉ずっと待ってました!〜婚約破棄された令嬢と氷の公爵様〜」の続編的な位置付けです。もちろんそのままでもお楽しみ頂けます。
設定や人物像については、前作をご覧頂けるとより楽しめるかと思います。
レイが秘書官として配属された9日目、茶会で予想外の出来事が起きる。
「王宮内で魔術反応⁈場所は?」
「国賓用の離宮内です」
「タタ王女のところか!」
俺は第二王子ライオール殿下とロバートと、急いで離宮に向かう。
今の時間は王女がミア様と茶会の最中のはずだ。
レイも同行している。
そこで魔術反応とは、何か起こったとしか思えない。
茶会の部屋に飛び込むと予想外の光景だった。
溢れている紅茶、散乱する菓子、
立ちすくむタタ王女と、ミア様、
そして呆然とする侯爵令嬢。
3人の視線の先に倒れているのは……。
「レイ!」
彼女に目立った外傷はなかったが、意識がなくぐったりしていた。
ミア様によると、レイが王宮使用人に呼ばれて席を外した間に、場の雰囲気が悪くなった。
そしてタタ王女と侯爵令嬢が言い争いになり、急いで戻ってきたレイが部屋に入ってすぐくらいに、タタ王女が何らかの魔術を使用した。
それをレイが庇って、倒れたらしい。
「だって、あの子があんまり意地悪だから『本当の姿を見せる魔法』をかけてやろうと思って」
「タタ王女、王宮内で魔術を使えば反逆行為です。容疑が晴れるまで部屋からは出ない様に願います」
「私が使ったのは魔術じゃなくて魔法よ!
でも庇った子も何か魔法を使ったわよ!
だから相殺されて、たぶん反動で倒れちゃったのだと思う」
王宮魔術師によるとタタ王女の言う通り魔法が使われたようだが、王宮にはその魔法に関して詳しい者がいない。
しかもレイが何の魔法を使った末に倒れたはわからなかった。
✳︎
レイは約1日意識がなかった。
心配したセレス伯爵が王宮に到着し、俺が状況を説明する。
話し声が聞こえていたせいか、彼女が目を覚ました。
「レイ!気分はどうだい?」
最初は焦点が定まらなかったレイだが、辺りを見渡した後にセレス伯爵を見た。
「お父様、私は一体……?
ここはどこですか?」
「レイ、大丈夫か?ここは王宮だよ。
レイは倒れたんだ」
セレス伯爵が言う。
「王宮?」
急にレイの表情が曇った。
「レイ?」
俺が声をかけると、驚いた様にこちらを見た。
深い緑の瞳には……驚愕と拒絶?
「お父様、こちらの方はどなたですか?」
レイの表情も声も、明らかに警戒していた。
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