特使28 ユリウスとユエ執務官
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こちらは「婚約破棄?その言葉ずっと待ってました!〜婚約破棄された令嬢と氷の公爵様〜」の続編的な位置付けです。もちろんそのままでもお楽しみ頂けます。
設定や人物像については、前作をご覧頂けるとより楽しめるかと思います。
「おやおや、これはユリウス・クローディア公爵子息。ご機嫌麗シュウ」
「こちらこそ、お目にかかれて光栄です。昭国のユエ執務官。昨晩は私の婚約者がお世話になりました」
「婚約者?はテ?アレクさんに婚約者がいるとは初めて聞きマシタガ?」
「公には伏せているのですよ。彼女の情報を貴殿に渡した者は、そこまで伝えてなかったのですか?」
「はは、何のことか分かりかねマス」
「まあ、彼女が夜会会場に戻らなくて済むようにして下さったので、これ以上追求するのは止めておきましょう」
「いやはや貴殿の方が一枚上手だったヨウダ。我が国の夜会の控え室を2階の1番低い位置にある部屋にして、アレクさんには何らかの術返しを持たせていまシタネ?」
「何の話でしょうか?まあ、まさか貴国が我が国の官吏を誘拐しようなどとは、思いもよりませんでしたが」
「彼女に下級官吏などをさせている貴国よりも、我が国の方が彼女を遇せると思いマシテ」
「彼女は自らの意思で動くのです。彼女の意思を確認されましたよね?」
「ふ……まさにその名と同じ宝石の様な方ダ。あれでは周りから求められてシマウ。『高貴』な宝石は高貴な者が持つに相応しいとは思いまセンカ?」
「彼女を物のように手に入れようと思ったから、貴殿は失敗したのでは?」
「貴殿なら逃げられないとデモ?」
「……」
「……」
「まあ、今回は私の負けデス。タイムリミットで国に帰りますが、次回はこうはいきまセン。ヤン殿下も本気になられたようナノデ」
「ヤン殿下が国に戻られれば、即位に向けて身を固められるはず。反対派を一掃した国内を纏めるには、国内の有力家を婚家とした方が早く混乱を収められますな」
「……貴国が我々に協力したのは貿易の利を取るためと考えておりまシタガ……」
「国としてはそうかもしれませんね。
私個人としては、彼女に手を出す者をそのままにはしておけませんので」
「ふ……アレクさんは恐い婚約者をお持ちダ」
「次は容赦しないので、そのつもりで」
ここまでお付き合い頂いた皆様、いつもありがとうございます。特使編もあと2話になります。
彼らのこれからを見守って頂けると嬉しいです。
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