特使23 謁見
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こちらは「婚約破棄?その言葉ずっと待ってました!〜婚約破棄された令嬢と氷の公爵様〜」の続編的な位置付けです。もちろんそのままでもお楽しみ頂けます。
設定や人物像については、前作をご覧頂けるとより楽しめるかと思います。
翌朝、ユリウス様と一緒に王宮にあがる。
ユリウス様はクローディア公爵閣下の執務室に、私は昭国特使の離宮に直接向かう。
王宮側の使用人とミーティング後に、ヤン殿下のお部屋をノックする。
ヤン殿下は少し眠そうだったが、既に起きていた。
挨拶をする場にはユエ執務官が控えていた。
私はいつも通り貴族の笑顔で挨拶を交わす。
ユエ執務官もいつも通りニコニコしていた。
帰国に向けての進捗状況の確認と国王陛下との謁見の時間を伝える。
すると、ヤン殿下から私と2人で話したいとの申し出があった。
どうしようかと考えていたら、ライオール殿下から先ぶれが入る。
陛下の謁見前に、ライオール殿下が茶会に招待したいとのことだった。
そのため茶会終了後そのまま国王陛下との謁見の予定になる様に、謁見の時間が調整された。
思いがけない予定になったため、私はヤン殿下と謁見後に話をすることした。
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ライオール殿下との茶会では婚約者のミア様も同席して、昭国の衣装の話をした。
ミア様は衣装をとても気に入ったらしく、昭国の文化に興味を示しておられた。
昨日の努力が少しでも報われて、私も嬉しい。
ミア様に似合いそうな色味の衣装を、後程王子妃宮に届けることにする。
昭国の文化には、我が国とは違った洗練さがある。
何というかシンプルなのだ。
ヤン殿下の言葉を借りると「余計なものを削ぎ落とした先に美しさがある」ということらしい。
そういう神秘的なところが魅力としてうつるのかもしれない。
茶会の席では、ユエ執務官とシャオタイ護衛長がヤン殿下の側に控える。
向かいにはユリウス様とリブウェル公爵子息がライオール殿下とミア様の側に控えている。
私は両殿下の間に立って進行を見守っている。
私は貴族の笑顔で茶会の進行を見守りながら、思った。
おそらくユリウス様がこのタイミングで茶会を入れる様に手配されたのだろう。
昭国の文化を広めるという私の目的の手助けと、私がヤン殿下とできるだけ2人きりにならないようにするためかと思われる。
昨晩のありのままを報告したせいで、また心配させてしまった。
本当はユリウス様の顔を見たかったが、私は頑張って視線を向けないようにした。
王太子殿下との茶会で義兄を見ていたことを他人に気付かれてしまったくらいだ。
視線は雄弁だから用心しないと。
ライオール殿下との茶会からの流れで国王陛下の謁見に向かう。
陛下との謁見では昭国の内政の話になった。
そのため、ユエ執務官は宰相であるクローディア公爵閣下と詳細な打ち合わせのため別室に移る。
ユエ執務官が謁見の場から外されたことで、私が懸念していた事態は回避された。
これで私に関しての奏上はされないだろう。内心ほっとしていた。
しかしヤン殿下が国王陛下に「大変世話になった官吏を今度昭国に招待したい」と奏上したので、一瞬ヒヤッとした。
陛下に奏上するということは国の正式な記録に残るということ。私はできれば記録に残りたくない。
ユリウス様は無表情ながら不機嫌そうだった。
お付き合い頂いている皆様、いつもありがとうございます。
いよいよ特使編も終盤です。彼らのこれからを見届けて頂けると嬉しいです。
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